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今日の話題 11月20日中国新聞デジタル版より引用
広島高速5号347億円増 総事業費、2号連結・二葉山で

【記事概要】
 広島高速道路公社(広島市東区)が復活させる方針を固めた広島高速5号と2号の連結で、公社が事業費を167億円とはじいていることが19日、分かった。5号の整備では二葉山トンネル(東区)の事業費増などもあり、全体では347億円増えて1,471億円になると見込む。公社に出資する広島県と広島市にとっては新たな負担が生じるため、両議会では早くも反発や懸念が上がっている


画像1(左) 従来の広島高速5号(東部)線事業費
画像2(右)広島高速5号(東部)線ルート図(共に中国新聞より)


【記事詳細】
 複数の関係者によると公社は、有料道路である5号と2号を、東区の温品ジャンクション(JCT)西側で連結させる方針でいる。実現すれば、JR広島駅北口を起点とする5号と、呉市や東広島市方面につながる2号の間を、車両が双方向で行き交える。高架橋や路面など連結路の新設には167億円が必要とみる。5号の整備を巡っては、公社が14日、二葉山トンネルの受注業者との契約に不備があり、事業費が87億2千万円増えると公表したばかり。実際に増額するためには、整備計画の変更について県と市の同意を取り付ける必要がある。公社は今回まとめた変更案で、連結などを含めた費用の増額を一体的に処理する考えだ。変更案にはさらに、人件費や資材価格の上昇なども反映させる。5号の整備のうち公社の施工分では二葉山トンネルの増額分を含めて143億円、市の事業エリアでは37億円となる。この結果、5号の総事業費は1,471億円と、2016年12月に定まった現行の1,124億円の1・3倍となる。事業計画時の00年と比べると1・5倍に膨らむ。

 県と市は12月に開会する各議会の定例会に整備計画を変える同意案を提出する方針。利用者の便益も増えるとして、費用対効果は変更前の『1・01』から『1・10』に改善すると説明する意向だ。5号の整備は、採算が取れないとして2号との連結を先送りしたり、住民の反発を受けて一度中断したりと、曲折をたどってきた。今回の増額方針に対して、両議会からは『多額の投資に見合う効果はあるのか』『将来の料金収入で確実に借金を返済できるのか』との声が出ている

【考察その1】
責任は免れない広島県と広島市


画像3 広島高速5号(東部)線中山IC付近の様子(画像 アンドビルド広島より)

 今日は広島高速5号(東部)線に係る問題を取り上げたい。広島高速5号(東部)線は、高速1号(安芸府中道路)線と2号(府中仁保道路)線が接続する東区温品の『温品ジャンクション』から、広島駅北口の二葉の里地区を結ぶ約4.0㌔の有料方式の自動車専用道路で都心部地区の東側外縁部と広島高速道路を介して、山陽自動車道と結ばれ広島空港への時間短縮効果などが期待されている。当初は、12年度に一部区間開通予定だったが、トンネル工事の反対運動が起きたため、17年に変更され、その後さらに20年3月頃まで引き延ばされ、最終的に21年3月開通予定になっていた。18年10月に、全区間4.0㌔の二葉山トンネル区間1.8キロのうちシールド工法で掘削する1.4㌔の工区で見積書の6項目の経費を事業費から除いた異例の契約を結んでいたことが判明した。広島高速道路公社は、15年11月に発表した入札公告に、契約金額の上限は200億円と明記しており、契約者の大林組・大成建設・広成建設JV(以下JV)が契約金額を上限の200億円に収めようとした“裏技”を駆使していたと思われる。さらに問題なのは、この事実を知りながら、広島高速道路公社は阿吽の呼吸でそのまま契約に至った。当然、当初の事業費で済む訳もなく、発覚して従来の事業費と本来の事業費の差額をどこがどう負担するのか?、責任の所在は?、今後の再発防止策は?、などの問題が浮き彫りとなった。事業費の大幅増不可避の状況で、肝心の事業費の増加額が明らかにされなかった。19年11月12日、87億2千万円増の287億2千万円にのぼることが判明し、増額分の穴埋めで、公社に出資する広島県と市の負担が生じる見通しで、両者と対応を協議することとなった。20年度末(21年3月頃)としていた開業見通しも、今回の件で2年程度遅れることも明らかになった。その後、状況を複雑化させたのは、当初予定がなかった広島高速2号線(安芸府中道路)と同5号線を東区の温品ジャンクション(JCT)西側で連結させる(上記画像2参照)工事も追加することを同月19日に発表。全体の事業費が当初の1,124億円から347億円増の1,471億円と1.3倍となる事も加えた。費用対効果の指針となる『費用便益費』は1.08から1.10に上がると説明された。5号線単体の開業は22年度、2号線との連結部は24年度とされた。

 
動画1 広島市長会見2019年11月21日。広島高速5号線の関連質疑は30分30秒頃から


動画2 令和元年11月26日広島県知事会見 (質疑:広島高速5号線について) 1/2 同2/2
(ユーチューブ動画より)

 この一連の不祥事に対して反市長派の議員から広島市の責任を問う声が相次いでいる。21日に開催された市議会建設委員会では、岡村和明市議(市民連合 南区)は『市はどんな基準で公社の発注をチェックしているのか?』、定野和広市議(市政改革ネットワーク 西区)も『公社の能力にも大きな疑問符が付く』と強く批判され、市長派の宮崎誠克市議(自民党市民クラブ 佐伯区)ですら『事業費が上がったため、費用対効果を保つために盛り込んだと思われても仕方がない』、と断罪した。これらの批判に対し、市の多久島俊彦・高速道路整備担当課長は上積み増額については『公社は事業者として業者として契約を結んだので当事者同士の問題』、2号線の連結についても『2号線と連結させない場合も便益比は最新データを反映すれば1.08となる』と批判をかわし、カムフラージュに当たらないとした。新聞記事だけの心証だけだと、上積み増額の金額を覆い隠し、世間への心証操作のためにかつて採算性の問題ありとして、カットした部分(2号線連結部)を被せた感が強い。記事を読んだ方の多くはブログ主同様にそう思ったのではなかろうか?平たく言うと古典的な手法の目くらましである。松井市長は21日の定例会見(上記動画1参照)で、以下のように述べている。

松井市長の見解(11月22日中国新聞記事より引用)

 Q1 広島高速道路公社と受注業者が不適切な価格交渉に至った経緯や責任の所在について
 『空白の部分は勿論ある。公社が事実関係を踏まえて対処を検討すると思っている』


 Q2 工事費の増額について
 『現場で工事費が足りなり増額すること自体はよくある』『(市議会の議論を通じて)増額
  が合理的か、必要なお金なのか。費用対効果などを示す中で市民への説明責任を果たす』


 Q3 公社への出資者として指導や監督責任について
 『全ての行為をチェックしていたら公社に委託した意味がない。主体性を持たせながら。自立し
  た対応をするよう促す環境を守りたい』


 底意地の悪い見方をすれば、市と県にある程度はあるであろう責任の所在をぼかし、説明責任だけをすることで曖昧にしている言い回しが気になった。同時に説明責任だけで責任を全うできるのか?との疑問も湧いた。少し手ぬるい印象だ。確かに建設コストの上昇は、計画段階で想定不可能なイレギュラーな出来事で増額されることは多々ある。ただ、今回の件はそれらの事と同一視するのは少し無理がある。元々、公社が契約金額の上限を200億円として、入札側のJVが見積書の6項目の経費を事業費から除き、挙手して公社側もそれを知りながら、契約を結んだものだ。本来であれば交渉が不調に終わり、上限額を上方修正し再度入札にかけるのが当然の対応だった筈。官民癒着の批判はあって然るべきだ。出資する広島県と市は『まさかこんなことがあるなんて存じませんでした』では済まされない。管理責任者としての対応がかなり手ぬるいと思う次第だ。

【考察その2】
2号線連結よりも必要なことは関係者の処分と再発防止策


画像4 広島高速5号(東部)線二葉山トンネル工事の様子(画像 アンドビルド広島より)

 手厳しい意見を言うと、広島高速道路公社の理事長、副理事長クラスの引率辞任と残った理事の一定期間の給与減額、出資者行政のトップである広島県知事、広島市長の一定期間の給与減額が相応の責任の取り方ではないだろうか? ブログ主は別に左巻き思想の人たちのように『公共事業は無駄で福祉に~』とか言うつもりは毛頭ないし、広島高速5号(東部)線の必要性もあると考えている。降って湧いたかの印象が強い2号線連結部もネットワークの観点からも絶対に必要だと思う。『ただこのタイミングではないだろ?』と思ったりする。この最悪なタイミングで持ち出す広島市の政治的センスの欠落ぶりにはかなり落胆した。まずは責任の所在を明確にして、関係者に処分を下し再発防止策を打ち出す。批判の世論が静まったのを見計らい、ほど良い期間を期間をおいて2号線連結部の話を持ち出すのが正攻法だ。もう少し市民世論全体に忖度する政治的なセンスを県と市の首長は磨いた方が良い。市議会建設委員会で反市長派市議が鬼の首を取ったかの追及するのは想定内だが、市長派の市議まで非案しているのが特筆される。この問題の不誠実な対応がこの点からも分かってしまう。ひょっとすると、5号線単体の事業費増分は市議会で承認されるだろうが、2号線連結部については否決されるかも知れない。市長への支持、不支持関係なく今回の対応は支持側からみても納得がいかないものだ。本来であれば12年度に一部開通予定だった。トンネル工事の反対運動が起きたため、17年度、20年3月、21年3月と3度も開通予定がずれ込んだ。そして今回の不始末で23年3月になった。もう何かの祟りとしか思えない(笑)。一度お祓いをしてもらった方が良いかも知れない。5号線の後は4号線(広島西風新都線)と山陽自動車道の接続が次期整備予定として検討されつつある。広島県と市の財政難は広く知れ渡っており、複数の地方高規格道路を資金調達が容易な有料道路であっても建設することは財政的には難しい。即ち、5号線開業の遅れは広島高速道路建設計画の全体の遅れにもつながる。


画像5 広島高速道路ネットワーク図(画像 広島市HPより)

 さらにブログ主の懸念を言えば、公共事業に対する市民の目が今回の件でより厳しくなることだ。バブル経済崩壊後以降にデフレ時代に入り、市民は市政の関心度は下がった。まちづくりなどよりも自身の直接の財布の中身となる景気問題、年金&医療などの社会保障問題、教育問題などに関心が移った。しかし、不祥事などの問題に注がれる視線は相変わらず厳しい。そして公共事業に対する視線も同様だ。極論で、『不祥事を起こした原因となるものは排除すべき』の感情的な世論が支配することを憂慮する。ブログ主は公共事業万能論には組しないが、時代関係なく必要なものは必要だし費用対効果さえクリアしていれば問題はないと考える。高度&安定成長期の時代までは、公共事業万能論が世間に幅を利かせていた。公共事業を行えば、対象地区の地価が跳ね上がり住民の資産価値が上がり固定資産税などの税収も上がった。そこににぎわい性が生まれ集客効果が高まり市民の雇用も発生。法人・市民の市民税も増収で行政、企業、対象地区住民、対象区の市民の4者が万々歳になる、これが万能論の構図だった。神話の一つと言っても差し支えないものだった。しかし時代は、右肩上がりの高度&安定成長期は終わりを迎え、低成長期を経て人口減少の縮小社会の時代に入った。経済的にはデフレ時代で経済成長は完全に頭打ちで市民の財布の中身は増えないどころか、少し減った。高齢化の進行で医療、介護、年金などの社会保障費が増大し、かつての公共事業万能論は支持を失うどころか、諸悪の根源扱いをされ始め時代は変わった。極端から極端に走るのが、広島市民だけではなく日本人の悪弊だが大きな違和感を感じざる負えない。広島高速2号&5号線の必要性と今回の不祥事は基本的には別問題で、同列線上で語るのは愚の骨頂で、それこそ感情論でしかない。そもそも広島高速道路は地方中枢都市の中では遅れているとされた自動車専用道路ネットワークを短期間で整備し、一般道路から業務車両を分離して都市の物流機能を確保する目的で厳しい財政の中、鋭意整備が続けられている。個人的には集約都市建設に資する環状道路整備の方が最優先すべきと思うが、都心部地区を流入、通過する自動車交通量の削減の意味合いでは広島高速道路も必要だと思う。今回の不始末にかこつけた感情的な不要論が席巻しないことを祈るばかりだ。

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