封入体筋炎患者闘病記

 封入体筋炎患者のヒロです。病歴は2019年で満11年、12年目に入りました。在宅勤務の仕事とリハビリの日々を送り、細やかながらも家族3人で暮らしています。ブログ記事は闘病記と広島地元ネタ、社会保障などの時事ネタ中心です。希少疾患の封入体筋炎の周知が目的です。関心があれば、ツイッターなどでご紹介していただければ幸いです。疾患関係で直コメントが苦手の方は、ツイッターのダイレクトメールを利用してください。封入体筋炎の闘病史は各進行段階の症状や生活障害、必要な社会保障制度等をまとめています。良ければ参考にしてください。最新の封入体筋炎の状況は『近況について色々と』、取り組んでいるリハビリについては『2019年春~夏 筋疾患(封入体筋炎)リハビリ』にて素人の体感目線で書いています。モバイル版で読みにくい場合は、PC版に転換してからお読みください。

2018年02月

カテゴリー記事 広島市の都市交通 バス
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 今日は、お隣の岡山のバスの動きをお届けしたい。私は広島市民なので、あまり岡山には馴染みがない。公共交通の大きな役割を担うバスについて大きな動きがあったようだ。その渦中にあるのは、岡山市内を中心に路線網を持つ両備ホールディングス。その動きを通じてバスについて改めて、論じたい。まずは中国新聞記事から紹介する。

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▼今日の議題 2月11日中国新聞社説より
『バス31路線廃止届 公共交通再考の契機に』


画像1 2月11日中国新聞社説より(ブログ記事画面からは全て読めません)

【記事概要】
岡山市の両備ホールディングス(HD)は、2月8日、傘下の両備バスと岡電バスが岡山県内で運行
する路線バスのうち赤字31路線の廃止届を中国運輸局に提出した。20路線は9月末に、残りの1
1路線は来年3月末に廃止する予定。 ~両備グループ 路線バスの廃止届提出について
 

【記事詳細】
▼対象路線は、岡山や倉敷、玉野、瀬戸内の4市にまたがり、1日当たり5千人を超す利用者への影
 響が懸念される
暴挙と思われる背景-乗合バス自由化以前はこの2社は岡山市中心部と郊外の西大寺地区を結ぶ黒
 字基幹路線を運行していた。ところが、今回、他社の100円均一の循環バスの計画が浮上(下記
 動画1参照)。3~4割の黒字で赤字路線の維持を保っていた構図が崩れ、黒字路線の収益悪化(
 1億2,400万円)の減収が明らかになったため

その強引な手法に賛否の声が上がる中、国や岡山県、市を批判の矛先に向けているが、今回の多数
 の路線廃止で
問題提起し、一石を投じたかったという
▼岡山市などはこれを受けて、協議の場を設け路線維持に向けた努力を払うという
これまで両備ホールディングスは。猫の『たま駅長』で有名な和歌山電鉄や広島県東部の中国バス
 の経営立て直しを通じて、地域再生に尽力していた。小嶋会長の切なる訴えに賛同する交通事業者
 経営者が多い


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【考察その1】
乗合バス自由化が招いた不幸に見舞われた両備ホールディングス


動画1  
循環バス『めぐりん』 西大寺へ新規路線 4月運行 岡山(ユーチューブ動画より)

 まずは、両備ホールディングス(HD)を含めた両備グループについて軽く説明したい。広島人からすればあまり馴染みがないが、グループ全体で51社を数え、この中には両備バスや岡山電気軌道などを中核に他の都市交通、不動産、小売業、福祉、旅行、情報通信、まちづくりなど生活関連企業を多数抱えている。中國新聞記事に掲載されている、和歌山
電鐵や中国バスなど救済に乗り出した会社や小嶋会長自身がM&Aに積極的なこともあり、相当数となっている。今流行りの『選択と集中』には否定的で、『全ての業種が儲かる時はなく、好不調を補い合う』『{出資先の岡山高島屋について)百貨店は子供の居場所をなくしたり売れ筋だけに絞ったりすべきではない』『人に必要とされる企業が再生できる』『日本は発展途上国と価格競争をすべきではなく、両備はラグジュアリー(豪華)とミドル(中流)の間の“ミジュアリー”(小嶋会長の造語)を狙っている』といった趣旨の経営理念を持ち、両備グループの連結業績(2016年3月期)は売上高1,333億円、経常利益78億円。小嶋は3年後の目標として売上高1,500億円、経常利益100億円を掲げている。純粋な交通企業の規模としては、広電のほうが大きいのだが、グループ全体で見ると4倍近く両備グループのほうが高い。言わば、『地方弱小民鉄の雄』というべき存在だ。これは小嶋会長の手腕によるところが大きい。

 今日の議題の都市交通関連に絞ると、岡山都市圏域についてはほぼ掌握しているのではないか?と錯覚するほどだ。で、今回の一連の騒動の発端は、岡山市内で2012年より循環(めぐりん)バスを運行している八晃運輸(タクシー会社)が、両備バスの基幹路線に新規路線開設を中国運輸局に申請。認可されたことだ。この新規路線の運賃は市中心部が100円、最大でも250円と破格値。両備バスの同路線の最大運賃は400円である。バス31路線の大量廃止申請は、行政が経営が四苦八苦している既存交通事業者(両備バス)の基幹路線のテリトリーに参入を許したことへの抗議の意味合いが強い。新聞記事でも書かれているが、手法は強引かつ恐喝めいたところもあるが、現在の国のバス自由化施策への警鐘を鳴らしているとも言える。この問題を一地方都市の些細な問題として捉えるのではなく、1つ間違えれば他の都市でも起きうる問題として考えてみたい。次の考察では、騒動の発端の根底にあるバズ自由化施策の是非について論ずる。


動画2 
バス 31路線廃止届 岡山市長『生活の足守る対応を』(ユーチューブ動画より)


画像1 西大寺バスセンターに入線する両備バス車両(ユーチューブ動画撮影より) 

【考察その2】
弊害しかないバスの自由化施策 現在の市場規模では共存共栄が望ましい


画像2 
広島市内に主要営業路線を持つ事業者の合計損益の推移 2002~13年(広島市HP)


画像3 広島市内の交通機関別の利用者数の推移(広島市HPより) 拡大画像(要拡大)

 よく規制緩和による市場活性化策が取り入れられ、成功する事例が多い。ブログ主もこの施策は基本的には大賛成だ。法人・個人関係なく競争原理が働かない組織は停滞と衰退しかなく、そう遠くない将来消えてなくなる考える。一律と言うかその実情を鑑みないで、〇〇の一つ覚えで声高にこれを叫び、正義の護符の如く主張するのも考えものだ。と言うのは、この策のそもそもの目的は、市場活性化策による市場の拡大がある。それを望める業種か否かの判断が、大前提となる。その意味合いでは都市交通分野-特に斜陽化が進むバスの分野ほど不適切な分野はない。2002年2月、乗り合いバスの規制緩和が実施された。これまで、事業開始が免許制から認可制となり、事業撤退も許可制から届け出制になり実質、市場への出入りが容易となり、異業種からの参入も自由化された。この施策の範は、イギリスのサッチャー政権下のバス自由化施策(1985年~)だ。多くは割愛するが、結果的には失敗の側面が強く、後の政権では基本路線は踏襲しながらも、公の役割を明確にして微修正をしている、。他の民営化施策とも相まって、首都のロンドンのみ栄えて他の地方都市は、疲弊し衰退局面から脱せない状況が、今なお続いている。EU諸国で地方都市に元気がないのは、イギリスだけである。 ~規制緩和後の英国バス・サービスの動向~(日本開発銀行 2001年) 日本の場合のそれはイギリスの事例がありながら、あえて自由化に踏み切ったところが残念と言うか何と言うかだ。広島都市圏のおけるバス自由化施策が与えた影響について、考えてみる。 

▼バス自由化でよくあるパターン
【自由化施策以前】
 各交通事業者が路線ごとの棲み分け、数少ない基幹黒字路線で閑散赤字路線を辛うじて維持
【自
由化後の典型的変化】
 棲み分けが不可能となり、各交通事業者の基幹黒字路線に他社と異業種(主にタクシー会社)が
 参入⇒黒字基幹路線の収益の悪化⇒赤字閑散路線の維持が難しくなる⇒当面は廃止にはしない
 で、減便、運賃値上げなどの合理化で乗り切る⇒利用者減⇒さらに赤字の拡大⇒路線の撤退・バ
 ス部門の収益も悪化の一途⇒廃止表明後、行政が慌てふためき支援策を講じる(公的資金投入)
【バス自由化がもたらしたもの】
 ① 中小事業者の収
益悪化 ② 基幹路線、閑散路線の利用者減 ③ 重複路線のバス走行環境の
 悪化 ④ 分かりにくいバスシステムの増長 ⑤ ①と②の関連でバスを含めた公共交通利用者

(市場)の減(縮)少 

▼広島都市圏に限ると・・・
【広島都市圏におけるバス自由化の推移】
 03年(実質自由化初年)
 ドル箱の
広島駅-紙屋町・八丁堀間の各社バス路線初乗り運賃を路面電車と同額にする。フィー
 ダー路線化していた市北西部のバス路線が再び、都心部直結になる。
バス利用者、前年の17.
 8万人から18.2万人に増加。公共交通利用者も微増。アストラムラインを運営する広島高速
 交通の経営難が深刻化。広島市が205億円貸し付ける。
 
04実質自由化2年目)
 バス利用者は、自由化以前の水準に戻る。全バス事業者の収支は、前年の黒字から赤字に再び転
 落。赤字幅が拡大する(上記画像2参照)。04年以降、黒字化せず。バス事業者が6社-分社
 化したものを含め8社体制だったものが、12社に体制に(3大都市圏以外の政令市では最多)。

【広島都市圏におけるバス自由化の弊害】
 ①都心部を経由しない拠点地区間路線の廃止やサービス低下
 ②集中路線の収支悪化(乗車率40%程度) ③全事業者のバス部門の収支悪化
 ④広島高速交通の経営難常態化 ⑤赤字幅拡大による設備投資不足(低い低床バス普及率)
 ⑥都心部バス停の乱立-難解なシステムの増長(ほぼ一街区ごとのバス停) 
 ⑦②の関連で、相生・鯉城通りの交通渋滞悪化(
旅行速度低下

【自由化の効果らしきもの】
 ①利用者減現象が下げ止まった(ただし収支は悪化) 
 ②企業体力を超えた過当競争は、副作用が大きいと理解した
 ③集約都市構造への転換に当たり、行政と事業者がバス輸送の将来を考えるきっかけとなった
 ③モーターリゼーションの加速を後押しした(笑)
 ④バスを含めた公共交通全体を社会の公有材として、みなし始めた。

 広島市におけるバス自由化の弊害を色々と書いたが、広島都市圏におけるバス輸送の現在地は、自由化施策の反省点から立脚して、バスの公共交通の中での位置づけを明確にして、階層化ネットワークを構築することで再生を図る施策に転換した。 ~バス活性化基本計画~(広島市HP) 競争とは逆行する現在の事業者の路線ごとの棲み分けを前提とした方針だ。都市圏規模に見合わない事業者数の弊害や、先の自由化施策の後始末の除去を数年前から着手した。都心部のバス停の集約、統一バス系統番号の導入、重複バス路線の統合と新規基幹バス路線の社会実験、均一運賃制度の導入、バス停の高規格化などである。広島市にも岡山市同様に、都心部地区を循環するバス路線計画(中国新聞記事画像より)がある。運行予定事業者は広電バスだが、行政サイドの都市交通計画を踏まえた上での就行だ。 ~新たな公共交通の体系づくり 基本計画~(広島市HP) この計画自体、行政だけの勇み足で策定しておらず、2014年に事業者も参画した『 都市機能向上対策特別委員会』にて、練りあげている。実際の需要の話は置いておいて、官民一体化した取り組みは評価できる。官と民が歩調を合わせないで、バラバラに自己の利害のみを追求して動いても、真のバス復活は覚束ない。取り組みの甘さや傾注度の低さの不満は多少あるが、方向性は正しいと考える。

 今回の両備ホールディングスのバス31路線の大量廃止届の騒動を見ても、官民の足並みの悪さが目立つ。行政―岡山市など関連自治体の強いリーダーシップがあるようには思えない。岡山市も広島市同様に同時期に都市交通計画を実は策定している。 ~岡山市都市交通戦略図(概要版)~(岡山市HP) ざっと読んだが、具体的な検討はJR吉備線のLRT化の検討と路面電車の岡山駅乗り入れぐらいで、後はイメージと言うか方向性の提示に終始している印象だった。広島市のそれは、バスの課題を徹底的に洗い出し、真剣さは十分伝わっている。後は実行あるのみだ。今回、この報道を聞くに当たり、これまで述べた感想を持った次第だ。その点、広島市はまだ都市交通-特にバス再生の余地は、十分残っていると言えるだろう。


画像4 広島駅南口バスターミナルに入線する広電バス5号線(ユーチューブ動画撮影)
 
 

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広島の都市交通 海外先進事例

【考察その8】

広島市が参考とすべき事例 その1【異なる交通機関との有機的なネットワーク形成】
かりにくい現在のシステム


画像1 広島バスセンターの立地図。他の市内線バス、路面電車、アストラムラインなど他の交通機関の結節は相当悪い。立体型ターミナルの典型的な弊害例 拡大画像(要拡大)

利用者が使いにくい公共交通とは一体どんなシステムを指すのか? 本題に入る前に考えてみる。あれなので箇条書き風にまとめてみたい。

▼利用者が使いにくい公共交通システム
 ①定時性や速達性が劣り、移動時間が計算出来ない。早朝や夜間帯、そして日中、休祭日の本数が
  少なく待ち時間が長い
 ②目的地まで複数の交通機関に乗り継がないと到達しない
 ③運賃全体に割高感があり、乗り換えるたびに初乗り運賃を徴収される
 ④乗り換え場所が隣接しておらず、長距離の移動を強要される
 ⑤各交通機関の情報(ダイヤ、発着場所、運賃など)が少ない
 ⑥各事業者ごとの交通施設がバラバラに立地しており、システム全体が難解。同事業者でも市内線
  と郊外線で異なるケースもある

 
思いつくものを並べてみた。①~⑥の項目すべて、現在の広島市の公共交通全般に言えることで、規模関係なく地方都市の共通の課題でもある。資本力が乏しい中小の事業者が乱立して個別に交通問題の課題に取り組み、後付けで対応していった結果がこれである。最大の原因は、運営費の独立採算制の堅持と公共交通の運賃一元化を独禁法抵触で否定、民間事業者には口を挟まず悪い意味で放置した、この3点だろう。地方都市交通新興国である日本も最近では考え方が変わりつつあるが、21世紀に入るまで『上下一体方式』が一般的な認識だった。この場合の上は『運行と運営』、下は『インフラとインフラ外施設の建設・維持・管理』を指す。要は事業者が必要なインフラ施設を整備して運営を取り行う、である。この方式の悪弊は、必要な公共交通のインフラ整備が進まず、事業者単位で施設を設置するのでシステム全体がより難解になることが挙げられる。その過去の積み重ねが現在の姿だ。これではまずかろうと言うことで、『公設民営上下分離方式』が日本でも一般的になりつつある。平たく言えば、インフラ部は国と地方自治体が建設、運営等は民間もしくは第3セクターに任せ効率的な運営を取り行う、だ。これは仮に民間が運営する交通事業であっても、公共交通の社会的役割の高さを鑑みて『社会全体の公共財』との認識が根幹にある。話を戻すと、広島市をはじめとする日本の地方都市の公共交通システムは、速達・定時性が低く運賃も高く、乗り継ぎも不便。しかも情報も少なく、システムも分かりにくいに帰結する。これでは、自動車などの複数の選択肢があれば、そちらを選んで当然となる。

 使いにくさにはハード、ソフト両面ある。ハードは悪結節とシステムが難解であることだ。結節の悪さの典型例として、都心部のど真ん中に位置する広島バスセンター(上記画像1参照)が良い例だ。1974年完成で、そごう広島店の3階に設置されている。結節絡みで言えば、アストラムライン県庁前駅と本通駅とは
平面移動160~280メートル程度離れ、広電市内軌道線紙屋町西・東電停とは180㍍程度、本通電停は300㍍もある。バス停だと、平面移動だと県庁前は240㍍、本通は240㍍程度離れている。立体ターミナルなので、体感だともう少し離れている印象だ。お世辞にも良結節とは言い難い。そもそもこのバスセンター、計画当初案は、百貨店1階部分にバスセンターを設置する予定だった。何れにしても乗り継ぎにかなりの労を要するのは確実だ。他の代表例だと、広島駅南口広場や西広島駅、横川駅周辺の散在するバス停など細かなところを挙げるときりがない。分かりにくいシステムとして都心部地区のバス停の乱立がある(下記画像2~3参照)。拡大画像をご覧頂きたいが、一街区ごとに停留所がある。いつも使う人は良いかも知れないが、使い慣れない人は広島市民でもよく分からないだろう。別事業者による類似路線も多く、カオスそのものだ。その点、路面電車は軌道があり、系統数も7つですっきりしており停留所も目立ち、迷うことは少ない。乗り継ぐ場合、他の停留所情報も多くはなく、行き先に迷うことも多々ある。広島市の場合、バス事業者が都市規模に見合わない12事業者もあり、個別と言うかその場しのぎ対応が拍車をかけている。

 ソフトの面だと運賃と運行頻度の問題だろう。同事業者内の乗り継ぎの場合は、乗り継ぎ割引制度があり高負担感はそうない。他事業者間になると再度初乗り運賃を徴収され、高負担を強いられる。広島はおろか日本では当たり前の光景だが、運賃相場自体大都市圏よりも高めなので、支払わされている感が非常に強い。バス間だけではなく、他の事業者の交通機関同士でも同様でだ。公共交通機関の多元化システムの弊害だ。『市場原理の導入でサービス向上で、利用者の拡大を』などという頓珍漢な指摘をする人が時折いる。規制緩和による市場活性化策は、市場成長局面にある場合か成熟局面の場合のみ有効で右肩下がりの縮小局面下では、効果よりも副作用が大きく『終わりの始まり』を開始ボタンを押す羽目となる。事実、1980年代のサッチャー政権下の施策と、日本では2002~03年の乗り合いバス規制緩和がそうだ。ドル箱路線で過当競争が始まり、収支の悪化、閑散路線の維持が難しくなり相次ぐ路線撤退、という負の連鎖だけを招いた。運行頻度も運営費が事業者での運賃収入だけで賄われる現行制度では、需要相応のサービス程度の供給が関の山だ。行き着く先は、多元化システムの運営の限界となる。モーターリゼーションの早い段階(1960~70年代)で公共交通優先施策に転換した欧州の国々や、70年代後半に自動車最優先の交通施策を放棄したアメリカでは、『公共交通は社会全体で維持する』大義名分の元、運営費は公的資金(税金)にて運営費用の30~70%が賄われている。その良し悪しは、永遠の禅問答になるが公共交通システム全体の統合化、一元化は日本でも喫緊の課題だと思われる。


画像2 紙屋町・本通地区のバス停配置図(広島市HPより) 拡大画像(要拡大)


画像3 画像6 八丁堀・胡町地区のバス停配置図(広島市HPより) 拡大画像(要拡大)

【考察その9】
広島市が参考とすべき事例 その2【異なる交通機
関との有機的なネットワーク形成】
進む結節点改善と進まないシステムの統合・一元化


画像4 広電宮島線廿日市市役所前電停におけるバス&ライド電停(2006年完成 ひろたびより)
 

画像5 JR横川駅のJR、路面電車、バスの結節改善の好例(2003年完成 アンドビルド広島より)


画像6 広島港における船、路面電車、バスの結節改善の好例(2003年完成 広島市HPより)


画像7 可部駅におけるJR線とバスとの結節改善例(2007年完成 アンドビルド広島より)

 上記画像4~7は広島都市圏における交通結節点改善の事例だ。画像の他には、矢野駅や広島駅北口、新白島駅などがあり、広島市も財政の制約がある中で意欲的に投資している。この点は評価できるだろう。今後は、広島駅南口や西広島駅などで予定されている。問題は公共交通システムの統合・一元化だ。都市交通先進国をみると、ドイツ語圏(ドイツやスイスなど)では運輸連合-関連記事 新 広島都市圏鉄軌道系改良提言 その16- を結成して一元化。他の国々では公営交通局の運営での一元化、新たに統括組織を立ち上げ、既存の民間事業者をその枠組みにはめて実質統合・一元化など手段は様々だ。何が適切なのかは、一概には言えない。運輸連合(雷都レールとちぎ)は、究極のシステムだが日本では独占禁止法のカルテル行為(公正取引委員会)に抵触する可能性が高く、LRTの軌道法運転規則の緩和よりもハードルが高い。公共交通のライバルは他事業者ではなく四輪(自動車)や二輪車(自転車、原付バイク)の認識に改めない限り、別解釈の確立は難しい。ゾーン制(雷都レールとちぎ)による運賃システムの一元化のメリットは、乗り継ぎなどによる運賃の割高感の解消、競合移動手段との競争力の強化、自動車利用からの転換、集約都市構造への転換促進がある。

 ここでようやくメルボルンの事例が登場する(笑)。メルボルンも1983年のMTA(首都圏通局)設立前は、都市近距離鉄道とトラム(路面電車)、そして多数の民間事業者のバスが各々が運賃設定をして利用しやすいシステムとは言い難かった。利用者も増え続ける自動車移動に奪われ、『利用者減⇒運行頻度低下⇒更なる利用者減⇒路線廃止』の負の方程式を歩んでいた。そこでMTA(首都圏通局)を設立して、公共交通全体の一元化を図った。この方式だと、自動車移動利用からの転換を図る目的で運賃額を低い水準に抑えるので、一定の運営費公的補助が必須となる。この方式の完全模写が、日本の実情に沿うかの議論は取りあえずは置いておく。競争原理云々を21世紀の今日に至り、真顔で語るようでは先が思いやられる。競争原理は尊重すべきことだが、都市交通の分野でも少なくとも全く働かない。ゾーン運賃制導入の効果も大きいが、各事業者がMTA(首都圏通交局)の大きな枠の中に入ることで、各々の交通施設(駅、停留所など)の共通デザインの採用-あたかも1つの事業者のような一体性が生まれ、視覚に訴えるインパクトは高い。事業者が運行に当たり使用するインフラ部-鉄・軌道、バス走行路、駅、各停留所-は社会全体の(上下水道、道路などと同じ)公的財産と定義すれば、インフラ整備の大義名分も十分成立する。そこのところを少しまとめてみる。

▼広島都市圏交通局の設立  
 広島県、広島市など同都市圏自治体、パスピー参画の交通事業者とJR西日本
 運営財源は※注1フランスの交通税のようなものを想定 適用範囲は現パスピーと同様

 ①ゾーン運賃制度の導入
 エリア内を4ゾーンに区切り180~480円に設定
 ②共通ダイヤの策定
 各ターミナルでの乗り継ぎ負荷を下げるために利用者の使いやすい共通ダイヤを策定する。
 ③各交通施設(駅、停留所、車両方向幕など)デザインやカラーの統一
 所属する各カテゴリー(下記画像8参照)の共通デザインや※注2カラーを導入して、一目で
 分かりやすい交通施設化を図る。情報施設の設置は順次進める。
 ④インフラ(走行路、駅。停留所など)などについて

 現時点で事業者所有のものはそのまま保有者所持。新規建設のインフラ部については、地元自治
 体所有とし、運営委託事業者にリース、建設負担を求めない。インフラ外部(車両など)につい
 ては、現行制度『国1/3 自治体1/3 事業者1/3』を『
国1/3 自治体1/3 事業
 者1/6 
広島都市圏交通局1/6』に改める。
 ⑤運営費補助について
 各事業者は路線ごとの収支計画を作成し提出。採算ラインから80%以下の利益しか得られなか
 った場合のみ、80%に達する金額を補填する。戦略性の高い新規路線は開業後、5年間は無条
 件で補助する。

※注1フランス交通税(交通負担金)
 1971年に導入されたフランス独自の地方法人税の1つ。国が法律でその枠組みを決めている
 が、都市共同体ごとに市町村の規模の大小により税率(0.55~2.60%)が決められ、都
 市圏内にある一定規模以上の企業から従業員の給与総額に基づき徴収される。都市交通の整備や
 運営費の充当などの目的税。
※注2均一カラー
 基幹公共交通-『基幹』 デルタ内拠点アクセス補完バス-準基幹 郊外アクセス補完バ
 ス(都心部直行)-
都心部直行』 (フィーダ-)-支線』 地域バス-『地域』乗合』
 に統一

 このような形にすれば、利用者にも分かりやすいシステムとなる。広島都市圏交通局はあくまでも都市圏域の公共交通全体を統括する組織で、大きな器に過ぎない。その器の中に、既存の交通事業者が入る。広島県バス協会のような組織をさらに大掛かりにして、行政も主体者の1人として参画させ、拡大したものと思ってい頂ければ良い。交通税は、当別会計にて管理。個々の自治体が徴収したものを一定額、広島都市圏交通局に供出する。残りは特別会計に積み立て、公共交通整備の財源として確保しておく。これは、個人への課税ではなく、官民関係なく一定の規模の事業所に課税。自動車通勤者は除外する。赤字路線への補填については、賛否が大きく分かれるが、現状でも生活路線に対して行っているので公益性の高さを鑑み、是としたい。少子高齢化、人口減時代では地方の公共交通維持は、独立採算制厳守では果たせない。臨機応変の対応こそ、最適解だ。


画像8 広島市が2015年発表の『新たな公共交通の体系づくりの基本計画』(広島市HP)で定めた各種交通機関の定義

【考察その10】

人口密度と公共交通の因果関係

この考察では、観点を180度変えて人口密度と公共交通の関連で考えたい。色々な参考資料を駆使(笑)して、移動手段ごとの分担率と人口密度、公共交通の種類を都市規模ごとにまとめてみる。

▼日本と世界の都市の移動手段分担率と人口密度
※M-地下鉄 S-都市近距離鉄道 L-LRT T-トラム(路面電車) BT-BRT B-
 バス A-AGT&モノレール 
墺-オーストリア 瑞-スイス
 出典:都市交通整備水準の国際比較の可能性と課題に関する考察などより


●都市域人口200万人以上 
           公共交通 自動車  徒歩・その他 人口密度  公共交通(※)種類
 東京23区(日)  51%  11
%   28%   8,500人 M S T B A 
 大阪市(日)    28%  16%   56%  12,407人 M S B T A
 ロンドン(英)   19%  51%   31%   
4,782人 M S Ⅼ B
 パリ(仏)     18%  46%   36%  
20,560人 M S B L
 メルボルン(豪)   9%  71%   30%   1,566人 S B T/Ⅼ

●都市域人口100万人以上
           公共交通 自動車 徒歩・その他  人口密度  公共交通(※)種類
 福岡市(日)    17%  39   44   4,217人 M S B
 広島市(日)    15
  47   38   1,322人 S T A B
 ミュウヘン
(独)  24  36   40   4,275人 M S T B
 ウィーン(
)   34%  36   30   3,931人 M S T/Ⅼ B

●都市域人口50万人以上100万人未満
           公共交通  自動車  徒歩・その他  人口密度  公共交通(※)種類
 アムステルダム(蘭) 12  23   65    3,506人 M S T/Ⅼ B
 ブレーメン(独)   17  40   43    1,682人 S T/Ⅼ B
 熊本市(日)      6  56   40    1,896人 S T B
 
都市域人口10万人以上50万人未満
           公共交通 自動車  徒歩・その他   人口密度  公共交通(※)種類
 チューリッヒ)  37  28   35    4,092人 S T/Ⅼ B
 デン・ハーグ(蘭)   9  31   60    5,752人 S T/Ⅼ B
 ベルン()     21%  40   39%    2,724人 S T 
 フライブルグ(独)  17%  41%   42    1,497人 S T/Ⅼ B
 金沢市(日)      7  61   32    0,994人 S B

 口密度については、市域面積や地形による可住地面積率の問題もあり、実情を反映しているとは言い難いが、並べてみた。日本の巨大都市圏(首都・関西圏)の公共交通利用率の高さは、世界有数だ。日本の都市の場合は、地方都市圏の分担率の低さが問題なのだ。200万都市未満の他国都市との比較でも、それは明らかだ。要は自動車依存率が異常に高いのだ。100万都市未満になると、その傾向がより顕著となる。広島市の自動車依存率の中心業務地区高さ(同規模都市比較)は、公共交通整備の遅れというよりは、公共交通移動が主流の都心部地区の中心業務地区(CBD)が、規模相応ではないことがその理由だろう。業務機能が分散立地していることがその背景にある。同時に着目したいのは、人口密度と公共交通利用との因果関係だ。あくまでも一般論だが、人口密度の高さは、居住地の面積の狭さにつながる。当然自動車の保有率も低い傾向となることが多い。逆に低い場合は、駐車場などの保有コストが低くなり、一所帯で複数台所有も珍しくなくなる。上記指標で人口密度千人台もしくは、それ以下の都市は自動車の分担率がかなり高い。オランダの都市の公共交通分担率が低い理由は、その他の項目で括ったその他-自転車利用が他国よりも異常に高いからだ。公共交通利用率の低さの割には、自動車利用率が低いのはこのせいだ。メルボルンの公共交通分担率の低さは、道路の整備状況の要素も加わる。広幅員道路が無数に碁盤の目状に、施設されていることも大きい。自動車の走行環境の良い都市は、公共交通網が整備されていても自動車利用率が比較的高い。


画像9 広島市都心部地区の紙屋町交差点を起点とした場合、半径5㌔圏内にデルタがすっぽりと入る(広島市HPより)

 数値の上では、日本の交通機関の移動分担率は欧米諸国との対比では実は高い水準だ。ただその数値を、首都・関西圏での鉄道移動と新幹線などの国内都市間移動で大半を占めており、地方都市の都市交通のカテゴリーに絞れば上位指標の通りお寒い状況だ。話を広島市に戻す。広島市の全体面積は
906.5km²。可住地面積は約293km²、こちらでの人口密度は、1,322人から4,078人にまで上昇する。欧州都市よりも市域面積が広いことを考えると、実質は5,000人以上と考えていていいだろう(ブログ主所感)。他都市の地形上の緒条件を考慮しない単純比較になるが、5000人だと相当な高さだ。この点が広島市の潜在能力を感じるのだ。常識的な見方だと、平野部が少ない沖積平野で地価が高い広島市は都市の発展という意味合いでは不利となる。21世紀の都市計画の潮流が、『コンパクトシティ』『集約都市』であることを踏まえれば、20世紀まで短所とされていたこの地形が、『所変われば品変る』でなく『時代変れば品変る』になると考える。しかも上記画像9のように、半径5㌔圏内にのデルタ地域に高次都市機能が集中している。全体市域の83%は山岳・丘陵・河川で平野部は僅か17%。居住地も他の国内都市のようにスプロール化(ウィキペディア)も自然が勝手に防波堤となってくれる。惜しまれるのは、都心部の求心力が他の地方中枢都市との比較で弱いことだ。ただこれは、今後の施策次第ではいくらでも取り返せる。現在の広島市の直近の交通計画では、路面電車とバスがデルタ内での移動ではその中心に据えられている。その方向性は正しいと思うし、細部の取り組みは甘いところは多いが努力しているのは確かだ。日本初の集約都市成功とMICE都市ヒロシマを実現したあかつきには、明るい未来が開けるのではないだろうか?この考察はおまけだが、調べていた最中にたまたま、人口密度に関する記述を発見したので、書き足した。


終わり


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前回記事 2018年度広島市予算 3
シリーズ記事 2018年度広島市予算 


考察8】
2018年度当初予算案の都市交通関連分を抜粋する


画像1 2020年代半ばの開通が予定される広電駅前大橋線の完成イメージ(広島市HPより) 

 今日はシリーズ4回目だが、都市交通問題関連予算について考えたい。

3つの要素を柱としたまちづくり -2970.8億円 
  1 【活力にあふれにぎわいのあるまち】の実現に向けた取組 -536.8億円
  (1)都市機能の充実強化 -305.1億円
   ①『楕円
形の都心づくり』 の推進-0.6億円
    立地適正化計画の策定-255万円  魅力ある都心づくり推進事業-561万円  広島駅
    南口広場の再整備等-4,550万円  都心の歩行環境改善の推進-343万円
 
   ③ 地域ごとの特性や将来性等を踏まえた地域づくり-13.1億円
    向洋駅周辺青崎土地区画整理-4.6億円  西広島駅北口地区のまちづくりの推進-1.
    4億円   東部地区連続立体交差事業-1.8億円
  
   ④ 公共交通を中心とした都市内交通の円滑化-166.7億円
    広島市総合交通戦略の改定-0.4億円 広島駅南口広場の再整備等-0.5億円 JR
    下
祇園駅自由通路等整備-0.2億円  ※注1)路面電車のLRT化の推進- 0.7億円
    バス活
性化の推進・ 地域公共交通再編実施計画の策定-647万円  ※注2)ストレート
    型バス停整備係る道路改良-300万円  ※注3)新バス停利用環境改善施設整備費補
    -30万円  ※注4)新バス乗継地点待合施設整備費補助-500万円 ※注5低床
    害バス車両購入費補助-437万円  バス運行対策費補助-4.7億円 地域におけ
    る生活交通
の確保地域主体の乗合タクシー等運行支援-340万円  地域主体の乗合タク
    シー等導入
支援-39万円  ※注6)交通施設バリアフリー化設備整備費補助-1.6億
    新交通西風新都線整備の推進-0.6億円 広島高速交通株式会社の経営改善-155
    億円 西広島駅周辺地区交通結節点整備-2.9億円  交差点交通処理の見直し-200
    万円

     
    ※広島市平成30(2018)年度当初予算案-当初予算主要事業の体系よりブログ主の
     関心があるものだけ抜粋

西広島駅周辺関連-約4.3億円、広島駅南口広場再整備-約1億円、東部連続立体交差化関連-約6.4億円、アストラムライン(西風新都線)延伸関連-約0.6億円が主だった
ものとなる。これらのものは別記事で、散々論じているので今日は割愛する。『④ 公共交通を中心とした都市内交通の円滑化』の予算の9割は、アストラムラインを運行する広島高速交通への恒例の仕送りだ(笑)。で、着目したいのは、注釈()~6)を入れた部分だ。これを次の考察で論ずる。


画像2 長らく財政難から延伸(西風新都線)が凍結されていたアストラムライン。着工に向けた準備が進む(アンドビルド広島より)

【考察その9】
都市交通関連2018年度当初予算案の気になる部分 その1
広島市平成30(2018)年度当初予算主要事業(建設関係)

▼路面電車のLRT化の推進- 0.7億円
 低床路面電車車両購入費補助 補助対象者-広島電鉄 補助対象-低床路面電車車両(3編
 成分)

【ブログ主の所感】
 どうやら5000形(グリーンムーバ)、5100形(
グリーンムーバMAX 下記画像3参照)、1000形に次ぐ新シリーズの30㍍クラスの5連接車両が投入されるようだ。このサイズの一編成当たりの購入費用は3億円台半ば。事業費全体で10.6億円なので間違いなさそうだ。広電は50%強の5.5億円を負担する。どの系統に投入されるのかは未定だが、大型車両の投入は目出度いことだ。運用本数の増加ではない限り、一編成当たりの輸送力の増加は、LRT昇華への足掛かりになるからだ。別記事でも書いたが、一編成当たりの輸送力増強⇒運転間隔の間引き⇒団子運転(軌道内渋滞)の解消 へとつなげてほしいものだ。個人的には、市と県で補助率を上げ、事業者負担を50%強ではなく、1/3程度であれば、と思ったりもするが市も県も財政難なので、致し方がない。広電側の購入原資は、昨年8月の運賃値上げによる増収分となる。何らかのサービス改善となるのであれば歓迎だ。5000~5100形同様に12編成程度の投入だと予測する。今年度の投入で、100%超低床車両は合計で39編成となる。団子運転の理由の1つに低性能の他都市譲渡車両の存在がある。早く駆逐してほしい。乗降に段差のない車両は、乗降時間短縮にも貢献する。

imageスクリーンショット (405)

画像3(左) 市内軌道線を疾走するグリーンムーバMAX(アンドビルド広島より)
画像4(右) 広島駅前広場に入線する広電5番線の低床バス(ユーチューブ動画画面より)

▼低床低公害バス
車両購入費補助-437万円
 補助対象-乗合バス事業者  限度額-100万円/台  補助台数-5台

【ブログ主の所感】
 補助台数5台が多いのか、はたまた少ないのかの議論を持ち出したくないが、正直言って少な過ぎる印象だ。低床(ノンステップ)バスの普及率は、2014年3月時点で14.7%。ワンステップバス(36.1%)を無理やり入れても50.8%とようやく半数に届く程度。中小と言うか、小事業者が多い(12社)弊害が如実に出ている。100%超低床電車や低床(ノンステップ)バスの導入の際には、国から1/3程度が補助される。この制度を以てしても、普及は亀の歩み以下だ。黒字を捻出するのがやっとで、必要な設備投資をする余裕がないのだ。これではバス離れが加速するだけだ。県と市の補助額を引き上げるべきではなかろうか?電車と異なり、単価自体はそう高くない。しかも連接バスでもないのだ。私個人の考えでは、バス乗車は広島都市圏程度の規模であれば2~3社で十分だ。

▼ストレート型バス停整備助-500万円
 バス停の集約に向け、相生通りにおいて、歩道への切り込みのないストレート型のバス停を整
 備する ため、道路改良を行う。対象バス停―八丁堀(あおぞら銀行前)
 2018年度-測量・実地設計 19年度-工事着手

【ブログ主の所感】
 『ここにバス停あったか?』と思い調べてみた。あった(笑)。広島バス3系統、広電バス2系統が離発着している。 八丁堀・胡町地区のバス停配置図(広島市HP 要拡大) 『集約に向けた』と書かれている。集約は右隣のハンズ前のバス停、もしくは左隣の区画のバス停なのか、不明だ。切り込みのあるバス停ではなく、切込みがないストレート型との事だ。切り込みがあるタイプのほうが、現在の相生通りの交通量を考えた場合、最適解に感じるがその辺はどうなのだろうか?。相生通りはバス専用レーンに指定されている。 ~広島市のバス専用/優先レーン一覧~(広島市HPより) 見方を変えれば、一般車両の通行を不便にすることで一般交通量を減らす(というか敬遠させる)効果はありそうだ。苦言を呈するが、個別にバラバラに対応するのではなく、紙屋町・八丁堀地区全体のバス停集約計画を事業者と県警と協議して策定。その後、段階的に集約化、が合理的だと思うが・・・・。設置も場当たり的で集約も場当たり的なのは、そろそろ卒業しないと。集約に向けた動きは大歓迎だが、もう少し計画性を持って動いてほしいものだ。


画像5 八丁堀地区三越前の上屋とGPS式ロケーションシステムが設置されたバス停(アンドビルド広島より)

【考察その10】
都市交通関連2018年度当初予算案の気になる部分 その2

▼新バ
停利用環境改善施設整備費補助-300万円
 バス停の利用環境向上を図るため、新規性のある再編路線における上屋等の整備に要する経費の
 一部を補助する。補助対象者-バス事業者  補助率-1/2  限度額-上屋・ベンチ、150
 万円/か所 バスロケーション表示器  50万円/か所 計2カ所(?)


【ブログ主の所感】
 要は、旧態然としているバス停を1~2ヵ所だけ、上屋とGPS式ロケーションシステムを設置する話だ。どこに設置するのだろう、と軽く思案してみた。文言だと、『新規性のある再編路線~』とある。ブログ主の推測の域を出ないが、以前、重複路線の統合社会実験を実施した広電バス2号線と広島バス22号線の相生通りのバス停だろう。 ~『バス路線する社会実験を統合』について~(広島市HP) これも苦言だが、アストラムライン延伸、広島駅南口広場再整備双方ともにまだ準備段階で、市の支出は微々たるものだ。この大型案件の空白期こそ、整備促進の大事な時期だと思うのだが。設置数は明記されていないが、補助率が1/2で、1ヵ所当たり400万円とすると2ヵ所程度となる。『バス輸送改善の道なお険し』と感じる次第だ。前考察でも言ったが、全体のデザインを描いたのちに取り掛かった方が建設的だと思うのは、ブログ主だけだろうか?

▼新バス乗継地点待合施設整備費補係る道路改良-300万円
 複数街区に分散しているバス停待合環境の向上を図るため、新規フィーダー路線の乗継地点にお
 ける待合施設の整備に要する経費の一部を補助する。補助対象-広島県バス協会

【ブログ主の所感】
 これはよく分からない(笑)。『複数街区に分散~』の文言を鵜呑みにすると、都心部地区なのは何となく分かる。『???』となるのは、『新規フィーダー路線の乗り継ぎ地点~』の文言だ。常識的な見方だと、フィーダー路線は郊外の団地からJR線やアストラムラインの駅までの路線を指すことが多い。待合施設整備とあるので、広電本社前電停かと思ったが千田町界隈は、複数街区にバス停は分散していない。ひょっとして、ボン・バス(公式HP)かなと思ったが、大半が八丁堀まで乗り入れており、少し違う。謎が深まる。乗り継ぎバス停の待合施設設置は歓迎したい。でもどこだろうか(笑)。
         
▼交通施設バリアフリー化設備整備費補助-1.6億円
 補助対象者-西日本旅客鉄道 補助対象-JR下深川駅、安芸矢口駅バリアフリー化対応工事
 費補助率-1/3


【ブログ主の所感】
 これは単純なバリアフリー化改良だ。利用者が多い山陽本線や可部線のような電化路線だけではなく、閑散路線で電化もされていない芸備線の駅にてバリアフリー化されるのは嬉しい限りだ。国土交通省が定める『バリアフリー法』(国土交通省HP)の規定では、1日平均利用者3,000人/日の駅には設置義務がある。調べると、下深川駅は1,639人/日、安芸矢口駅は2,044人/日(ともに2015年)となっており、法令上は設置義務は生じない。障害者の移動の大半は自動車中心だが、利用者が多い駅だけバリアフリー化しても意味がない。理由は、バリアフリー化された駅でしか乗降出来ないからだ。これでは真のバリアフリー化と言い難い。障害者の立場で言わせてもらうと、広島の交通機関で最もバリアフリー化が進んでいるのは、アストラムラインだ。全駅エレベーター設置で、ホームドア採用、ホームと車両の隙間もほぼなく段差もない。バスに至っては、低床(ノンステップ)バスであっても、歩道面とバス車両床面の高さが異なり、実質ワンステップだったりする。そもそもが、障害者が外で日常活動はしないことを前提に造られてきた。これを完全に改めるには、相当の時間がかかるだろう。ただ、障害者の最強の移動手段は、自動車だ。乗り継ぎの待ち時間もなく、目的地に最短距離と時間で到着する。障害内容と重さにもよるが、私自身も発症初期~前半までは自身が運転し、それ以降は家内の送迎にて自動車移動をしていて、別記事で散々、公共交通のことを書いているが、現実世界では他の地方人同様に使わない(笑)。話が思い切り逸れたが、こんな感じだ。次回は建設関係以外の問題に触れたい。


続く


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前回通院記事 2017年最後の広島大学病院通院
カテゴリー記事 
闘病記 近況について色々と

1 先週の金曜日は、2018年初の大学宇病院の通院日


画像1 毎度お馴染みの広島大学病院診療棟の外観

 先週の金曜日、2月23日は2018年初の大学病院の通院日だった。気候は最高気温が12℃を超え、3月上旬並みで封入体筋炎患者の私には、絶好の通院日和となった。この日はいつものように在宅仕事は有休消化、通院に備えた、付添人である家内も金曜日はパートは定休日で、朝からその日の夕飯の仕込みの準備で忙しくしていたが、毎度のことなので手際よく動いていた。泌尿器科が13時、脳神経内科が13時45分からのダブルヘッダ-である。血液検査が事前にあるので、午前11時45分に揃って自宅マンションを出た。この日も前回の12月の通院同様に、車いすで臨んだ。気候はこの日は温暖なので、杖歩行も考えたが4時間立ち姿勢を維持する自信がなく、転倒リスク回避のためそのようにした次第だ。愛車の『デミ蔵君』に乗車する際には車いすから降り、降車時に再び乗る形だ。大学病院までのコースは、『広島南道路の太田川大橋⇒同、吉島⇒南大橋⇒日赤・原爆病院⇒国道2号線出汐交差点⇒大学病院』、『宮島街道⇒平和大通り⇒比治山トンネル⇒大学病院』の2つが一般的だが、出発時に聞かれその時の気分で深い理由なくコース選択をしている。この日は、南道路コースだった。よくブログ記事で、広島南道路を引き合いに出すので自身の目で確認しておきたかった意味もあった(笑)。で、25分程度で到着した。この日のテーマは、車いすを一人で動かし『他人の手を借りない』である。

 診療棟(上記画像1参照)1階中央にある再受診機で診察券を通し、情報端末と予定表を受け取る。家内もその頃に、立駐に車を置き参上した。そして採血と再尿に向かった。ここでの様子は割愛する。20分程度で終わり、まずは2階の泌尿器科に向かった。前回受診も車いすだったが、この時は『苦渋の選択』で致し方なく、みたいな感じだった。今回も基本的には同じだがまあ目的を持ち臨むだけ、マシかも知れない。通常車いすの方は下肢が何らかの傷病等で、歩行が困難な場合が殆どだ。その代りと言っては語弊があるが、上肢-両腕は問題がない方が多い。しかし、筋疾患患者の場合、個人・疾患差はあれど上肢の筋力も下肢同様に委縮して、そう使いものにならないことが殆どだ。手押しタイプの車いすだと結構な労力だ。前回、ほぼ6年ぶりの車いす歩行を経験して再認識した。まあ、最近は運動量そのものが昨年よりかなり低下しているので、廃用性症候群の筋委縮防止や現状の筋力確認が目的とした。そこまで筋肉組織を破壊するほどの運動でもないだろうし、久しぶりの外世界に出る些細な喜びもある(笑)。泌尿器科(下記画像3参照)の受診時間は僅か10分で終了した。昨年1月下旬に突如、発症した慢性前立線炎は、この数か月症状は落ち着いており、特に問題はない。過ぎ去った過去の出来事すら感じるようになった。まあ、過去とは言い過ぎだが実感としてはそうである。ただ、処方薬-
ザルケデイァ5㍉㌘を服用し続ける限りでは、の前提が入るが・・・。あの痛みは相当強烈だが、生命を左右するほどの事もないので、正直なところブログ主は『舐めている』が正しい(笑)。これも筋疾患発症のお陰だ。仮予約を4月20日に入れ、会計を済まし1階に戻る。家内は『本当に押さななくて、大丈夫?』と心配顔で様子を伺うが、大見得を切った手前『じ、実は・・・』、とすぐにギブアップするわけにもいかない。


画像2 診療棟2階の泌尿器科の202受付の様子


画像3 診療棟2階にある泌尿器科の中待合の様子

2 CK値が239と、筋疾患発症後初の適正値だったが・・・


画像4 ところ変わって診療棟1階にある脳神経内科

 で、実は両腕-特に筋委縮がより酷い左腕が悲鳴を上げつつあった(爆)。そりゃそうだ。2011年初冬に筋生検をして、その後数日間車いす生活を余儀なくされたが、当時は車の運転も普通にしていたし、杖歩行でもなかった。両腕と両足、そして首の太さは現在の1.5~1.8倍程度(ブログ主目分量)あった。その約6年後の現在は、というと悲しみを超えもう笑うしかない現実が横たわっている。そんな現実なので、速度が他の車いすの人よりも遅い。ただ、注視していると自力走行している人はおらず、介護人の手押しで進んでいる。『お前、絶対に一人で出来るだろ?』みたいな人もいた。それは置いておいて、業を煮やした私は右足を足置き台から外し、補助エンジン代わりに使うことは決意した(笑)。左足もと言いたいところだが、最近、左足の生身義足化-思うように動かせなくなりつつあるとの意味-が進んでいるので、こちらは置いたままとした。右足を蹴りながら、両腕で車いすも押す。この方法に変えたら、速度が20%増し(ブログ主目分量)となった。まさにしないよりはマシである。そんなこんなをしていたら、順番となり診察室に入った。

 症状が比較的落ち着いていて、定期的に受診をしている方ならお分かりだろうが、仮に2カ月の1度程度の間隔でも、そういつも担当医と話すことなどない。開発中の新薬でもあれば別だが、そんなものなど世界のどこにもないし、出てくる気配すら感じない(笑)。この日のお題は、CK値
(メディカル・ノート)と例のはHALリハビリだった。まずはCK値。何と! 筋疾患発症後初の適正値を記録した。その数値は正常値範囲の239。前回検査より354よりも100以上も下がった。前回も、廃用性症候群の筋委縮が絶対に進むだろう、と思えるほどの日常運動量で下がったが、今回のCK値はそれも上回った。手放しで全く喜べないのは、日常生活の運動量が昨年比で激減してこの数値。理由はそれ以外ないので、喜ぶどころか危機感を感じないといけないレベルだ。これが昨年の夏頃の運動量でこの数値なら、別の反応を示していただろう。担当医の意見も基本的には同じで、痛し痒しといったところだった。担当医-ドクターK曰く、『現在の残筋肉量自体は、昨年や一昨年よりも減少量は、微々たるものの筈だが、超えてはいけないボーダーラインをこの数か月で超えてしまったので、体感として進行が加速したと感じるのではないか?』だった。理路整然としたその説明に、ブログ主は納得して瞬時に理解した。

 もう1つのHALリハビリだが、今回も前回同様に再開を勧められた。そのボーダーラインの手前に戻すためにはぜひ必要だと。在宅就労している手前、じゃあ来週からでも、と言えないところが悲しいが、送迎人の都合もあり、社との年密な相談も必要となるので再開の意思(本当にある)だけ示して、次回までに予定調整をするとだけ言った。上手く調整が進めば4月後半からの再開の予定だ。と言っても家内のパート休養日に、枠が空いているのか?、前回同様にリハビリ日は、午前のみの勤務で昼からリハビリに臨める体制がまた出来るのか?これが課題となりそうだ。と言うか、リハビリの予定が昼の枠の二番目以降がベストとなるのだが問屋がそう卸すのか、未知数だ。受診室を後にして、家内とその話をした。家内は大賛成で、どんなことがあっても調整すると力強く応えた。まあこちらは問題はなさそうだ。また、社の人間と要相談になりそうだ。数週間前のメンタルのへこみから、随分回復したので現状からどうすべきかだけを考えたい。毎回これの繰り返しだな、とに心の中で苦笑いしながら大学病院を出て、家路に向かった。次回はG・W突入少し前の4月20日の受診の予定だ。また記事にしたいとも思う。肝心の車いすでのリハビリだが、右足の負担は生半可ではなく、膝と脛が帰宅後完全に悲鳴を上げていた。右足の張りどころではなく痛みで破裂するのではないか?と疑うレベルだったが、全身の動きはいつにも増して良かった。今回の通院は、現状から考えると多少の明るさが見えた1日となった。車いす歩行については、別記事で考察要素を入れて書きたい。


画像5 2月の血液検査の結果 CK値の数値が激減。理由が分かるので痛し痒しだ(笑)


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シリーズ記事 海外先進事例 メルボルン 
カテゴリー記事 
広島の都市交通 海外先進事例


 この記事は海外版ウィキペディアを複数参考にして書いています。和訳が適当過ぎて、意味不明な部分も多々あり、ブログ主の和訳も一部混じっています。組織の名称や、年月日など多少の誤記があると思います。極力確認しながら書いていますが、その辺はご了承ください。

【考察その5】
メルボルンのトラムについて 1990年代前半~現在

スクリーンショット (385)スクリーンショット (386)
画像1(左)2001・02年より導入が始まったCシリーズの100%超低床車両
画像2(右)2013年より導入され始めたEシリーズの
100%超低床車両

 1997年、旧
MTA(首都圏通交局)のメトロ(近距離郊外鉄道)とトラム(路面電車)、バスが5分割された。トラムは『メットトラム1-スワンストン・トラム』(後にMトラムに改称)と『メットトラム2-ヤラ・トラム』、近郊電車は『ベイサイド・トレイン』(後にMトレインに改称)と『ヒルサイド・トレイン』、そしてバスである。『メットトラム1-スワンストン・トラム』ナショナルエクスプレス(ウィキペディア)が、『メットトラム2-ヤラ・トラム』はTransdevTSL(ウィキペディア)がそれぞれ、運営事業者に選ばれた。1999年に実行に移され、州政府は完全に公共交通の運営から撤退した。これは運営事業から手を引いただけで、ビクトリア州内の鉄・軌道に係る土地やインフラなどの所有権はヴィックトラック(1997年設立)で、売却しておらず業務委託方式である。所有者のヴィックトラックがPTV(ビクトリア州公共交通局)にインフラ施設などをリース、さらにPTVが、直接運営する事業者にリースする形となっている。この方式は、行政では諸般の事情で様々なしがらみがあり、効率的な運営が難しくコストも割高となり非効率な運営になることを回避するために行われた。典型的な『上下分離方式』で、この場合の上-鉄・軌道の運営及び経営から行政は手を引き、民間及び第3セクター会社に任せ、下-土地や諸施設は行政(第3セクター会社の場合も)保有のままの形態を指す。基本的には紆余曲折を経て、この方式が今も続いている。2002年ナショナル・エクスプレスはMトラムの運営事業から撤退した。同時にMトレインとⅤライン(地域長距離鉄道)の運営会社も撤退した。この3つは臨時処置として州政府管轄下に置かれた(04年まで)。分割したままでは利用者が不便になるとの判断で04年、ヤラトラムが政府管轄下にあった旧Mトラムを吸収する形で再び一元化した。その後09年頃まで、TransdevTSLの手により運営され続けたが、フランス最大手公共交通運営会社『ケロリス』(ウィキペデア)が51%出資した子会社の『ケロリスダウナー』がその後を引き継いだ。

 

動画1 
"Touch On Via Myki Mobile App" 28-1-18(ユーチューブ動画より)

 話が前後するが、運営の民間委託する際の契約条項にメルボルンのトラムネットワークの拡張とシステムの高度化―限りなくLRTに近づける義務が含まれていた。具体的には、①100%超低床車両導入
(02~17年 合計150編成)-C(上記画像1参照 計41編成)・Dシリーズ(計59編成) Eシリーズ(上記画像2参照 計50編成) ②metlinkの創設(03年~)メルボルンの公共交通に係る情報提供・統一標識システム ③郊外LRT路線の延伸(03、05年)-75・109号線 ④非接触ICカード『myki(マイキ―)』の導入(08~12年) ⑤安全地帯がある停留所の設置(次考察で説明) 約390/1,761電停中(22.1% ~18年) など積極的な設備投資が続いた。それが利用者増につながっている。1999~2000年の1日平均の利用者数は、約34.9万人だったが、16~17年は約55.9万人と160.1%増と運営委託の効果がはっきりと出ている。2012年輸送統合法の改正と交通法制定改正法案の可決の、新たにPTV(ビクトリア州交通強)が設立された。PTVは、ビクトリアの輸送サービスの提供と管理のための輸送。また、運賃、運送サービス、イニシアチブに関する情報を提供し、ビクトリアの公共交通機関の監督と改善を担当している。2015年よりフリーゾーン(無料区間)がシティサークル(無料観光トラム)内の地区で設定されている(下記画像4参照)。


画像3 路線㌔数245㌔の世界最大のネットワークを誇るメルボルントラムの路線図(PTV公式HPより) 拡大画像(要拡大)


画像4 ループ区間内のフリーゾーンエリア。このエリアの移動は、何と無料となっている(PTV公式HPより)

【考察その6】

メルボルントラム及びLRTの特徴と印象

スクリーンショット (367)Placeholder_Tram_Central-island-platform_400x200
画像5(左) 道路上に簡易柵だけを設けた停留所。これすらない停留所が大半(ユーチューブ動画より)
画像6(右) 島式の高規格停留所。現在、急ピッチで整備されつつある
(PTV公式HPより)

 このブログ記事を書くに当たり、デン・ハーグ同様に相当数のユーチューブ動画を閲覧した。さすがに世界最大のネットワークを有する都市なので、広幅員道路ばかりではなく時折片側1車線がやっとの道路も多々あり軌道敷内通行化区間もあった。全体的には
広幅員道路が他都市よりも多く、モーターリゼーションの大波を潜り抜けたことだけのことはあった。都市規模もあるが、1日平均利用者数約55.9万人は伊達ではなかった。ただ驚いたのは、広島市の路面電車ではあって当然の安全地帯付きの停留所が非常に少なく、白線だけや上記画像5のような白線に沿って簡単な柵だけを設置している停留所が多かったことだ。あちら風の表現の『プラットフォーム付きのトラムストップ』の設置率は、2018年現在で、22.1%と全体の1/4以下。これでも90年代後半まではほぼ皆無だったらしい。民間事業者に運営を委託が始まり、トラム高度化施策と相まって乗降客数が多い都心部(シティ)地区や郊外LRT的路線の96・109号線などを中心に整備が進んだらしい(上記画像6参照)。全体的な印象としては全区間でのLRTへの昇華は現実的には困難だと感じた。それをするにはあまりにも路線㌔数が長過ぎて、途方もない時間とコストがかかるだろう。これは、膨大なネットワークを有する他都市も同様だろう。利用者数が多い路線、行政の都市開発進むなり、予定されている路線などの経営上の戦略区間や複数系統が乗り入れる都心部地区の路線を抽出して、LRT的路線として位置づけ重点投資したほうが効率的で費用対効果も高かろうと思う次第だ。

 事実、その流れになっているようだ。デン・ハーグやまだ取り上げていないスウェーデン第2の都市ヨーテボリのように70年代から、トラムを基幹公共交通と位置づけ、路面走行式LRTとして整備してきた訳ではない。延伸こそしているが、トラム路線の延伸の色合いが濃厚だったので、特にそう感じる。安全地帯が設置された停留所の整備率がせめて、全体の50%を超えれば交通機関としての信頼性も高まり利用者が伸びる余地がまだあると考える。運営委託後、100%超低床車利用への置き換えが急速に進んだ。その数は150編成。とんでもない数だが、全体の500編成のうちまだ30%でしかない。運用車両の連接車両の比率は、通常床面高さの連接車両のBシリーズ含めてもまだ56%。一編成当たりの輸送単位を上げ、運転頻度を多少空けたほうが、団子運転(軌道内渋滞)も解消され速度向上が図れる。結果、運用本数も減り運転士などの人件費削減にも貢献する。欧州都市のように一編成当たりの輸送力向上が喫緊の課題になるのでは?、と感じる。シティ内の道路全てに軌道が施設されていると言っても過言ではないが、最大8系統が集中している通りがある。分散させるのは難しいだろうので、車両の大型化で運転間隔の間引きをして、トラム遅滞の障害を除去したほうが効率的だ。

 この規模の大都市になると、さすがに前回のシリーズで取り上げたクリチバ同様にフル規格地下鉄の必要性があると思うのだが。イタリアのミラノでは地下鉄4路線100㌔、トラム17系統115㌔があり、地下鉄建設推進とトラムの郊外延伸ともに積極的だ。盲目的にLRT、BRTが絶対だと言い張るつもりはない。それぞれの都市、都市圏域規模や移動需要に応じ、適切な規格の輸送機関導入がベスト。メルボルンにも都心部地区(シティ)の外縁部-ループ(環状)状にしか乗り入れていないメトロ(都市近距離鉄道)を、南北方向に内側まで乗り入れる計画があるようだ。これについては次の項目で語る。個人的な意見だと、南北方向だけではなく、東西方向に短区間のもう1本メトロ乗り入れ線を建設すれば、随分と状況は変わる筈だ。トラムの利用者はその分落ち込むだろうが、先に述べた改良努力を続けていけば、利用者の新規開拓はそう難しくないと考える。公共交通全体で利用者を増やし、自動車利用者を転換させれば問題はないと思う。


【考察その7】
メルボルンの近年及び、将来の公共交通改善

 この考察では、メルボルンのトラム(路面電車)とメトロ(都市近距離鉄道)の近年、及び将来の計画について考えたい。長々と書いてもあれなのでまとめ調で、書き記したい。一部内容はこれまでは書いたことと重複するが、読み流してほしい。


画像7 メルボルントラム96号線島式停留所の設置レイアウト図(PTV公式HPより)
 
▼メルボ
ルン公共交通改善計画 PTV(ビクトリア州公共交通局)HPより抜粋
-1⃣トラム(路面電車)
 ①トラムアクセシビリティ(近づきやすく、利用しやすい)の向上-●100%超低床車両導入
 (Eシリーズ 80編成)
停留所整備 安全地帯(島・対面式プラットフォームあり 上記画
  像7参照)、簡易柵(上記画像5参照)の各タイプ
 
②96号線(旧鉄道廃線跡のLRT的路線)のグレードアップ-路面区間の計16停留所の安全
  地帯式の高規格化、軌道敷内通行可区間の撤廃、PTPS(公共車両優先信号)設置拡大 最
  新車両の
Eシリーズ重点配備
 ③車両基地の拡張と新変電所の建設
 ④メトロ(都市近距離鉄道)とバスの乗り継ぎの利
性改善
-2⃣メトロ(都市近距離鉄道)
①メトロトンネル(都市近距離鉄道地下線)建設-メルボルン南東部からシティを南北方向に縦断
 して大学や病院が集まる北西部に至るルート。従来のメトロの路線とは異なり、シティの中心ま
 で乗り入れる。現在のメトロよりも地下鉄色が強い路線となる。全長は9㌔、地下駅は5駅設置
 される。2018年から建設着手される予定。ピーク時の運行数もネットワーク全体で19本増
 加し、約2万人分の輸送力を向上させる(下記画像8参照)
②新大型型車両(旧型の20%定員増)28編成導入(計65編成) ③システムの安全性向上 
④駅プラットフォーム内段差解消 ⑤主要駅の交通施設の改善と改修


画像8 既存のメトロ(都市近距離鉄道)路線図。水色部分は現在建設中の区間。点線部は地下区間(5駅)でシティループ内に乗り入れフル規格地下鉄の要素も持たせる(PTV公式HPより)

 トラムの運営委託後(1999年~)、00年代~10年代半ばまでトラム輸送の改善委積極的に投資してきた。それが一服して、現在は小康状態といったところだろうか?。逆に言えばそれだけ改善の余地が多いことの裏返しなのだが、先の考察で述べたように96や109号線などLRT的な路線のグレードアップや停留所設置率の向上等で、まだ新規需要は十分取り込める。メトロ(都市近距離鉄道)の(メトロ建設による)実質地下鉄化がトラムの今後を大きく左右しそうだが、トラムでは拾いきれない公共交通需要もまたあるので、自動車利用を削減する意味合いでは良策だと考える。メルボルンの場合、トラムだけでは都市交通問題を100%解決するのは不可能だ。素人のブログ主が記事作成中に思い付いたことがある。それは『フル規格サイズのメトロ建設が可能な財政余力があるのだから、LRT線的な郊外路線の乗り入れ専用地下線の建設を検討しないのか?』である。これには訳がありそうだ。メロボルンは、最大都市シドニーや首都のキャンベラを上回る都市圏人口増(2.1%)を示しており、少子化に悩む日本や他の欧州先進国といささか事情が異なるようだ。これらの国々が、かって経験した成長曲線にあるので、大規模都市インフラ投資も是なのかも知れない。羨ましい限りだ。

 ブログ主の個人的な意見としては、メトロ(都市近距離鉄道)の実質地下鉄化と一部トラム路線のシティ内地下化の両面作戦で進めば、結構面白いと思うのだが。『①メトロ(都市近距離鉄道)の東西・南北路線②地下式トラム(現在のLRT路線と需要が高い系統が乗り入れ) ③既存の地上式トラム ④バス、その他』の四階層化された理想的な公共交通網の構築を果たすのだ。人口増加分の新規の自動車移動需要に見合う道路整備はコスト面で建設的ではないので、時期が来たら自動車利用の一定の制限を課す(都心部方面への移動)。7年連続で『世界で最も住みやすい都市』の栄冠に輝いているが、都市交通問題が解決すれば、さらに魅力的な都市になるのは間違いない、と思う。次回はシリーズの締めの記事として、広島市が参考とすべき点を考えたい。 


参考文献:メルボルンのトラム(海外版ウィキペディア) :PTV(ビクトリア州公共交通局)HPなど


続く


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