封入体筋炎患者闘病記

 封入体筋炎患者のヒロです。病歴は2019年で満11年、12年目に入りました。在宅勤務の仕事とリハビリの日々を送り、細やかながらも家族3人で暮らしています。ブログ記事は闘病記と広島地元ネタ、社会保障などの時事ネタ中心です。希少疾患の封入体筋炎の周知が目的です。関心があれば、ツイッターなどでご紹介していただければ幸いです。疾患関係で直コメントが苦手の方は、ツイッターのダイレクトメールを利用してください。封入体筋炎の闘病史は各進行段階の症状や生活障害、必要な社会保障制度等をまとめています。良ければ参考にしてください。最新の封入体筋炎の状況は『近況について色々と』、取り組んでいるリハビリについては『2019年春~夏 筋疾患(封入体筋炎)リハビリ』にて素人の体感目線で書いています。モバイル版で読みにくい場合は、PC版に転換してからお読みください。

2016年02月

シリーズ記事 ミオパチー情報 

1 嚥下(えんげ)障害の概略

 今日はこの話題から始めたい。私の持病である封入対筋炎は発症して丸8年、春から9年目のシーズンに突入する。初発発症年齢64.4歳±8.6歳だそうだ。初期症状としては、階段の昇降が難しくなったり、膝折れ転倒リスクの高まり。指先の筋低下により、手に持っているものを落としたりなどがある。四肢の筋力低下が様々な生活障害(認知症の生活ナビ)を引き起こす。封入体筋炎の進行により、筋低下が進むと当然生活障害も広がり、出来る事が減り、出来ない事が増える。四肢の筋低下以外では、輪状咽頭筋の開大による嚥下(えんげ)障害がある。今日はこれに触れたいと思う。


画像 水木歯科医院HPより 後ろ首筋の骨下辺り(首の付け根)にある筋肉。

 嚥下障害とは、筋疾患だけのかかわりで言えば、筋低下により輪状咽頭筋が開大障害を引き起こし食したものを喉に詰まらせたり、むせたりさせることだ。飲み込みの悪さと言えば、分かり易いかもしれない。消化が良くないもの、例えばパン・チーズなどを食べた時に、食後暫く残物感が喉一帯を支配するのはまさにそれである。嚥下(えんげ)障害の弊害を下記にまとめてみた。

嚥下(えんげ)障害の弊害
① 消化しにくいもの(パン・チーズ等)やサイズが大きいもの(餅類)を食した場合、詰まらせて窒息する可能性がある。
② 食欲減退、③ 脱水症状を起こしやすい
④ 誤嚥により、肺炎発症リスクが異常に高くなる。

①についてはこれまで何度か経験したことがあり、餅類に関してはここ3年食べたことがない。正月の雑煮も私だけ餅なしである。風情が無いと言えばそれまでだが、正月のニュースで高齢者が、餅で喉を詰まらせて窒息死した話をよく聞く。私にとってそれは笑い話ではなく、現実世界で起こり得る話だ。風情が無くても死ぬよりはマシだと思う。②と③は好運なことに経験がない。食欲は、カロリー消費量対比ではある方だと勝手に思っている。大して、重要でもないと思う。この項目では、①と④が重要となる。理由は生命にかかわる事柄であるからだ。④について、別項目で述べる。

2 
嚥下(えんげ)障害による肺炎リスクの高まり

 
封入体筋炎と肺炎との関係を考える。封入他筋炎の場合、筋ジストロフィーなどとは異なり筋萎縮の部位が四肢と口腔、嚥下に限られる。脳や心筋は比較的侵されにくく、それ理由の死は少ない。しかし、その進行により嚥下障害がより深刻になり、肺炎を発症して死に至るケースが多々ある。もう1つは、封入体筋炎に侵される部位は
四肢と口腔、嚥下だけである。安心したところだが、そう甘くはない。筋肉と言うのは臓器と違い独立した器官ではない。身体全ての筋肉と繋がり、連動している。病魔に侵された部位の活動量が減れば、連動している部位の筋肉も活動量が当然減る。使わなくなると、筋低下を起こす。筋低下速度が病魔に侵されている部位よりも遅いだけの話となる。ウキペディアに記載されている、「封入体筋炎」の項目などこの部分が書かれていない。あれ自体、100%の信憑性があるとは言い難いので、差し引いて読めば問題はないと思うが。先に書いた肺炎リスクの高まりの理由の1つにこれも入る。別の言葉で言えば、こうだ。

四肢(手足)、口腔・嚥下→封入体筋炎による1次(直接)被害
体幹、脳→
封入体筋炎による2~3次(間接)被害

と言える。次に嚥下障害から肺炎リスクが高まる過程を見てみる。通常、食事をとり食べ物が口腔に入ると、
嚥下時気管に蓋をするように動き、嚥下内容物食道へ流れこむように誘導する。筋疾患による筋低下を引き起すと、輪状咽頭筋が緩くなりその結果広がり、
喉頭蓋(こうとうがい)の蓋の意味がなくなり、気管支にも流れ込み、肺に辿りつく。そしてつまって、肺炎を発症するリスクが高まるのである。


画像  川村内科診療所HPより  筋疾患が堂々の2位である。

3 嚥下(えんげ)障害体験談

 次は、私の実体験から話を進める。と言っても喉を詰まらせて、窒息死寸前まで追い込まれたことはない(笑)。文頭でも言ったが、パンやチーズを食べると喉に何か残ったような残物感がある。これは食後30分は続く。水を口に流し込むと多少マシになるが、それでも完全に消えない。ただ空腹時と満腹時とでは若干異なる。封入体筋炎発症時から嚥下障害を感じる場合もあるようだが、私の場合は発症時には全く感じなかった。感じ始めたのは2012~13年辺りからだ。餅も4年前の元旦を最後に食べていない。4年前、元旦の日に家族で雑煮を食べていた。ここまでは何処でもある正月風景だ。ここからが普通ではなかった。飲み込もうとした瞬間、本能的に危険を感じ、トイレ駆け込んだ。指を口に入れ、吐き出した。窒息する可能性を感じたのでこうした行動に出た。そのままでも事なきを得たとは思うが、これまで感じたことがない危険を肌で感じたのは事実だ。

 実は、去年面白い実験をした。喉が渇いてもいないのにコップ1杯(200~300㏄程度)の水を一気飲みをする、といったものだ。健常者であれば「何それ?」だが、筋疾患患者には相当勇気が必要な実験だ。結果から先に言うと、半分飲み干したところで体が受け付けず、吐いた。その後むせて咳き込んだ。これも嚥下障害を感じさせる例だと思う。もう2度とこんなバカなことはしないと強く誓った。

 ついでにもう1つ。飲み込む力同様に大事なのは噛み砕く力だ。噛み砕く力とは口腔の筋力になる。こちらの低下も著しい。それは歯磨きの変化で読み取れる。私は、歯ブラシに歯磨き粉をテンコ盛りにして、冬場は視覚過敏なのでお湯でうがいをするのが「マイルール」の人だ。当然、泡立ちも最高だ(笑)2年前から、口の中の泡が口の横からこぼれ始めるようになり始めた。これは量の問題ではなく、口腔の筋力の問題だ。要はここも筋低下が著しく、そのようなことになるのだ。うがいもまた然りで、口の中7分程度を超えると許容量を超えてしまう。これもすでに実験済みだ(笑)

4 嚥下障害の対応
 
 封入体筋炎というか、筋疾患全般に言えることだが治療法が全く確立されていない現状では薬投与の改善は難しい。血液製剤の免疫グロブリン大量療法(ウキペディア)が嚥下障害には多少の効果があるとされている。私も過去に2011年11月と2012年8月の2度行った。当時は嚥下障害をあまり感じておらず、効果が分からなかった。大腿四頭筋(膝上太もも筋肉群)の改善のみ意識が支配され、そこまでの余裕がなかった。
となると、リハビリに頼るしかない。筋疾患専用ではなく高齢者向けの加齢・廃用性理由による嚥下障害予防だが、個人的には参考になると思うので紹介する。 ~嚥下(えんげ)障害予防は日常のトレーニングで~(オムロンHP) 私が実践しているものを抜粋してみる。

ZONOお勧めの「ストップ・ザ・肺炎メニュー」
① 背筋を伸ばした姿勢を心がける(特に首筋には注意)
② 口内衛生には細心の注意を払う(1日3回の歯磨き)
③ 発音トレーニング パ行、ラ行、タ行、カ行、マ行
④ 腹式呼吸 深い深呼吸を心がける。
⑤ 首周りのストレッチ強化 前後左右、時計回り・反時計回りにストレッチを行う。
⑥ 歯磨きの時のうがい回数を増やす。
⑦ 口を縦と横に開く動きをさせる。

 筋トレというよりは、ストレッチに近い感覚だが筋疾患進行を加速させるほどの負担もなさそうだ。それでも心配であれば、担当医やリハビリのトレーナーと相談しながら決めてもいいと思う。その辺は自己責任の範囲となるが。座った際の姿勢を注意するだけでも、無意識にリハビリが出来て悪くないと思う。⑥と⑦は以前から行っている独自筋トレの一種だ。今日はこの辺でお開きとする。




続く。



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シリーズ記事 2011年病名が変わった日
関連記事 2008年の出来事


 この記事は2011年、病名がミトコンドリア脳筋症から現在の封入体筋炎に変わった当時の様子を書いている。当時の会社のことは、文中ではわざと役職名、業界用語、他の表示する言葉も曖昧な表現にしている。今回の記事から、そろそろ核心に触れる内容としたい。入院で行った検査は以下の通りだ。4年以上前のことなので、記憶が曖昧になっているがその曖昧な記憶を辿りながら書き記す。

1〕 検査入院で行った検査(前半の2週間)
MRI(磁気共鳴画像診断)CT(コンピューター断層撮影)腹部エコー(日本人間ドック協会)、心臓超音波検査(心エコー)肺機能検査(病院の検査の基礎知識)、知能テスト、筋電図(医の達人)
 2〕 検査入院で行った検査(後半の2週間)
※注1筋生検


画像 3台目となるナイス(?)なデザインのMRI(広島大学病院HPより)

※注1筋生検
 筋電図と共に神経・筋疾患の中では最も重要な検査の1つ。各種検査を進め、病名特定に至らない場合筋生検を行い最終判断する事例が多い。方法は、骨格筋の筋組織の一部(1.0~1.5cm)を皮膚麻酔のみ(脂肪・筋肉麻酔なし)で手技で摘出する。摘出部位は、その他検査により疾患に侵されている部位を選択する。上腕二頭筋(力こぶが出る場所)や大腿四頭筋(太もも膝上)のケースが多い。摘出した筋組織を電子顕微鏡で観察、そして病名特定を行う。筋組織は本人同意の上、国立精神・神経医療研究センター病院に送られる。 ~国立精神・神経医療研究センター病院HP~ 因みに私は左足の太もも裏(ハムストリング)だった。

 
筋生検以外は最初の病名特定(ミトコンドリア脳筋症)時に行った検査なので、過去の経験値があり不安とかはなかった。最大の不安はやはり筋生検だった。色々と耳情報はネットで調べたが、不安感を増長するものばかりで、気分が晴れなかったが「百聞は一見に如かず」と割り切った。そもそも、この筋生検目的の検査入院なのであれこれ言っても今更だ。その日の検査スケジュールは前日、担当看護師から伝えられる。あくまでも予定であり当日の状況でよく変わった。担当医も検査入院患者専用ではない。外来患者を数多く受け持ちその合間に入院患者も受け持つ、といった感じだった(印象では)。その外来患者の時間が延びれば、その分、割を食うことも多々あった。午後の検査の予定が夕方以降になり、結局翌日にスライドしたり、逆に予定が早まったりとかもあり外来患者の影響をよく受けた。これはある程度仕方がない。外来患者は遠方からわざわざ時間を作り来ている。こちらは、入院棟に拘束されある意味フリーの状態だ。自ずとどちらを優先するか、普通に考えればお分かりだと思う。2週間で7つの検査しかしないのだ。入院生活は暇との戦いでもあった。リハビリとかもあったので1日3か所の予定が入る日がある一方で、予定がずれて2日間何もなしということもあった。検査場所は大体は、大学病院の検査部だった。 ~広島大学検査部~(広島大学病院HP)

 前回までの記事で書き忘れていたことが1つあった。入院直後、バーコード入りリストバンドの着用を義務付けられた。患者の管理する上で効率がいいのだろう。しかし、何やらものというか商品扱いされた気分となり良い気持ちはしなかった。シャワーを浴びる時間以外は、就寝時も着用していた。異様に早い就寝時間や病院特有の「病院時間」にも次第に慣れ、検査の方も時々イレギュラーな出来事があっても順調に進んだ。検査開始初期は、筋疾患発症時同様に実はこの病気だということが当然分からない。特定されていたミトコンドリア脳筋症は検査入院の時点でリセットされているのだから。この種の病気の事や医療環境の事が全く不明だった発症当時よりも難病に対してのメンタルの耐性も出来ており、「来るならかかってきやがれ」と思っていた。まあ気にはなったが、発症後20~30年で100%死に至る病気以上のものが、※注2ミオパチー系の筋疾患には存在しない。「今以上に酷いことには絶対にならない」との確信もあった。


※注2 
ミオパチー系の筋疾患
 筋委縮する神経性難病は、2つの大別される。ニューロパチーとミオパチーである。特定の疾患名ではなく、数多くある疾患の総称だ。個別の疾患名にも「〇〇ミオパチー」があり、実にややこしい。
ミオパチーとは、筋肉に何らかの異常が生じて筋萎縮を引き起こす。筋原性疾患とも。体幹に近い近位筋(大腿四頭筋など)から筋委縮する疾患が多い。各疾患名は右記参照 ~ミオパチー~(ウキペディア)


動画 スパイロメトリー(肺機能検査)の様子。スパイロメーターを使い、肺、呼吸の検査を行う。

 家内も毎日見舞いに訪れ、前日の検査の様子やその時点での病名特定状況などしきりに聞いてきた。やはり気になっったのだろう。前回同様、検査進行中の段階では担当医に聞いてもこちらが納得する回答は得られない。途中でわかる程度の疾患であれば、こんなには苦労しない。と、聞かれる度に心の中ではそう思うのだが、親身になり聞いてくる様子を目の当たりにすると無下に否定も出来ない。「まあ、まだ無理だろ」とか、「そう慌てるなよ」などとお茶を濁していた。検査入院して約2週間が経過した。その頃には、
筋生検以外の検査はすべて終了した。最後の検査の結果が出て、その日の夕方以降に私の担当医とお付きの研修医2人が私の入院部屋に来た。表情を見ると3人ともいつもよりも厳かと言うか、険しい表情だった。本能的に私にとってあまり良くない知らせだと察知した。時間的に外来患者の診察が終わり、休む間もなくこちらに来たという感じだった。そして、担当医が手に持っていたプリントを私に見せながら、話を切り出した。

担当医「ZONOさん、あなたの疾患ですが現時点では筋ジストロフィーの可能性が一番高く50%、次は封入体筋炎で約30%、最後に遠位型ミオパチーが20%です。」
ZONO…………………………。そうですか、筋ジストロフィーですか
………………。
担当医「ただ、これはこれまでの検査で調べた範囲での所見です。筋生検前ですので、絶対ではありません。ただ、3つの病名が候補にあがりましたが、このうちのどれかになることは確実です。」
ZONO「筋ジストロフィーですか。筋ジスかぁ~。」

 実は入院中もそうだが、私自身この疾患を一番疑っていた。ミオパチー系の筋疾患では最もポピュラーでALSと共に筋疾患の代名詞でもある筋ジストロフィーは、その名を聞くだけで死を想定させる。ALSが東の大横綱としたら筋ジストロフィーは西の横綱ともいうべき存在だ。最初についたミトコンドリア脳筋症は関脇クラス、現在の病名の封入体筋炎など前頭10枚目辺りだ。分かっていたが前回同様、医師の口から直接聞くと刑事犯が裁判官から判決を言い渡された気分になる。せめてもの救いは、確率が50%で違う可能性も高い確率で残っていたことだ。それに縋ろうとした情けない自分がそこにいた。さすがに気分が落ち込み、頭の中で色々なものを駆け巡りその日は中々寝付けなかった。次の日、家内がいつも通り見舞いにやって来た。家内には気が重いが、報告する義務がある。病室で話すのも気が引けて、人気のないデイルームに誘い、報告した。言い終わると家内は、一言こう言った。「まだ、本決まりじゃないよね?」と。

 別の病気の可能性もそれなりに高かったので、私も「現時点での話。検査は残っている」とだけ言った。ミトコンドリア脳筋症と筋ジストロフィー、両方死に至ることには変わりはない。しかし、イメージとは恐ろしいもので後者は、「死刑判決」に近い響きがあるから不思議なものだ。こうしたショックも覚悟の上で、真の病名特定のために検査入院したはずなのだが、やはり実際に大きなショックを食らうと相当なダメージだ。「悪魔はこの私にさらに追い込み、試練を与えるか」、と何やら悲劇の主人公気分に浸ってしまった。健康体と信じていた人がいきなり癌の余命宣告された気分に近い、と言えば正確かも知れない。時間の余裕が決定的に違うので、比べるのはさすがに失礼か。現時点(2016年)であれば、進行して2、5,10年後がほぼ予測可能だが、この当時(2011年)、発症時(2009年)よりは進んでいたが将来予測可能なほど進んではいなかった。持病の事を考えない時間の方が圧倒的に多く、それが私のメンタルに好影響を与えた。発症時の病名特定するまでの苦しみがまた再現するのか、と恐怖した。入院で時間が有り余るのも本当によくない。

 筋ジストロフィーの高い可能性を示唆されてから、
筋生検、その後の病名特定までの約1週間は筋疾患発症後第2の地獄の期間だったと言える。次回は検査入院の真の目的の筋生検について、書きたいと思う。

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画像 検査入院当時(2011年)の診療棟。ブログ主2015年撮影




続く。



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1 なぜ、海外都市なのか?

 前ブログで、路面公共交通中心に都市個通問題解決に取り組んでいる海外事例を紹介した。理由は、広島市も財政難、今後迎えるであろう人口減少、デルタ地質特有の建設コスト高を抱え、次期「公共交通の体系づくりの基本計画」(P17~ 広島市HP
)では路面公共交通(広電市内軌道線・バス)の機能強化を打ち出した。これらは、デルタ内準基幹公共交通として位置づけられ、主にデルタ内移動手段としての役割が与えられている。この計画は各交通機関の特性を活かし階層化しているのが特徴だ。具体的な施策に乏しいところはあるが、方向性は間違ってはいないと思う。国内都市では参考となる事例はそう多くはないが、海外に目を向けると同規模都市圏人口の都市で、同様の都市が意外とある。何かの参考になると思い、紹介した。今回もリメイク記事として掲載する。

 今回はドイツのブレーメン(ドイツ)、チューリッヒ(スイス)やアムステルダム(オランダ)、メルボルン(オーストラリア)などを取り上げる予定だが、これらの都市はフル規格地下鉄があっても不思議ではない。しかし、バス・LRTのみの対応だ。これらの都市の共通点は、LRTへの昇華を図っていることだ。既存トラムのLRT化は、難しい。急場しのぎの印象が強いが、道路交通の利用制限を伴うので自動車利用者や沿線住民、中心商店街の反対も強く、困難を極めるからだ
。一向にLRT化しない広島市の状況を見れば、よくお分かりだと思う。そのような中でも、路面軌道の専用化ーセンターリザベーション化(下記動画参照)、PTPS(公共車両優先システム)設置や軌道を移設してサイドリザベーション化(下記動画参照)など自動車交通の影響を受けにくい区分軌道化を進めている。表定速度も都市によりまちまちだが、概ね15~20km/hと新設LRTと遜色のない水準だ。

動画 ユーチューブより  パリT3線のセンターリザベション区間の様子。軌道の嵩上げ(軌道脇の自動車との高低差に注目)して、芝生軌道化している。縁石や花壇、簡単なポールで区切る例も多い。


動画 ユーチューブより  グルノーブルE線のサイドリザベーション区間の様子。トランジットモール以外の区間でも、サイドリザベーション化により区分軌道化している。


 モータリゼーションの波で1950~60年代に廃止、LRTが都市交通の潮流になった1990年代以降に復活した都市は、復活に対してアレルギーが比較的少ない。「遅くて邪魔な乗り物」と言ったネガティブイメージが50代以上の階層にあるが、それ以下の階層は、良くも悪くもイメージが沸かない。架線設置による都市美観悪化に対する反対意見は多いが、イメージが沸かないものに反対する理由がないのだ。それに対して、何らかの理由で生き残った都市の場合今ある路線に対しては寛容だが、新規路線建設や車線減少、自動車乗り入れ規制を伴う改良には、新規導入都市よりも批判的だ。現物が目前を走り、よく知っているからだ。電停の延伸・拡幅・統廃合、1つ取っても容易には進まない。財政上の理由があるにしろ、トラム(路面電車)のLRT化に積極的に取り組む姿勢は評価出来る。郊外新線建設で表定速度の底上げをしている側面があるが、既存区間のLRT化にも挑戦している。

2 広島市の現状
 
 一方の広島市だ。こうした海外の先進都市と比べるのは、国情が違うのでナンセンスだという意見もある。日本のLRT新規導入都市が一向に誕生しないのは、軌道法の縛り(最高速度40km/h、1編成長30m以下)があり、これがLRTをバス以上中量輸送機関(モノレール・AGT)未満の中途半端な存在にしていると考える。これは輸送力や速度の面では正解だと思う。走行環境に関しては、別の話となる。
1997年に路面電車走行空間改築事業(日本交通計画協会HP)が導入された。これ以降整備に向けた諸制度は手厚くなり、今や欧米各国と遜色のない制度が整っている。 ~LRTの整備に対する支援~(国土交通省HP) 熊本市は、熊本電鉄のLRT化、そして熊本市電との相互乗り入れの構想は消えたが、熊本市電のLRT化には積極的だ。~熊本市電サイドリザベーションの取組み~(熊本市交通局HP)、~路面電車優先システム~(熊本市HP) 鹿児島市では路面区間8.75kmのセンターポール化は1992年に完了して2012年には、路面区間の緑化軌道化も完了した。路線延伸、新線建設の動きは鈍くとも既存線区間改良はそれなりに動いている。


動画 ユーチューブより  サイドリザベーション化された熊本駅周辺区間を疾走する様子。

 広島市の場合だと、横川駅・広島港の結節点改善(2003年)、14電停のバリアフリー化(1999~2014年)、超低床車両(1998~)の置き換え、原爆ドーム前付近、海岸通り付近の軌道緑化が進んだ。今後は広島駅(2024年~)、西広島駅(2030年代前半)の結節点改善が予定されている。肝心の走行条件の改善策は殆ど進んでいない。走行条件改良が比較的進んでいる地域(熊本・鹿児島・長崎・富山)は、新幹線建設による追い風があったのは事実だ。それを差し引いても遅れていると言わざる負えない。その結果、広電市内軌道線の表定速度は、年々低下して1993年は11~12km/hだったものが、2010年には9.0~9.5km/hまで低下している。この間に大幅な利用客増はないにもかかわらず、この有様だ。結果的には、一連の改良が全く功を奏していないとも言える。

 別記事だが、サッカースタジアムで広島みなと公園が建設最適地として本決まりの雲行きだ。アクセス問題が終始とやかく言われる理由の1つに、広電の公共交通の信頼性の問題がある。2016年度より事業を開始するアストラムライン「西風新都線」については、優先順位の問題から反対だ。必要性がないとは思わないが、この路線に広島市負担分289億円(全体では570億円)を投資しないで、今後15年間で広電のLRT化、バスの高度化に投資すれば、とつい考えてしまう。西風新都線の建設費約570億円をもってすれば、2005年に中国運輸局が提案した平和大通り西・東線、駅前大橋線(ルート路線図)の建設と老朽車両の置き換えをしてもお釣りがくる。このBP線があれば、広電市内軌道線の諸問題の大半が解決する。鉄道ターミナル・デルタ地域・都心部を東西に貫く大動脈となる路線なので費用対効果も高い。

 
3 アストラムライン整備の呪縛

 理由はいくつかある。広島市の財政難だ。現在広島の鉄軌道計画は、アストラムライン西風新都線、広電駅前大橋線、江波接続線(西観音町交差点ー江波線)の3つだ。江波接続線が具体化しない理由に、緑大橋の建て替えがある。建て替え費用が50億円とも言われ、平和大通りが市道であるためにほぼ広島市負担となり棚上げされている。財政難からこの費用が捻出、出来ないのだ。

 次はアストラムライン計画との兼ね合いだ。下記画像は、1999年に策定された新たな公共交通の体系づくりの中で示されたアストラムラインの延伸計画案だ。30年前後を目途に、3段階整備方式で完成させる予定だった。アジア大会後の財政難から第1次財政健全化計画期間中(1998~2003年)に策定して、期間終了後着手するとした。ところが一向に財政は改善せず、2003年に財政非常事態宣言(広島市HP)を発令、第2次財政健全化計画(2004~07年)に突入した。当然この計画も棚上げされ、一時凍結した。1998~2007年の10年間は都市インフラ整備の失われた10年だったと言える。秋葉市政時代を「何もしなかった」と批判する人がいるが、正確には「したくても出来る状況ではなかった」だ。任期12年のうち9年間が財政健全化計画期間中なのだ。さすがに無理だ。好き嫌いの問題と分ける必要があるだろう。


画像 1999年策定の「新たな公共交通の体系づくり」より  3線の事業費が約3,000億円以上の巨大事業。東西線(緑点線)、南北線延伸(紫点線)は中国運輸局より複数理由による猛反対を受けていた。この2線は、国の未認可のまま計画縮小となり白神社までとなり「都心線」となった。唯一認可された「西風新都線」は、経由地を一部変更、そして単線化されて2030年代前半に開通する。 ~アストラムライン延伸プログラム~(広島市HP)
 

 2007年時点では、西風新都線は「財政状況を鑑みながら、将来は事業具体化を前向きに検討する」。東西線・南北線延伸については、「代替え交通機関(急行バス新設など)整備でその役割を果たす」とされていた。実質廃案ともいえた。東西線5.4km1,700億円、南北線延伸1.4km600億円で、資金調達の目途がまるで立たない事を考えると妥当な判断だ。ところが秋葉市政から現在の松井市政に入ると、いきなりアストラムライン西風新都線計画を動き始めた。理由は分からない。現在の「新たな公共交通の体系づくり 基本計画」でも一部区間(上記画像2期)が「都心線」として首の皮1枚残った。陸の表玄関である広島駅を経由しない路線に何の意味があるのか、疑問だ。環状線化が唯一無二の理由だろうが、さほどの必要性は感じない。そろそろ、アストラライン整備の呪縛から解放される時期なのだ。将来人口が150万人になる、高齢化率(65歳人口構成比)が異常に低い、財政状況が良好、であれば少々の赤字覚悟でも市税増収で収支トントンになるかも知れない。もうそんな時代ではない。個人の考えに過ぎないが、アストラムライン整備計画の存在が、広電市内軌道線のLRT化を心理的には盤む要因になっていると考える。投資可能な財源が限られる中、二兎を追うのはやめて、一兎に絞ったほうが良い。アムステルダムや
ブレーメンなどはフル規格地下鉄整備の呪縛から解放されて、路面走行式LRT整備にシフトチェンジしている。

 こうした広島市の状況を踏まえて、次回以降路面公共交通だけで鉄軌道系問題に取り組んでいる海外都市の事例を紹介したいと思う。


続く。



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シリーズ記事 近況をついて色々と 


1 息子の高校受験

 さて、毎日スタジアムの問題ばかりでは飽きるし、一番の関心事である1人息子の私立高校受験ウイークが終わった。私の高校受験した昭和の時代は、受験可能な高校数が限られていた。国立1校、公立1校、私立2校で日程の枠組みが決まっていた。大体3校が殆どで私もその1人だった。私の実家が安佐南区の祇園だった。当時公立校は学区制があり、市内六校と呼ばれる高校は学区外だったので3%枠があった。主要5科目は、そこそこ出来たが音楽と技術が本当に苦手でこれがネックとなった。それで学区内で一番マシだった毘沙門台にある学校を受験した。国立は受験なしで私立は中区にある学校と、東区の学校を受験した。

 当時、剣道をクラブ活動でしており、割と強いほうだった。3校共に大学進学には問題のない学校だったので、クラブ活動中心に考えた。そして、当時県内ベスト8の常連だった毘沙門台の高校に進学した。一番バランスが取れていたからだ。中区と東区の私立高校は剣道が絶望的に弱く、男だけの世界も勘弁だった。学歴や年収に人一倍うるさくそれが全ての価値だった父などは、中区の私立高校の進学を強引に押し付けてきたが、私は跳ね除けて意思を貫いた。家内は西区から、生まれてこのかた出たことがない世にも珍しい人なので、地元の埋め立て地にある公立高校に進学した。家内は、家庭が経済的に大変だったらしく、大学進学で上京希望はあったようだが叶わず、南区にある地元大に進学した。
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画像 平成28年度の広島県私立高校の募集案内


 で、息子に話を戻す。息子は私が約8年前に筋肉が萎縮する疾患に発症したので、その影響で医者を目指している。さすがに医者となると、遺伝子的に半々だが、本人が望むのであれば全面的にバックアップしたいと考えている。「医者になり、筋疾患をはじめとする難病で苦しむ人を救いたいとか言っている。私の筋疾患発症が息子の人生に影響与えてしまい、親としては恥じ入るしかない。小学校時代あれだけ熱心だったサッカーもやめてしまった。本人の意思なので、間違った方向でなければ口を出すべき問題ではない。私は医者とか弁護士とか俗にいう若くして「先生」と呼ばれる人たちがあまり好きではない。

 一般論となるが、頭でっかちで社交性に乏しく生息している世界以外、生きていけない印象を持っている。「左寄りで、実務能力があまり高くない」といった偏見もある。出来れば、そこそこの企業で頑張ってほしいと漠然と考えていた。私など将来のことを考え始めたのは大学3年生からだ。それまでは、欲望の赴くままに生きてきた。必要な時に何となく勉強して、クラブでの剣道も県総体ベスト4以上を目標に、みたいな感じだった。大学に入学してからも調子に乗って、遊び呆けていた。その都度、それなりの目標はあったが人生のグランドデザインなど描く発想すらなかった。過去を振り返ると、目的意識を持ち達成のために何が必要でどうすればいいのか、それを分かっている息子は立派だと思う。小学生の頃より、「目的意識を持ち、それに向かって努力しろ」と、事あるごとに言い聞かせていた。その影響もあるだろう。

 難病の筋疾患となり、家族への依存心が増しているので、過大評価なのは承知している。親馬鹿なのも当然理解している。息子の純真な気持とその努力に親として、最大限に報いたいと思う。家内も全くの同意見で、私にこのような感情があることを知り驚き、そして喜んでいた。自尊心と野心の塊の人間だと、思っていたようだ(笑)現在のライフスタイル、在宅ワークとなり自由な時間が増えた。衆人監視の下で働かないというのは楽なほうへ流れやすいが、自己管理能力があれば問題はない。本来なら身支度や往復の通勤時間で、2時間は割かれる。在宅ワークであればそれもない。1日2時間、得をしているのだ。年間528時間、日数換算で22日も有意義に使える。障害者になる前は、忙しくて取れなかった家族との時間と個人の趣味(笑)に充てたいと思う。息子の高校受験は、まだ道半ばだ。3月に入ると公立の受験が控えている。私立は2校受験(一般入試のみ)して合格した。奢ることなく頑張ってほしい。
 
2 筋疾患(封入対筋炎)の現状

 最新のニュース(?)だが、昨日入浴中転倒した。状況を話せば、筋力の問題と言うよりはボディソープとシャンプーの泡で足を滑らせた。腕の筋力が落ちると強くこすれなくなり、どうしてもボディソープの使用量が増えてしまうのだ。それは仕方ないとしても、洗い流すと当然風呂場の床面が、泡だらけになる。足を滑らせて転倒リスクも高まる。いつも注意はしていた。注意していても、転倒するときには転倒するのが、この疾患の厄介なところだ。尻もち転倒だったが、右の尾てい骨と臀部の右横を強打した。筋疾患で筋肉が削げ落ちて骨と皮、そして少々の脂肪だけの状態。そこで強打すると、とんでもない衝撃と痛みが襲う。リハビリの効果も多少あってか、椅子に座って多少の違和感と痛みを感じる程度で済んだ。しかし2~3日は、湿布と友達になるしかなさそうだ(笑)

 転倒後衝撃でかなり焦ったが、焦っても状況は変わらない。座ったまま体をこすり直し、洗い流した。座った姿勢で脱衣所へ移動。身体をバスタオルで拭き、そのままの態勢で着衣。そして自室へ腕の力で移動。介護用の電動ベットに辿りつく。ベットの高さを最大限に下げて、上半身をかぶせる。両足を伸ばしてベットの高さをゆっくりと上げる。立ち姿勢の完成だ(笑)そして髪の毛を乾かすために、再度脱衣所に行く。本当に自力で立ち上がれないのは不便極まりない。数秒で済む動作が20分もかかる。私の担当医がミオパチー系の筋疾患を指して「身体を動かす自由を徐々に奪う病気」と言ったが、言い得て妙だ。正にその通りで、その自由も時間をかけて嫌がらせのようにジワジワと奪う。こちらは抵抗する有利力な術がない。
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画像 アルパーク前の公園  

 先週の土曜日散髪に出掛けた。ここ3年くらい、アルパーク東棟3階のカット屋がご用達となっている。今はやりの1,000円カットの店だ。理容師さんの個々の腕が出来栄えを大きく左右する。上手な理容師が担当すれば「ラッキー」、そうではない場合は「ハズレ」と割り切っている。消費税が8%になる前は、1,000円きっかりだったのが8%導入後は、税込み1,080円となった。65歳以上の高齢者のみ1,000円価格を維持している。行きつけなので私の状況をよく理解している。椅子に座る時もこちらのリクエストに沿って高さや位置を合わせてくれるし、終わって立ち上がる時も切った髪の毛をまずは掃除してくれる。切った髪の毛で、滑って転倒するからだ。このような身体になると、こうした気配りが本当に助かる。

 このアルパーク、最近の大型商業施設(1990年開業)ではないので、微妙に障害者に優しくないレイアウトである。東棟の建物の周囲の歩道が平坦ではなく傾斜がある。反対側の歩道から横断する場合、私の場合この傾斜に苦しむ。建物の中も店舗が1.5階から始まっており、そこまで行くのに階段上りが必要となる。エレベーターも1階のバスターミナルに設置されているが、2階で終わり3階以上に行く場合は、そこから徒歩でインフォメーションセンターを過ぎた先にあるエレベーターに乗り換える。東棟手前の公園の大型スロープ利用であれば回避は出来る。筋疾患患者には結構な苦痛を伴う。あれこれ言っても仕方がないのは承知しているが、皆実町のゆめタウンや宇品のイオンと比べ設計思想の差を感じる次第だ。最近出来た北棟は2009年完成なので、その辺は考慮されており、使い勝手はいい。2017年春には海島博跡地にゆめタウン資本の大型商業施設がオープン予定。西風新都地区の石内東地区にはイオン進出が決まっている。徒歩10分圏内で買い物の殆どが賄えるアルパークだが、大丈夫だろうか?少し心配である。郊外型大型商業施設も共食いの時代に入ったようだ。今日はこの辺でお開きとしたい。

続く。



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シリーズ記事 スタジアム問題 中国新聞の記事より 
関連記事  広島市長会見(スタジアム問題について)

 約1か月後の一定の方向の性打ち出しに向けて、毎日何かしらの報道がなされているこの問題、旧市民球場跡地案完全消滅である。このシリーズ記事のキーワードは、「独立採算の壁」と「交通アクセスの壁」の2つだ。今日の話題は、「独立採算の壁」だ。より具体的に精査していく過程で、スタジアムの実像が見え始めると建設コストも具体的な数字が出始める。多機能スタジアム建設コストは、当然上がる。そして松井広島市長が求めていた採算性のハードルは更に上がる。この金額の跳ね上がりを、「跡地潰し」と見るのは単なる感情論だ。意図的に旧市民球場跡地の建設コストを釣り上げ、反対世論を喚起するのであれば、
広島みなと公園案建設コスト上昇分は報告しないだろう。従来の広島みなと公園案の143億円のまま報告したほうが、割安感を演出、出来るからだ。両方、分け隔てなく報告していると言うことは、そういうことなのだ。ただ、建設コスト上昇は採算性の壁を更に上げ、スタジアム実現の可能性は反比例して下がったと言える。それを踏まえて、要約文記事を読んで頂きたい。
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広島サッカー場 市民球場跡260億円 みなと公園180億円
整備費37~54億円増  ~2月19・20日中国新聞28面より~

 広島市中心部へのサッカースタジアム建設に向けた検討で、官民の作業部会が試算し直した2つの候補地の概算整備が18日、分かった。3万人規模で旧市民球場跡地(中区 3.9ha)は約260億円、広島みなと公園(南区 10.0ha)は約180億円。いずれも地面を深く掘り込む費用が嵩み、従来の見通しよりも大幅に増えている(各候補地の費用の内訳は下記右画像参照)。市が民間コンサルト会社に委託して、3万人規模で整備費や採算性について比較検討した。

 旧市民球場跡地は原爆ドーム目前であることから、建物の高さ制限があり3万人規模のスタジアム建設をする場合7.3mの掘り込み工事(99.4億円)が必要となり関連費用が増加した。昨年7月の時点よりも54億円増えて約260.3億円となった。2万人収容の場合は、掘り込み工事は必要がないとされている。スタジアムの多機能・複合化は敷地面積の関係から不可能と断じた。優位が日々高まる広島みなと公園は、多機能化で観客席下の店舗スペースにを民間と区分所有すれば、更に20億円の借入金を抑制できるとはじいた。ただ、幅広の歩行者デッキ整備のために杭などを深く掘り込む必要があり、
歩行者デッキ整備にも11.7億円かかる。この試算には宇品出島地区の物流業者が懸念する「交通渋滞解消」の対策費は盛り込まていない。旧市民球場跡地は多機能・複合化は制約上不可能とされたが、みなと公園の場合ホテル建設などの複合化には問題がない、とした。

 年間集客数は、跡地の45.6万人に対してみなと公園は41.1万人の予測。複合化施設整備で上積みがあるとしている。現時点ではtoto助成金30億円だけを明示して、行政の負担金、経済界・個人の寄付金、金融機関からの借入金などは未定である。事業主体も定まっていない。これらは3月末の3者によるトップ会談にて判断する。

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画像 2月20日中国新聞28面より、左画像2月19日中国新聞28面より
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1 市営スタジアム方式ではなく、第3セクター方式の検討を  

 唯一無二の可能性がある「広島みなと公園」案も、マツダスタジアムのような市営スタジアム建設法では、実現は100%無理だろう。前回記事でも書いたが、旧貨物ヤード跡地は3分割して開発している。三井不動産が手掛けるA地区(1.8ha)、B地区(2.6ha)と市営スタジアムのマツダスタジアム部分(5.0ha)である。 ~ヤード跡地集客施設等整備の事業者募集・決定~(広島市HP) 傍から見ると複合スタジアムのような景観だが、三井不動産開発部分とマツダスタジアムとは別収支なのだ。よってマツダスタジアムは、多機能でも複合でもない単体スタジアムなのである。欧州で見られるような複合開発ではないのは確かだ。
2016-02-20
画像 ユーチューブより  複合施設には2万㎡のMICE施設、ホテル、商業施設が入居(構想)。多機能スタジアムにはスタジアム機能以外に備蓄倉庫(水色部分2,000㎡)、飲食店とフィットネスクラブ(オレンジ部分5,000㎡)が入居。 

 通常複合開発と言うのは、多機能スタジアムと複合施設を一手に開発する事業者に任せる方式である。マツダスタジアム方式を採用すると、多機能スタジアムは広島市が中心に建設。複合部分はデベロッパーとなる。これでは別収支で、スタジアム部分の赤字を補填する枠組みにならない。吹田スタジアム方式も一部参考にはなるが、広島と大阪の都市経済力が違い過ぎる。無理だ。解決策は、広島市が第3セクターのスタジアム開発会社を立ち上げ、広島県、大手デベロッパー、地元経済界が参画する。県所有のみなと公園の土地をこの第3セクター会社に売却。第3セクター会社を構成する4者が、応分の資金を出資する。第3セクター債の発行も視野に入れる。ただし、本来市や県が抱える市・県債を第3セクターが抱えて、第2の広島高速交通になる可能性もある。 第3セクター方式で建設したユーロボルフの記事 ~多機能・複合型スタジアムの実現に向けて 5

2 跡地の可能性が完全に消えた。

 多機能・複合化が完全に不可能と判断された。スタジアムの独立採算を求める松井広島市長の意向と完全に反する。以前よりこの点を強く指摘されていたが、完全に止めを刺された。この時点で消えたと考えていいだろう。中国新聞では触れられていないが、収容人数を2万人にした場合は、地下掘削の必要がなくなるとの報道もあった。7.3mの掘削費用が約99億円だ。単体スタジアム建設費161億円だけとなる。観客席が1万人分減るので、161億円から、120~130億円程度になる(と思う)。これに加えて、都市公園施設整備の打ち出の小槌である「社会資本整備総合交付金」でコストの1/2、更に旧市民球場跡地整備事業基金を加えたら何とかなる、と考える人もいるだろう。よく考えてほしい。サッカー利用だけでは稼働日数が少なく、都心部の賑わい性向上しないと言われてきた。そのために多機能・複合化なのだ。多機能・複合化は収支改善だけが目的ではない。それが無理なのだ。完全なサッカー、ラグビー兼用市営スタジアムとなる。現在設計が進む、屋根付きイベント緑地広場の方が費用対効果の面でマシとなる。スタジアムのイベント広場としての活用も可能性としてあるが、スタジアムの観客席が邪魔で、そうそう使われないと思う。使い勝手が悪そうだ。


a〕屋根付きイベント緑地広場

跡地イベント参加人数 年平均 103万人、屋根付きイベント緑地広場整備費 27.9億円
b〕2万人収容のサッカー・ラグビー兼用市営スタジアム
スタジアム利用者数 45.6万人  整備費 120~130億円

c〕3万人収容のサッカー・ラグビー兼用市営スタジアム
スタジアム利用者数 45.6万人  整備費 260億円


※イベント参加人数は約2年半で約259万人、そこから年平均で算出。スタジアム利用者数は、2月18日の市担当者の発言より引用。 ~旧広島市民球場跡地でのイベント開催実績~(広島市HP)

 イベント開催実績を見ると2013年菓子博(80.7万人)や出初式なども入っている。菓子博を差し引いた数字でも年平均71.3万人で、跡地でのサンフレ年間集客数45.6万人を上回る。サンフレの45.6万人も昨年実績は27.8万人(ふっとぼーるがいすと)を思えば、イベント開催実績同様に眉唾の数字だ。
もう1つ掘削なしの2万人スタジアムの場合、敷地が狭く高さ25m制限があるので縦にも横にも拡張する余地がない。何が言いたいかと言うと、将来J1がプレミアリーグ化した場合、スタジアム規定が現行のままであれば問題はない。2万人以上収容スタジアム規定が3万人に変更となった場合、対応が出来ない。最低でも30~40年は使うスタジアムだ。厳密な比較検討が難しいので、人数と整備費だけで判断すれば、屋根付きイベント緑地広場になるのは仕方がない。
2016-02-20 (2)
画像 ユーチューブより 広島商工会議所、PL教団ビル、広島市青少年センター移転がないと、多機能化すらままならない。 

 多機能・複合化不可能の烙印を押され、2017年度には、
屋根付きイベント緑地広場の工事が始まる。夢の時間は終わった。消滅した候補地に、サンフレッチェ広島が独自案を出すのも、物悲しさが漂う。「最後までベストを尽くそう」と言う気持ちかも知れない。昨年4月の市長選惨敗後、積極的な発言は避けていたサンフレッチェ広島だったが、J1制覇、クラブワールドカップ3位で「民意は我にあり」と思ったのだろうか?その民意だが、マスコミがスタジアム問題を再三取り上げているのにも係らず、関心が低いままだ。数日前の夕方のニュースで街頭アンケートをしていたが、「関心なし」が過半数以上だった。この問題が表面化した当時(2013年~)や昨年の広島市長選の頃と比べると、すっかり冷めてしまっている。仮にみなと公園が交通問題で完全に行き詰った場合でも、市・県の対応の批判は起きず忘却の彼方の忘れ去られるだけだ。所詮はその程度だったということになる。

3 3万人の謎、まとめ

 これはサッカースタジアム検討協議会立ち上げ時よりの最大の謎だ。全ての候補地が3万人収容でのシュミレーションとなっている。何故、2万人、2.5万人といった設定がないのか、不思議である。単体施設として100億円は優に超える事業だ。候補地関係なくコスト削減の努力は不可欠難だ。コスト削減は松井広島市長が求める採算性の壁を下げる効果もある。検討するべきだと思う。将来に備えて設計上の余幅だけは持たせておけば問題ない。将来必要となれば増設すればいいだけだし、不必要であればそのままで済む話だ。

 まとめとしては、旧市民球場跡地は多機能・複合化が不可能と烙印を押され、名実ともに消滅。広島みなと公園も、深いくい打ちの必要性から37億円増の180億円になった。冒頭にも書いたが、「独立採算制の壁」が上がった。この壁のクリアが至上命題となっている現状では、スタジアム実現の可能性が更に厳しくなった印象だ。別記事でも書いた「交通アクセスの壁」(公共輸送、道路交通)が、クリア出来ない状況も予測される。以前跡地派の人たちが、「みなと公園ではスタジアムは実現しない。だからこそ跡地なんだ」と言っていた。私などは昨年初頭から「跡地での実現はほぼ皆無で、みなと公園の方が可能性が高い」と思っていた。具体化する作業の過程で様々な問題が浮き彫りとなり、コストが上昇している。3月の一定の方向性が、大体予測される雲行きだ。

 視点を変えると別の見方も出来る。それはこのスタジアム問題が市政においての優先順位はどうなのか、だ。個人的には決して高くはないと思う。J1クラブライセンスの屋根のカバー率とトイレ不足の規定に抵触しているが、これはB等級違反に該当する。しかし、下部リーグへの降格処分はない。一時期話題となったサンフレの市外・県外移転だがこれもないと考える。Jクラブは38都道府県53クラブ(加盟クラブのみ)ある。飽和状態だ。それにサンフレの場合、移転受け入れはスタジアム建設とセットになるのでそうやすやすと挙手する自治体はないと思う。県外移転だとスポンサー探しもリ・スタートとなる。その辺を普通に考えると無いと断言できる。移転はサンフレにとってマイナスだと思う。スタジアム問題の優先度の低さは、こうした問題もあるが広島市の場合、他の地方中枢都市に比べ、都市インフラ整備が遅れている。財政難の状況下でコスト削減を図りながら、現在進行中だ。もう1つは2014年8月に起きた土砂災害の復興事業だ。これは最優先課題だ。災害に強い都市づくりも優先度が高い。これらは生活基盤を支えるうえで、重要だからだ。カープ、サンフレも所詮は、趣味余暇でしかない。生活に係ることではないと思う。その辺は、個々の思いの範囲だとおもうが。また新しい報道があれば取り上げたい。


動画 ユーチューブより


続く。



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