カテゴリー記事 広島の都市交通 バス

今日の話題 令和元年第2回広島市議会定例会より引用
バス路線の再編などについて

 
動画1 令和元年第2回広島市議会定例会(6月19日(水曜日)一般質問 山内議員)

山内議員の質問
(バス路線の再編実施について) 25分36秒頃~
自家用車に代わる交通手段として公共交通、とりわけバス路線の充実が社会的に欠かせない。3年前に、地域公共交通網形成計画(広島市HP)を策定し、昨年は『広島市地域公共交通再編実施計画第1版』(広島市HP)を策定した。その中で都心循環線(エキまちループ)を位置づけ昨年5月から運行されている。順次拡大するとのことだが、第1版で設定されたエキまちループ線利用状況(質問①)はどうなっているのか?これに続く再編計画第2版では、どのような再編を実施するのかその調整の状況
(質問②)を尋ねたい。次に郊外部の再編だが、都市計画マスタープランに掲げられている拠点地区-高陽、可部、緑井、船越においては拠点間を結ぶが重要と考える。可部線可部駅西口広場が再整備され、同駅を拠点とするフィーダー化に向け重要拠点が出来たと認識している。そこで尋ねるが、郊外部の再編をどのように取り組んでいいくのか?また拠点間の重要性の考えと対応についてお聞きしたい(質問➂) 
 
道路交通局長の答弁 
(バス路線の再編実施について) 58分30秒頃~
 バス路線再編実施について答えたい。都心循環線-
エキまちループ線-の利用状況は、昨年5月の運行開始より増加傾向にあり、本年3月の1日平均利用者数は、平日約3,800人、休日が約1,800人だった(回答①)。利用者は運行開始時より2割以上増加、事業者からは概ね順調と捉えていると聞いている。利用者からは、運行本数も多く、広島駅に早く到着出来るようになった、平和大通り方面の路線がなかったので利用しやすくなった、など声を頂いている。再編計画第2版では、エキまちループに続きデルタ内の強化のため、広島駅を拠点とした広島大学病院、県立広島大学、八丁堀の商業施設など主要な施設を連絡する新たな連絡線や広島大学病院を経由して、広島港を結ぶ路線を検討し、中国運輸局や関係事業者と最終的な調整を行っている(回答②)郊外部の再編は、郊外部~都心部のバス路線は都心に近づくにつれ路線の重複により、過密な運行になっている。バス運転手不足の課題に対応し、需要に見合った効率的運行を実現するためには、基幹バスとフィーダーバスの組み合わせによるネットワークを構築する必要がある。この再編の実施に向けては、基幹バスとフィーダーバスの乗り継ぎが生じるが、直行バスと同程度になる運賃割引の導入や待合環境の整備が重要で、中国運輸局や関係事業者などと協議を行っている(回答➂-1)。拠点間の交通については、都心と拠点地区に多様な都市機能を配置し、それらを公共交通で連携する集約都市構造を目指しており、その実現のためにさらなる充実が求められる。各拠点間を結ぶものは地域公共交通網形成計画の中で骨格形成に寄与する基幹バスとして位置付けている。路線の再編の中で一定以上の利用者数が見込まれるような、路線の設定によって事業者に働きかけていきたいと考えている(回答➂-2)

【考察その1】
『広島市再編実施計画第1版』のその後


画像1 国の法制度・諸制度と広島市の計画の体系図(画像 広島市HPより)

 日本の公共交通網整備と言えばフル規格地下鉄のような市交通局が運営するもの、モノレールやAGTのような行政が主導する第3セクター会社が運営するものだけがその中心だった。バスについては、都市新バスシステム(ウィキペディア)などの制度もあったが、広島市では一顧だにされなかった。広島市の公共交通整備の議論の中心は、AGT-新交通システム(アストラムライン)-ありきでバス運行に係ることは全て事業者任せで、放置された。唯一の例外が現行アストラムライン開業前の、市北西部バス路線の供給調整ぐらいだろう。その放置の結果、現在のバス輸送の課題-広島駅~紙・八地区の1日の便数3,000便以上、都心部地区に乱立する多過ぎる停留所、情報の非共有化、他の交通機関との悪い結節、各社バラバラな系統番号、低い低床バス普及率など-が山積みとなり、これがバス利用者離れの大きな要因となっている。かつては広島市の公共交通の花形だったバスの利用者は、87年対比では14年は1日平均30.2万人から17.1万人と43.3%も減少した(下記画像2参照)。他の交通機関も微減傾向を示しているが、これは都心部地区の空洞化に伴う公共交通移動需要の減少によるもので対外的な要因といえる。バスはそれも当然あるが、それ以上に内部要因の方が大きい。これまでの都市交通行政の被害者と言っても過言ではないだろう。これは広島市だけではなく、全国共通の流れでむしろ広島市の場合はまだ健闘しているほうだ。そこで看過できなくなった国は、国土政策で集約都市構造への転換に舵を切り直したこともあり、公共交通-特にバスの再生に取り組み始めた。上記画像1は、国の制度と広島市の各計画を体系化したもので、路線の再編などを自治体が事業者などと密に協議し主体性を以って地域の公共交通の在り方を模索し始めた。経営体力がない中小事業者がただでさえ弱り切っているのに、バス自由化政策でさらに弱らせた。 ~広島市に路線を持つバス交通事業者の合計損益の推移~ 広島市におけるバスの自由化元年は、H16(03)年からだが、利用者こそ下げ止まりはしたが、経営内容は悪化の一途を辿っていた。その反省を込めての現在なのである。各事業者が自社の利害を超えて、行政を議長とした話し合いの場に就いたのは、こうした背景がある。



画像2 広島市公共交通利用者(1日平均)と各交通機関利用者の推移(87~14年) 画像 広島市HPより

画像3 『広島市再編実施計画第1版』を実施する前の状況(画像 公共交通マーケティング研究会HPより)

画像4 『広島市再編実施計画第1版』を実施後の状況


 まずは、市が公共交通の将来の方向性を示す『公共交通の体系づくりの基本計画』(広島市HP)を示し、その延長戦でバスだけに特化した『バス活性化基本計画』(同)を15年に策定。広島市が集約都市の実施計画である『広島市立地適正化計画』(同)策定の議論と並行して、16年に地域公共交通網形成計画(広島市HP)、18年は『広島市再編実施計画第1版』(広島市HP)を策定した。そして、就行したのが『エキまちループ』である。新規路線開設の場合、新たな車両や人員の配置など、それなりの投資が必要となるのが常だが、今回は重複する広電23号線と広島バス22号線を統合し、その余剰車両と人員を『エキまちループ』に再配置することで極力、抑えたことが特筆される(上記画像3と4参照)。その利用状況だが、19年3月時点で1日平均利用者数は平日が、約3,800人、休日約1,800人と運行開始時より2割程度の増加となり概ね好調との事だ。この路線の新設による利用者が、そのままバス利用全体の底上げとなったか否かは、判断がつきかねるところだが、第1弾の成功は今後に続く路線再編の流れに勢いを与えるのは確実だ。道路交通局長の答弁では、第2~3弾として、『広島駅~八丁堀~紙屋町~市役所~皆実町6丁目~県立広島大学~広島大学病院~広島駅』、『広島駅~広島大学病院~広島港』の路線(共に下記画像5と6参照)も事業者との最終調整に入っているとのことだ。どの重複路線を統合し、余剰車両などを配置するのかは定かではないが、バス輸送の課題の解消と需要があると思われる新規路線の開設をセットで行う取り組みは、素晴らしい。他の地方都市の参考事例になるだろう。本来であれば、バスよりも輸送能力に勝る広電路面電車の速達性向上が望ましいが、諸般の事情にて走行環境の整備が遅々として進まないのが現状で、バスの速達性向上よりもハードルが高い。デルタ内の移動手段を広電路面電車のLRTへの昇華のワントップ体制にするよりは、相互補完のバスとのツートップ体制にする方が現実的な対応と言えるかもしれない。その視点に立脚すると、費用対効果もあやふやでやみくもに莫大な新規の設備投資(アストラムラインなど)よりも既存の都市交通インフラを活用し、リメイクしより使いやすくする手法は今後本格到来する超縮小社会(超高齢化+大幅人口減)を見据えると正解だと考える。 ~広島市の将来人口予測と高齢化率予測 


画像5 茶色点線-広島駅を起点とした八丁堀、県立大学を経由するルート、青色点線-広島駅と広島港を結ぶルートの予測

画像6 画像5の南方面のルートの様子 ②県立広島大学 ➂広島大学病院

【考察その2】

バス路線再編の今後の行方

画像7 『公共交通体系づくりの基本計画』で階層区分された公共交通群一覧(画像 広島市HPより)

画像8 『公共交通体系づくりの基本計画』で定めた基幹バス構想ネットワーク図(画像 広島市HPより)

 道路交通局長の答弁で出てきた基幹バスとは、広島市の公共交通の在り方の指針である15年策定の『公共交通体系づくりの基本計画』で、階層最上位に位置される基幹公共交通ネットワークの一翼を担うものだ(上記画像7参照)。この基本計画では、JR各線、アストラムライン、広電宮島線、リムジンバスと共に基幹バスも入っている。ブログ主的な解釈では、郊外バス路線で利用者も多く、ある程度の速達性もあり、広島市が定める広域拠点-西風新都地区、商工センター地区(新井口駅周辺)、緑井・八木地区、広島港・出島地区-と都心部地区を結び、都市の基幹軸の中心となるバス路線、になる。下記画像8は、その構想路線だ。殆どが営業路線となっている。構想路線に留まっているのは、『海田市~広島駅』、『海田市~広島港』だけだ。計画策定後、『広島港~商工センター(新井口駅)~西風新都(ジアウトレット広島)』などは社会実験を経て、営業路線化された。『バス如きを基幹公共交通にするなど、100万都市ではあってはならない』(笑)、的なお叱りが聞こえそうだが、さにあらずだ。100万都市としてのくだらない外聞とバスに対しての古い認識がそうさせるのだろう。輸送能力の問題はさて置き、旅行速度に関してはそこそこ検討している。~幹線郊外バスのラッシュ時の旅行速度(郊外⇒都心部地区)~ 20.0km/h台前半~後半だが、現行アストラムライン30.0km/h、広電宮島線(宮島口~西広島)31.5km/hと比べると健闘ぶりが窺える。要は速達性さえ担保されれば、何でも構わないと考える。時間限定専用バスレーン、PTPS(公共車両優先システム)、段差がない高規格停留所の整備が十分なされていない現状を鑑みると、速達性向上の余地はまだ十分残っている。当然、郊外主要路線でもあるので、運行本数も多い。閑散郊外バス路線も都心部地区に直接乗り入れており、これが重複区間のバス道路の渋滞にもつながり、事業者の非効率運行につながっている。それならば、都心部地区に乗り入れるのは、基幹バス路線を中心とし閑散郊外路線は、フィーダーバス化しましょう、というのが市の考えのようだ。そのために郊外バス路線の再編が急務となり、そのために乗り継ぎ停留所の整備、新たな運賃制度(乗り継ぎ割引)の確立などが必要となる。これを現在、関連事業者と中国運輸局との間で協議に入っているとの事だ。


画像9 新潟市の萬代橋ライン(新潟市HP)市役所前停留所のフィーダーバスと基幹バスとの同一停留所乗り継ぎイメージ

 ブログ主も市が示しているこの方向性には大賛成だ。現在の都市交通整備の潮流の階層化された交通網の整備の流れでもあり、理に適っている。他の交通機関との乗り継ぎなども含め、こうした乗り継ぎ拠点のことをよくトランジットセンターと表現する。道路交通局長の言葉を借りると待合環境の整備になる。広義では駅前広場の交通施設群を指すが、狭義では地下、高架の垂直移動ではなく、同一停留所の乗り継ぎが出来る平面移動中心の乗り継ぎターミナルを指すことが多い(上記画像9参照と下記画像10参照)。乗り継ぎ負荷を下げるには、移動距離を最短なレイアウトとして運賃負担も可能な限り下げないと成功しない。その辺のことを広島市も心得ているようで、合算運賃が直行バス並みになるように調整しているようだ。政策的な誘導に伴う負担の賠償は行政の補助という形になりそうだが、公共交通が果たす高い公益性を鑑みると、ある程度は妥当かなと思う。閑散郊外バス路線は、日中の直行便は残しつつも朝夕のピーク時においては、極力フィーダーバス化して事業者の営業経費の負担を下げ、余剰となった人員と車両は今後開設されるであろうデルタ内の新規循環線、広島港行きの路線に再配置し、経営改善を図る。国を筆頭に集約都市構造への転換に舵を切り広島市なども右に倣えになるだろうが、かと言って公共交通需要が爆発的に増加する可能性は皆無で、精々現行の10~15%増し程度で推移するだろう。その程度の利用者であっても恒久的に黒字が出る経営体質に改めないと、超縮小社会下では生き残れない。生き残れない場合は、市域規模の割には多過ぎるといわれるバス会社(12社)の統廃合が待ったなしとなる。郊外バス路線は、基幹バス路線を軸に展開しフィーダーバス化よりも速達性が勝る直行便路線は原則残す方向性で検討し、『
フィーダーバス+基幹バス』の組み合わせであっても速達性に問題がない閑散路線は、フィーダーバス化を推し進めることが肝要だ。その際のトランジットセンター)乗り継ぎ拠点として、可部駅西口(安佐北区)、地区センター(安佐北区、高陽地区)、大塚地区(安佐南区)、石内東地区(佐伯区)、五日市駅前(同)、広島港地区(南区)が相応しいと考える。

画像10 スウェーデン第2の都市ヨーテボリの郊外部でのトラムとストムバス(BRT的路線バス)が平面結節するトランジットセンターの様子(ユーチューブ画面撮影より)

 ブログ主は現在就行している都心循環線エキまちループ、第2の循環線、広島大学病院経由の広島港路線、基幹バス各路線は段階を踏んで疑似(日本型)BRTに昇華させるべきと考える。フル規格のBRT-中央走行終日専用レーン、LRT並みの高規格停留所、全区間のPTPS(公共車両優先システム)設置、3連接バス車両(定員270人 車体長24.0㍍~)、主要停留所のトランジットセンター化-などは、1㌔当たりの建設費が約5億円と格安コストのBRTであっても、『公共交通は私的交通よりも優先される』との考えが浸透しない日本では少し、導入ハードルが高い。
疑似(日本型)BRT-歩道側車道の時間限定バス専用レーン、主要停留所のみ高規格化、部分&主要区間のみPTPSの設置、2連接バス車両(定員130人前後 車体長18.0㍍)-であれば、古くは名古屋市の基幹バス(ウィキペディア)、岐阜市の清流ライナー(岐阜市HP)、新潟市の萬代橋ライン(新潟市HP)のように導入実績がある。第1段階で、路線再編による整理するバス路線をフィーダー化して、基幹バスの主要停留所をトランジットセンターとして整備、可能な限り他の停留所も高規格化させる。第2段階で歩道側車道の時間限定バス専用レーンの順次拡大&PTPSの設置により、旅行速度の3~5km/hの上積み。3段階目で、車両リース会社を日本政策投資銀行や地元金融機関、県と市を中心に立ち上げ、リース方式にて2連接バス車両を導入させる。第1~3段階の期間は概ね5~10年程度とし、財政負担の均等化を図り、決して無理はしない。こんな手順であれば、行政、事業者共に無理なく疑似(日本型)BRT昇華の道は開かれると考える。ブログ主の個人的な考えだが、広島市は都市規模及び都市圏規模において路面公共交通-疑似LRT&BRT化した路面電車やバス-で公共交通問題が解決可能なギリギリの人口規模で、地形的にも集約都市構造に最も適している都市だと思っている。地下式公共交通問題の初動-議論ではなく工事着手-の遅れや需要では賄えないコスト高のデルタ地質、市の財政難、国の反対などで建設期を見事に逸した。不幸中の幸いと敢えて言うが、路面公共交通の路線網が受難な時代においても辛うじて生き残っている。死んだ子どもの歳を数えるような真似はすぐにやめ、過去の夢は捨てそれらの交通インフラを手を加え、昇華させることが半世紀来の都市交通問題解決の早道になるだろう。

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