前回記事 広島市当初予算案について その1 財政編

【考察その3】
都市機能強化について その1
スタジアム、広島駅南口広場再整備・・・


画像1 広島城真横の長方形の敷地が中央公園自由・芝生広場になる。スタジアムは芝生広場に建設される(画像 ひろたびより)

 20年度は話題に事欠かない。あり過ぎて今日の記事だけで収まるのか不安なので、関心が高そうなものだけをチョイスしたい。

①『サッカースタジアム建設の推進』 事業費5億9632万円
 直近の専用記事 『サッカー専用スタジアム問題の現在地 7』

 建設に向けふるさと納税(個人寄付)額2億円超え、マツダの寄付額20億円超えが話題のサッカースタジアムだが、20年度は埋蔵文化財発掘調査、設計・施工一括発注に係る準備などを行うため、
6億円近い予算が確保された。スタジアム予定地が広島城三の丸
『西御門(にしのごもん)』付近になるので、仮にスタジアム工事中に思わぬところから遺構物が発見されようものなら、工事の中断を余儀なくされる。よって事前に調査を実施して防ぐことが目的となる。スタジアムの建設費の高騰が少々心配だ。14年頃、スタジアム検討協議会で候補地の一つになった時は、建設費は146億円だった。その後詳細を詰めると当然跳ね上がり、190億円に。そして基本計画(素案)を策定すると、230~270億円にまでに。最大1.85倍の高騰に驚きを禁じ得ない。現在の議論から約7年、過去の議論を含めると17年が経過しての実現なのでこのまま、突っ走るしかないがかなりに賑わいを生み出さない限りコストセンターに陥る危惧を感じる次第だ。スタジアム建設の経緯は以下にまとめているので参考に。 ~広島のサッカースタジアム構想~(ウィキペディア) 近々の記事投稿段階では、基本計画の素案が公開されていなかったので詳細は不明だったが、今現在は公開されている。読むとスタジアム自体は多機能単体スタジアムとして建設、最初の建設場所だった自由広場に飲食や物販機能を持たせ、都市公園法で制限される複合機能を補完させる考えのようだ。『パークPFI』(平塚市HP)の手法で、民間事業者に運営と管理を一任させるものと思われる。同地は中央公園の一エリアでもある。中央公園再整備の取り組みの一環で、短期のものとして広島城旧三の丸(現観光バス用の駐車場)に飲食・物販施設をスタジアム開場(24年春)を建設し、弱いとされる相生通り北側のにぎわい性創出に努める。 中央公園エリアの5つのゾーニング~ 中~長期的には、老朽公共施設の集約や移転なども実施される。本当にこの案で、目論む年間約45万人程度の収益性がある賑わいが創出されるのか?個人的には非常に疑問だが、将来のことも考えコストセンターにはしない不断の努力が求められる。今回の建設費の増額で市債発行(スタジアム使用料で償還)額が大幅に上がるが、どう工面するのか、注目である。


画像2 中央公園自由・芝生広場(計約8.5ヘクタール)のスタジアムと広場エリアと連動した多機能&複合化のイメージ(画像 広島市HPより)


画像3 
広電駅前大橋線完成イメージ(画像 広島市HPより)

②『広島駅南口広場の再整備等』 事業費10億4,800万円
 直近の専用記事『広電駅前大橋線、国土交通省に申請』

 14~19年度まで、基本設計、環境影響評価、実施設計などが行われたが、20年度から実地設計と一部工事が始まる。広電駅前大橋線(広島駅~稲荷町交差点間0.7㌔ 駅前通り経由)は19年4月に広電から2ルート(駅前大橋線&皆実町接続線)の軌道新設を国土交通省へ申請した。『広島電鉄株式会社からの軌道事業の特許申請(軌道延伸)事案』として受理され、二度の審議を経て19年10月に、運輸審議会に諮らないで処分等を行うことができる事案として認定された。広島電鉄株式会社からの軌道事業の特許申請(軌道延伸)について~(国土交通省HP) 駅前大橋線のみがクローズアップされがちだが、広島都市圏最大の結節点改善事業で、地上部の南口広場の再整備や広島駅ビルの建て替えも同時進行で実施される。 ~広島駅南口広場の再整備等における魅力的な駅前空間の創出について~(広島市HP) ~広島駅ビル建て替え計画について(JR西日本HP) 新駅ビルについては19年9月から一部工事が始まり、現駅ビルは20年3月末を以って閉館となる。81年に広島駅表口周辺地区市街地再開発事業基本計画が策定され、39年が経過しその間幾度となく社会情勢の変化に晒され、計画の白紙と再出発を余儀なくされたが、25年春の竣工でラストを飾る。広島市の恥部とまで酷評された広島駅前地区だが、10年代半ば以降順調に事業が進み広島の陸の玄関口として都市イメージ向上に大きな役割を果たしている。都心部地区の求心力の低下が叫ばれ、随分と年月を経ているが紙・八地区と共に左右のエンジンとして牽引することを期待したい。


画像4 西広島駅
自由通路完成イメージ図を南口広場から見た姿(画像 広島市HPより)

③『西広島駅周辺地区交通結節点整備』 事業費18億5,800万円
 『西広島駅北口地区のまちづくりの推進』 事業費6億5,216万円
 直近の記事『西広島駅周辺の話題 その4』 

 西広島駅周辺地区もアストラムライン西風新都線延伸とのセット論で語られることが多く、計画の趨勢で左右され、昭和の原風景のまま取り残されている数少ない地区だった。西風新都線の事業化にGOサインが出てようやく動き始めた。12~19年度にかけ自由通路の都市計画決定、基本設計、地元説明会などを経て19年3月に自由通路が着工される。20年度は本格工事に入るために結構な額が予算化された。完成は自由通路建設が23年3月に完成予定だ。南口広場は、『西広島駅自由通路等の整備について』(広島市HP)で検索すると、20年度は関連協議、21年度以降設計と工事に入る予定だ。完成年度については触れておらず、暫定整備にとどめ30年頃アストラムライン乗り入れに合わせ、本格完成する可能性もある。以前見た市の資料にそう書いていた記憶がある。西広島駅周辺は、自JR線、広電路面電車、各バス路線の乗り場が有機的に結節されているとは言い難く不便この上ない。自由通路建設と南口広場の再整備を機に上手く結節されることを切に望む、そしてこれをきっかけに恋地区全体の街のリノベーションにつながれば言うことはない。次は北口地区だ。区画整理の対象は北口広場を含めた周囲約2.9㌶で、30年頃の完成を予定している。18~19年度は、都市計画決定都条例制定、基本設計などが実施された。20年度は用地の先行取得、実地設計が行われる予定だ。西風新都線の導入路となる市道己斐中央線の建設される。地元民の方はどう思っているかはよく知らないが、この地区の県道伴広島線の通りにくさは広島の道路の中でも断トツだ。表通りだけではなく、裏通りもせせこましく運転側は本当に気を使う場所だ。当初の13.0㌶が僅か2.9㌶に縮小され残念だが、改善されることを強く期待する。


画像5 西広島周辺地区の計画図(画像 広島市HPより)

【考察その4】
都市機能強化について その2
アストラム西風新都線、広島市東部連続立体交差化事業


画像6 終点となる西広島駅南口広場のレイアウト(画像 広島市HPより)

④新交通西風新都線整備の推進 事業費2億2,770万円
 詳細記事『アストラムライン西風新都線は本当に必要なのか? その1』

 ブログ主の要らない三大公共事業の筆頭である(笑)。15年頃事業化の判断が下され、16~19年度にかけて基本設計、航空レーザ測量の実施、予備設計、環境影響評価などが実施された。20年度も建設着工の前準備として路線測量や地質調査が実施される。スケジュール的には、20年代後半の部分開業(広域公園前駅~石内東)、30年頃の全線開業を目指す。計画案は次の通り。 ~アストラムライン延伸事業の整備プログラム(案)~(広島市HP) いまさら事業化のレールに乗ってしまったものをとやかく言っても詮無きことだが、『このままで本当に大丈夫か?』の不安感がどうしても拭えない。アストラムライン第1期線で犯した致命的なミス-過大な需要予測-を再びやらかしそうだ。主要な沿線である西風新都(公式HP)の人口はこの数年ほとんど変化がなく5万人台半ば。将来的に増加する見込みも皆無。この地区は広電バスが一手に輸送を引き受けているが、かつての市北西部のバス路線のように輸送力が逼迫した状況でもなく、広島高速4号線経由ということもあり旅行族度はバスでは超異例の23.9~27.3Km/h。因みに現行アストラムラインは30.0km/hである。速達性も何の問題もない。特別な思惑がない限り、導入の必然性がないのである。財政難で、複線規格の800億円(市負担約440億円)の負担が不可能な市がコスト削減-単線建設-してまで、導入する大義が見つからない。需要予測は割と実績値との誤差が少ないといわれる四段階推計法に改め、1日平均1万5,200人と弾いているが、人口6,000人の五月が丘団地に設置される2駅の利用者数を3,000人と弾くなどどんぶり勘定ぶりは改まっていない。因みに西風新都方面の広電バス路線の1日平均利用者数(国土交通省HP)は、約7,500人。広島市の公共交通計画である『公共交通の体系づくりの基本計画』作成の資料でも『西風新都⇔都心』の1日平均トリップ数は、9,600トリップ(9,600人)。しかも広電バス独占の状態でこれである。きっと、広島市の担当者はアストラムラインを導入すると、バス利用者全員と自動車利用者も引き寄せられるようにアストラム利用に切り替える、と幻想を抱いているのだろう。複数事業者が並立すると、公共交通移動需要を分け合うことになり共倒れになるのではなかろうか?このルートのバス路線は、広島市が定める基幹バス路線の一つにも選定されている。ブログ主は代替え事業として、城南通りの時間限定の専用バスレーン化とPTPS(公共車両優先システム)設置、停留所の高規格化、2連接バス車両の導入といった疑似BRT化で西風新都線を上回るものに昇華せることが可能だと考える。コストパフォーマンスはこちらの方が遥かに高い。西風新都線の市負担額は289億円(全体事業費570億円)だが、この金額さえあれば広電路面電車のLRT昇華、バス輸送の改善など広島市の路面公共交通網が抱える問題の大半が解決出来ると思うのだが・・・。冷ややかな目線で事の顛末を見届けたいと思う。まあ生きていればだが。


画像7 アストラムライン西風新都線ルート詳細図(画像 広島市HPより)


画像8 広島市東部連続立体交差事業の概要(画像 広島県HPより)

⑤『向洋駅周辺青崎土地区画整理』 事業費2億8,853万円
 『東部地区連続立体交差化事業』 事業費1億7,000万円


 これも
ブログ主の要らない三大公共事業の一つだ。全体事業費は、数度の見直しで915億円。広島市域と安芸郡府中、海田町の3自治体に跨る事業なので市負担は、166億円となる。鉄道高架化事業の効果は、鉄道で分断した地区を一体開発が可能となる点や踏切撤去による交通渋滞解消、歩行者の安全確保などになる。99年の都市計画決定時には、1,050億円(市負担175億円)だったが、県と市の財政難から13年、15年、18年と計画が見直されたが、本来は15年に完成する予定だった。効果の話に戻すと、他の公共事業と比べ、経済波及効果などが判別しにくい。鉄道利用者の利便性向上も速達性が東京圏の鉄道の複々線化のように上がるわけでもなく、そう多くない。個人的には、分断された地区の一体化したまちづくりが最大なるものと考える。近年地方都市でも、都市最大駅周辺の鉄道高架化事業が盛んに行われている。富山市、熊本市、松山市などがそうである。分断されたそれぞれの広場や地区を再開発しても有効な回遊路がないので所詮は点でしかない。高架駅化することで点同士を結び、太い線にしにぎわい性を向上させる意義は大きい。都市最大駅がそのまま、都心部地区の都市もありまちづくりの観点では効果が高い。公共交通も各路線が集中しておりその恩恵を受ける。一方の広島市東部連続立体交差化事業だが、事業化される区間は都心部地区でもその近隣のデルタ内地区でもない。立地的にはまちづくりの観点だとさほど重要とはとても思えない。これが『広島駅周辺~横川駅~西広島駅』の高架化事業であれば、まちづくり、周辺の道路の渋滞解消の観点からも必要不可欠な事業だったと思うが、ご存じの鉄道駅は高架化せず、周辺の鉄道は盛土による半高架化(?)、跨線橋建設という形で実現しており広島駅高架化は永遠にない。話を戻すと安全性を確保したいのであれば、跨線橋やアンダークロスにて分離すれば問題はない。県と市の相も変わらない財政難、低い費用対効果などを鑑みれば、緊急性もなく必要性もほぼない事業に映る。沿線住民の悲願と、力説されてもそんなものは沿線外住民からすれば、『それが何?』になる。感情論で熱く訴えられても心には届かない。アストラムライン地下線同様に建設期を逸した事業だと考える。

【考察その5】
都市機能強化について その3
広島西飛行場活用、広島高速5号線・・・


画像9 広島西飛行場跡地利用計画の導入機能とゾーニング(画像 広島県HPより)

⑥広島西飛行場跡地の活用 事業費6億9,700万円
 18年12月の広島商工会議所の広島におけるMICEのあり方提言広島市HP)を受け、検討のために『新たな産業(にぎわい)ゾーン』(3.6㌶)とその北隣の『スポーツ・レクレーションゾーン』(約7.0㌶)の跡地利用計画は一旦、休止になっていた。昨年12月検討の結果、巨額の投資は困難として10~20㌶規模の展示施設を中心としたMICE施設建設を見送った。詳細はこちら⇒観音地区における大規模展示場実現可能性に係る検討状況について(広島県HP) 。広島市も商工センター地区で提言の検討を未だにグダグダとしているが、県が下りた以上実現の可能性は皆無なので、とっととやめた方が良い。労力の無駄だ。で、ようやく広島西飛行場跡地利用計画が再始動する。『新たな産業(にぎわい)ゾーン』(3.6㌶)、『スポーツ・レクレーションゾーン』(約7.0㌶)は県と市の共同土地所有。『スポーツ・レクレーションゾーン』(約7.0㌶)の導入施設である野球場や多目的スポーツ広場の建設を市が受け持つ。20年度は、県との共同で基幹道路-南進道路などの区画内道路-などの整備を実施する。ブログ主は、立地的に都市規模的にも『広島西飛行場跡地利用計画』(広島県HP)ぐらいのものが身の丈に合っていると考える。どんぶり勘定、後先考えずイケイケだったバブル期でも思いつかないような広島商工会議所の提言MICE案よりも、既存の跡地利用計画案を支持しているので再開と聞いて安心した。余計なものが割込み、休止を余儀なくされたが今後は計画に沿って着実に進めてほしい。


画像10 広島高速5号(東部)線の終点の二葉山トンネルの工事の様子(画像 アンドビルド広島より)

⑦広島高速5(東部)号線 事業費43億2,620万円
 直近記事『広島高速道路の話題 3』
 昨年、工事契約の不備と人件費や資材費の高騰で143億円の増額となり、採算性に問題があるとして放棄した2号線との連結工事の復活で167億円、関連する事業費の増額37億円が加わり計347億円の増額で、総事業費が計画時(00年)の1.5倍まで膨張した広島
高速5号(東部)線。今回の不祥事の増額分が、今回の借入金&出資金26億5,000万円と関連市道整備費16億7,620万円にどこまで反映されたのかは、予算案を見る限りでは読み取れないが、余計な支出を生み出したのは間違いない。市、県議会で増額&2号線連結の反発はかなりのものがあったようだ。普通に考えれば、2号線連結の復活をぶち込まないと、増額分だけで費用便益比の計算をすると事業に是非の判断となる1.0を下回っていた可能性もあり、批判覚悟でそうしたと予測できる。現に費用便益比は、1.01から1.10に改善している。苦し紛れの小手先策だが、時期などの道義的な問題は残る。広島高速5号線は広島空港のアクセス道路の大任を担うため、その必要性は高い。5号線単体の開通は21年3月、2号線連結部は24年度の開通となっている。二度とこのような不祥事を起こすことなく万全を期してほしいものだ。今後の広島高速道路の建設予定を予測したい。2号線連結部工事が急遽入ったので、本来予定されていた4号(広島西風新都線)線と山陽自動車道との接続は、20年代半ば以降の工事着手になる。開通は30年前後と読む。その後は完全なシュミレーションとなるが、2号、3号線の暫定2車線開通区間の4車線化工事はあるだろうが、未だ計画検討(構想)路線の5号線2期、南北線などは(構想のままだと)ルートが寺町・舟入通りになることが予測され、騒音や日照権の生活権侵害で行政訴訟になる可能性がある。30年前後だと広島市のような地方大都市部でも、人口減少傾向が顕著になり始め、導入の是非を問われ廃案になるかも知れない。この2道路は自動車専用道路での環状道路建設になるが、ブログ主もそこまでの必要性は感じない。どうしてもと思うのであれば、ルートを大きく迂回させ、景観、生活圏の問題が発生しない太田川放水路に変更した方が良いかも知れない。


画像11 広島高速5号(東部)線総事業費の変化(画像 中国新聞より)

その3へ続く

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