カテゴリー記事 広島の都市問題 MICE

【考察その1】
統合型リゾート(IR)とは?



動画1 政府・自民党幹部『カジノ法案』成立に前向き(16/11/29)

 最近IRなる言葉を耳にする。ブログ主も浅学で『IR=カジノ』と捉えていたが、そう単純なことではないようだ。報道ではIR=カジノ施設的な言い回しで語れれることが多く、マスコミ様に洗脳されていたようだ(笑)。統合型リゾート(IR)とは、家事の施設を含めた国際会議場・展示施設などのMICE施設、ホテル商業施設レストラン劇場映画館アミューズメントパークスポーツ施設、温浴施設などと一体になった複合観光集客施設のことを指す。日本においては、地方自治体の申請に基づきカジノの併設を認める区域を指定して設置される予定である。日本においては、地方自治体の申請に基づきカジノの併設を認める区域を指定して設置される予定である。認識としては、外需の取り込み-MICEや都市観光-を果たし、海外都市との競争を考えれば必要不可欠な施設であることは言うまでもない。16年12月の衆議院本会議特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)が成立、18年7月特定複合観光施設区域整備法案(IR整備法)が成立した。カジノの法制度化への道が開かれることになった。
国土交通省は、自治体による統合型リゾート施設の実施方針の前提となる『基本方針案』について、早ければ19年11~12月の公表に向けて策定を進めている。カジノを営業するためには、展示場面積などの規則を開業当初から順守することなどを求める。年内に基本方針案のパブリックコメント(意見公募)を実施し、カジノの規制を担う『カジノ管理委員会』による審査、『IR推進本部』による決定を経て、19年度末までに基本方針を正式に決める方向。実施法と施行令はリゾートについて、カジノのほかに、国際会議場と展示場、ホテル、観光案内施設、日本文化の魅力を伝える施設の計6施設が必要と定め、カジノの面積をリゾート全体の3%以下とすることなど、リゾートの建設、運営の細則を定めている。現在、現在誘致表明しているのは、横浜市や大阪府・大阪市、和歌山県、長崎県の4ヵ所、誘致を検討しているのは北海道、東京都、千葉市、名古屋市の4ヵ所となっている。IR整備法では日本人と国内に居住する外国人から入場料6,000円を徴収、立地場所を最大3ヵ所とし、20年代半ばの開業を目指している。


動画2 アジア最大のカジノ展、マカオで開幕=セガサミーなど日系企業も複数出展
 
 メリットとデメリットが当然あり、この点にも触れたい。

1 カジノ導入のメリット
 ①海外観光客(インバウンド需要)の誘致とMICEの振興に大きく寄与する
 ②カジノ税収入など国家や地方自治体への新規財源の創出など財政の健全化
   マカオでは、17年のカジノ等税収が約1兆3,160億円を記録し、カジノ税で財政収
   支黒字となり、5年連続で約12万円を国民に支給する程富裕国家となった

 ➂雇用創出効果など高い経済波及効果

2 カジノ導入のデメリット(導入反対理由)
 カジノ解禁によるギャンブル依存症問題の拡大
   現在、厚生労働省の推計では約500万人のギャンブル依存症の人間がおり、人口の3.
   97%を占めている。カジノ解禁によりギャンブル依存症の人間が増加することが懸念
   される。その一方で、国内3ヵ所程度の開設では、そこまでの悪影響はないとする指摘
   もある。パチンコや競馬、競艇などが存在している現状で『何を今更』との意見もある
 ②治安の悪化の懸念
   カジノができることで、周辺の治安悪化を懸念する声が根強い。かつてのラスベガスは
   、反社会組織がカジノに関与していたため、犯罪の増加とそれに伴う顧客離れが発生し
   たが、その後、排除に成功。12年現在のネバダ州(ラスベガスのある州)におけるギ
   ャンブル関連犯罪による逮捕件数は、52件であり、全体(142,459件)に占める
   割合にすると0.03%でしかない。シンガポール、マカオ、韓国おいても導入前と導
   入後とでは、犯罪件数の大きな変動はなくほぼ横ばいで推移しているとの報告がされて
   いる。治安の悪化理由による反対は、論拠が弱く、感情的思考とイメージに
づく反対
   反
対でしかない、との指摘もある
 ➂反社会組織の関与の懸念
   IRの運営に、反社会組織などが介入することで、彼らの資金源となってしまうことが
   
懸念されている。法整備によりある程度の参入阻止は可能だが、完全阻止は難しいのが
   現状となっている

 IR推進法の詳細をまとめている次のリンクページを参考にされると、見方が少しは変わると考える。 ~
IR(統合型リゾート)等新たな戦略的都市づくり検討調査(その4)報告書~(横浜市HP)

【考察その2】
なぜ、挙手しない広島市(笑)
MICE強化には不可欠なのでは?


画像1 MICE強化を打ち出す上の
IR推進法のメリット(画像 横浜市HPより)

画像2 IR推進法の効果と目的(画像 横浜市HPより)
 
 ⅠR誘致都市に広島市が立候補していないことに少なからず落胆した。『国際平和都市にIRなど相応しくない』との怒号が聞こえてきそうだが(笑)、反対する方々は、IR施設を建設した日には、ギャンブル依存症の多くの人たちが目をぎらつかせて、街中を徘徊して犯罪の限りを尽くす地獄絵図を想像しているに違いない。toto(スポーツ振興くじ)導入時も、今回のIR推進法同様に『ひだりつばさ』的なご立派な方々から、警鐘を鳴らして頂いたが、完全な杞憂に終わった。
国際平和都市との整合性は十分取れる。どれだけ広島市を美化しまくっているのか?不思議でならない。そこまで言うのであれば、パチンコなどの方がよっぽど利用者を選別をせず、敷居が低く問題があるのではなかろうか?ブログ主はこうしたギャンブル性の高い施設も、立地等の配慮さえすれば都市の多様性の観点から必要悪の一つだと考える。要はやりたい人がやればいいのである。ブログ主はMICE都市として、広島市の国内&国際的な競争力の観点から必要不可欠と考えている。『特定複合観光施設』とは、カジノ施設も含む①国際会議場施設、②展⽰施設等、③我が国の伝統、⽂化、芸術等を⽣かした公演等による観光の魅⼒増進施設、④送客機能施設、⑤宿泊施設から構成される⼀群の施設(⑥その他観 光客の来訪・滞在の促進に寄与する施設を含む)の建設で、⺠間事業者により⼀体として設置・運営されるものと定義されている。これらの施設規模の基準、要件も以下の通り定めている。
 

画像3 特定複合観光施設のMICE関連施設の各基準・要件。カテゴリー①~➂のうちのいずれかを満たすことが条件(画像 横浜市HPより)


画像4 特定複合観光施設の中核施設の基準と要件一覧(画像 横浜市HPより)

 この要件を広島市が満たせるのか?と多少の疑問もない訳ではない。問題になりそうなのは、MICE施設と宿泊施設の要件になる。MICE施設は、パターン①『(国際基準での)小規模会議施設+(同)大規模展示施設』、
パターン②『(国際基準での)中規模会議施設+(同)中規模展示施設』、➂『(国際基準での)大規模会議施設+(同)小規模展示施設』のいずれかを都市の実情に合わし選択する内容で、宿泊施設は世界ブランドの大規模(10万平方㍍)ホテルであることを最低条件としている。宿泊施設について参考にまで言うと、広島駅北口にあるシェラトングランドホテル広島は、客室数238室で客室を含む延床面積が4万8,363平方㍍。『概ね~』を拡大解釈して最低でもこの2倍規模-客室数400室台後半-が必須となる。現在のホテル需要を鑑みると、荒唐無稽でもなさそうだ。MICE施設だが、国際会議場と同展示場のどちらかに重きを置くかの選択になる。上記画像4の要件だと国際展示場に重きを置くと、パターン①。国際会議場に重きを置くとパターン➂になる。広島市規模でパターン①の展示施設規模12万平方㍍は、供給過多で選択としてはパターン➂になる。展示面積2万平方であれば、何とか今後の需要増で対応が可能となるかも知れない。問題は国際会議場施設だ。『最大会議室収容人数6,000人』『施設全体の収容人数1万2,000人以上』は高いハードルだ。現行施設の広島国際会議場が最大1,504人の収容、広島グリーンアリーナ大アリーナが1万人の収容であることを踏まえると、会議施設の最大収容人数を6,000人規模の多目的ホールとし、分割可能構造・可動席システムなど主催者ニーズにフレキシブルに対応できる機能にする必要がありそうだ。現在の広島国際会議場や広島市最大の展示施設の県立広島産業会館(5,500平方㍍)の規模が、供給過小と考えるので、パターン➂が広島市規模であれば満たせるギリギリのラインだと思う。日本のMICEの実情を鑑みると、随分と高いハードルに感じるが、世界の都市、特にカジノ施設を取り入れたアジアのMICE都市との厳しい競争を念頭に置くと、この規模の施設ぐらい兼ね備えないと勝負にもならないと考えているようだ。 ~世界の展示場面積ランキング(画像 日本展示会協会HP)~
 
【考察その3】
広島市にIR施設を誘致するメリットとは? 


画像5 10年にIR施設が開業したシンガポールの観光とMICE(国際会議)の諸指標(画像 横浜市HPより)

 広島市にIR施設を誘致し、立地させるメリットとしては以下のものがある。

広島市版IR施設立地の大きなメリット
①カジノ運営業者に国庫納付⾦(①カジノ行為粗収益(GGR)の15%及び②カジノ管理委員会経費負担額)、 認定都道府県等納付⾦(GGRの15%)の納付を義務付けるため、新たな財源を得て財政の余裕が生まれる可能性が高い

②全国のインバウンド需要の構成は、韓国24.9%、中国25.6%と全体の50.5%を占めている(17年度)が、広島市の場合、韓国4.3%、中国9.8%の計14.1%(同)と低い。IR施設が出来れば取りこぼしていると思われる、かの国々の富裕層のインバウンド需要が取り込める可能性が高い

➂日本ではIR施設(というかカジノ施設)のネガティブイメージが強いが、海外ではさにあらずでむしろ国際観光都市としての格が上がり、都市ブランド構築の一助どころかそれ以上の効果を得ている(上記画像5参照)

④➂との関連で、都市ブランドが構築されると国際会議やそれに類似する見本市、その他の大規模イベントなどの誘致が容易となり、新たなMICEビジネスモデルとなる可能性が高い

⑤広島市の都市観光の課題である低い宿泊率-18年度41%-も、カジノ施設が出来ればナイト観光の充実が図られ、上がる可能性が高い。同時に滞在時間が伸長し、観光消費額の向上にもつながる

⑥①~⑤のメリットを享受した場合、縮小社会(高齢化+人口減)~超
縮小社会(超高齢化+大幅人口減)時代に入っても以上のような外需が取り込め、都市の持続的な成長が見込める可能性が高い

ではなかろうか?良いことづくめなことばかり並べた感もあるが、可能性が無きにしも非ずだと考える。肝心の建設場所だが、これだけの施設をこれまでのMICE関連記事で主張したように都心部立地では不可能だ。最低でも20㌶規模のまとまった土地での立地でないと難しいだろう。となると、都心部地区ではなくデルタ内外地区になる。公共交通網や道路といった都市交通インフラ設備の充実度で言えば、広島サンプラザ(敷地面積1.27㌶)と隣接の西部第5公園(公園面積4.02㌶)になるが、正直狭い。飛び地として市中小企業会館や西部第6公園も近距離にあるが、施設の分散立地は好ましくない。跡地利用が例の提言で止まっている広島西飛行場跡地南端部(10.6㌶)も候補地となりそうだが、以前の記事でも主張したように都市交通インフラがこの規模の施設を下支えするには貧弱過ぎるので厳しい(と思う)。となると、
出島埋め立て地区(8.0㌶以上~)の一択になる。都市交通インフラについての懸念があるが、観光バス『めいぷる~ぷ』のブルールート(中国JRバスHP)、循環バス『広島みなと線』の20年1月からの就行も予定され、軌道系公共交通だと、広電路面電車の出島地区延伸(20年代後半開業?)もある。IR施設に開業に合わせ、広電路面電車の既存線区間である宇品&皆実町線のLRT昇華も果たせば、問題はなかろうと考える。土地さえ提供さえすれば、関心がある企業体グループが特別目的会社(SPC)でも設立して、カジノ利権目当てに甘い蜜に集まるかの如く、挙手するに違いない。これらのSPCにMICE施設等一切を建設されれば、行政負担はインフラ整備だけの軽微なものになるのではなかろうか?昨年12月に広島商工会議所から提言された
広島におけるMICEのあり方提言~(広島市HP)よりは、資金調達の観点では断然、現実的なものだ。この提言案では挙手する企業はないだろう。行政主導では財政難の県と市では、運営以前に建設すら覚束ない。カジノ施設の有無は旨味が違うのだ。


画像6 広島湾上空から見た出島地区の様子(画像 広島市HPより)

 もう一つ可能性としての話だが、最大IR施設は3ヵ所としている点だ。ブログ主の予測では、その目的から首都圏と関西圏から各1ヵ所、そして地方都市圏からもう1ヵ所になると予測する。地域バランスも十分考慮され、第3の候補地として名古屋市では近過ぎるのでは、と思う。福岡市や沖縄県辺りが立候補していれば、強力なライバルとなり広島市では勝てる見込みはほぼなかっただろう。などと妄想してみたが、本気で将来MICEなり都市観光なりで飯を食っていくつもりであれば、これぐらいの力技を発揮しないと従来通り、関西圏の諸都市と福岡市の狭間で埋没するのではないだろうか?今回は、上限として3ヵ所を想定しているが、今後増える可能性は薄いと考える。広島市が立候補する場合、単独で挙手するのは難しい。県と二人三脚で、共同立候補するしかないだろう。出島地区を候補地とした場合、策定し終わったばかりの『広島港港湾計画改訂』(広島県HP)の再改定が不可避だが、そう難しい作業ではない。ただ、例のごとく地元物流業者の方々の強い反対が避けられそうにない。今後スケジュールを見ると、19年度末(20年3月頃)の基本方針の策定と公表とIR施設完成が20年代半ばと決まっているだけだが、この時期に検討すらしていないことは完全にバスに乗り遅れた。そして次のバスはいつ来るか分からないし、もしかしたら来ないかも知れない。逃した大魚は決して小さくはない。


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