封入体筋炎患者闘病記

 封入体筋炎患者のヒロです。病歴は2019年で満11年、12年目に入りました。在宅勤務の仕事とリハビリの日々を送り、細やかながらも家族3人で暮らしています。ブログ記事は闘病記と広島地元ネタ、社会保障などの時事ネタ中心です。希少疾患の封入体筋炎の周知が目的です。関心があれば、ツイッターなどでご紹介していただければ幸いです。疾患関係で直コメントが苦手の方は、ツイッターのダイレクトメールを利用してください。封入体筋炎の闘病史は各進行段階の症状や生活障害、必要な社会保障制度等をまとめています。良ければ参考にしてください。最新の封入体筋炎の状況は『近況について色々と』、取り組んでいるリハビリについては『2019年春~夏 筋疾患(封入体筋炎)リハビリ』にて素人の体感目線で書いています。モバイル版で読みにくい場合は、PC版に転換してからお読みください。

Category:広島の都市交通 > 改良提言編鉄軌道系

シリーズ記事 都市交通を考える 改良提言編鉄軌道編 
関連記事 都市交通を考える 海外都市事例

 
広島市都市交通改良提言 その3
広電市内線本線は許容量を超えている。BP線が必要

電車路線図
画像1 広電市内軌道線と宮島線路線図(広島電鉄HPより) 拡大図

c 広電市内軌道線平和大通り(西、東)・駅前大橋線(下記画像3参照)

Ⅰ-提案理由とその背景 その1
 
 まずは広電市内軌道線の運行状況を見てみる。系統毎の運行本数データは2004年と12年前のものだが、若干間引きされているとはいえ、現在とそう変わらないと思われる。参考程度に分かればよいので、そのまま引用する。

ー① 広電市内軌道線本線経由系統(上記画像1拡大図参照)毎本数 2004年

1号線 広島駅ー紙屋町ー広島港 1日の本数279本、最混雑時間帯本数22本
2号線 広島駅ー紙屋町ー西広島 1日の本数262本、最混雑時間帯本数32本
3号線 西広島ー紙屋町ー広島港 1日の本数255本、最混雑時間帯本数20本
5号線 広島駅ー比治山下ー広島港 1日の本数256本、最混雑時間帯本数26本
6号線 広島駅ー紙屋町ー江波 1日の本数202本、最混雑時間帯本数14本
7号線 横川駅ー紙屋町ー広電本社前 1日の本数163、最混雑時間帯本数16本

ー② 最混雑時間帯区間別本数(3系統以上乗り入れ区間) 2004年

・広島駅-的場町 1時間当たり 94本 38.3秒毎の運行 
・広島駅ー紙屋町 1時間当たり 68本 53.9秒毎の運行
・十日市ー紙屋町 1時間当たり 66本 54.5秒毎の運行
・紙屋町ー広電本社前 1時間当たり 58本 1分02秒毎の運行
・皆実町6丁目ー広島港 1時間当たり 68本 53.9秒毎の運行
※アストラムライン 1時間当たり 24本 2分30秒毎の運行

ー③ 広電市内軌道線
表定速度 2010年
最混雑時ー9.0km/h弱、日中ー9.5km/h弱 拡大図


画像2 これはフラワーフェスティバル開催時の宇品線中電前電停付近の団子運転の様子

ー①・②は
路面電車の LRT化を中心とした 公共交通体系の再構築の検討調査報告書(中国運輸局)、ー③公共交通の体系づくりの基本計画(広島市HP)から引用

 東西方向の本線区間広島駅ー十日市間と紙屋町交差点で分岐する宇品線紙屋町ー広電本社前間、宇品線と比治山線が合流する皆実町6丁目ー広島港の3区間が、複線軌道の容量の限界を超えているのがお分かりだろう。広電市内軌道線の遅い表定速度の最大理由は、容量を超えた本数が団子運転(軌道内渋滞)を引き起こし、乗降客が多い紙屋町西・東電停(紙屋町交差点)でフン詰まりとなり拍車をかけている。殺人的な本数とバスなどラッシュ時の都心部の渋滞、信号サイクルの変更などの走行環境の悪化が、止めを刺している。私が、郊外のアストラムライン西風新都線よりも先にデルタ内の広電とバスを何とかしろ、と思うのはこれがあるからだ。これが他都市であれば、都市高速鉄道ー地下鉄導入となるところだが、広島のデルタを甘く見てもらったら困る(笑)。広島ほど地下開発に不向きな都市はない。地盤が緩く、技術的に解決出来るがその分コストが嵩む。ここで昨年開業した仙台市営地下鉄東西線と、アストラムライン南北線のかっての延伸計画を比較する。地下鉄道のコストは、掘る深さとトンネル断面面積によるところが多い。AGT(アストラムライン)とリニア式ミニ地下鉄は、サイズ的にほぼ同じだ。


ー④ 広島市の地下鉄軌道線建設高コスト指標

・仙台市営地下鉄東西線 営業キロ13.9km、建設キロ14.4km

建設費2297.5億円 1km当たりの建設費159.5億円
・広島高速交通南北線(本通-広大跡地) 建設キロ1.4km
建設費約600億円 1km当たりの建設費428.6億円(仙台市営地下鉄東西線の2.69倍) 

地下鉄東西線建設事業~(仙台市HP) ~仙台市地下鉄東西線~(ウキペディア)より引用


 これはもう広島のデルタ地質を恨むしかない。アストラムライン南北線延伸計画の試算は、1999年の大雑把なもので、実地設計を行い割り出した試算ではない。17年前の大雑把な試算で、その後の公共事業の高騰を考えるとこの金額の1.5倍は優にかかると思われる。紙屋町地下街シャレオは、工事直前試算の1.5倍の建設コストがかかった。田中町交差点の立体化は2倍。地盤が強固な内陸都市の仙台市は、事業許可時(2003年)の建設コストは2735.1億円だった。そしてコスト削減を図り事業再評価時(2012年)は、2297.5億円と16%のコスト削減に成功している。

 ただ残念なのは、
事業許可時(2003年)ー11.8万人/日、事業再評価時(2012年)ー7.9万人/日と設定した利用予測が、現実には5.2万人/日(2016年)と低迷している。競合バス路線が市バスで路線調整したにも係らず、この有様だ。ただ初期コストの低さは採算性ハードルの低さともなる。仙台市の場合は何とかなるだろう。広島市は100万都市クラスでは、最強の地下開発高コスト都市である。専用基金もなく市の財政状況や今後の人口減を考えると200%無理、の結論に達する。 ~平成28年度当初予算~(2-(3)参照) ~「世界に誇れる『まち』広島」人口ビジョン~(P13参照)ー①~④の諸データから勘案すると、広電の現状は看過出来ないが地下高速鉄道(フル規格地下鉄・AGT)の導入も無理、となる。公共交通改善の残る道は、路面電車の高規格ーLRT化しかない。合理的に考えると、この結論に行き着く。

Ⅰ-提案理由とその背景 その2


画像3(左) 広島市のデルタ内分布図(半径2.0~2.5㌔圏内)
画像4(右) 約10年前に構想路線として提案された各路線

 画像3を見て頂きたい。広島市内の俗にいうデルタ内エリアだ。別称では、旧市内とか市内と表することも多い。東西約5km、南北約4kmの狭い範囲に広島都市圏の高次都市機能が集中している。首都圏や関西圏と比較して、都心部の範囲は狭くコンパクトな構造となっている。このシリーズでも再三書いているが、市域面積の約83%が丘陵・山岳地帯で平野部は僅か17%。その平野部にJR各線、広電宮島線、アストラムラインの定時性の高いデルタ外基幹公共交通網が施設されている。デルタ内・都心部に直接乗り入れているのは、広電宮島線とアストラムラインのみ。そして都心部・デルタ内を往来できるのは広電だけとなる。このコンパクトな都市構造であれば、中・大量輸送機関のフル規格地下鉄やAGT(アストラムライン)である必要がない。路面電車、バスの範疇である。

 机上の論になるが、表定速度20km/hのLRTと表定速度30km/hの地下鉄の移動トータル時間を比較する、と3km移動以下だとLRTが早く、3~5km移動だとほぼ互角、5km以上の移動は地下鉄の方が早い、との事だ。この論を当てはめると、広島はLRT最適都市となる。しかし、これは表定速度20km/hのLRTの話だ。現実世界の広電は、表定速度9.0弱~9.5km/h。LRT風の車両(超低床電車)が走る路面電車である。海外の新規LRT開業都市のLRT表定速度は、概ね18~25km/hだ。日本初の新規開業都市になる宇都宮LRTも20km/hを目指している。いくら低コストで、都心部の賑わい性向上に寄与すると言っても既存の公共交通や自動車よりも遅いのでは、単なる税の無駄遣いなのだ。遅過ぎる広電市内軌道線の表定速度向上するには、本線区間(十日市ー広島駅)の負荷を減らすしかない。即ち、容量増加ー線増しかない。

 
線増には二通りの考えがある。本線の複々線化と別線(BP線)建設だ。本線複々線化は、相生通りの車線減少を伴うので非常に難しい。既存電停の統廃合1つ取っても、あれこれと理由を並べられて反対される。そして既存の電停の延伸も現在の信号位置との関係で限界がある。相生通りは広島のメインストリート。利害関係も複雑で煩(うるさ)い。反対派に配慮し過ぎても、骨抜き的なものとなり費用対効果が薄れる。それならば、近の別の通りに別線線増と言う形で、新規路線を新設した方が話が早い。BP線建設で各系統の路線を大半をそちらにシフトさせて、本線に集中し過ぎている系統、本数を減らし走行環境を大幅に改善させる。これにより市内軌道線全体に好循環をもたらす。これが平和大通り(西・東)、駅前大橋線施設の提案理由だ。次回は具体論について語りたい。

 


続く。



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7 広島市都市交通改良提言 その2
広島都市圏規模だと複数の環状道が必要

b 広島内環状道路(仮称)

画像1 広島内環状道路イメージ図 下手くそなお絵かきだ(笑)

Ⅰ-提案理由とその背景

 
 前回記事では、外環状道路について公共交通の走行環境改善の意味合いからその必要性を説いた。今日はもう1つの環状道路ー広島内環状道路について説明
したい。広島市は人口119.4万人(2015年10月現在)、都市圏(15%)人口は約210万人(2010年、総務省統計)で、都市人口としては10番目、都市圏人口では8番目に位置する。日本の数ある大都市の1つと言える。都市圏定義は5~15%、広域都市圏(経済圏)、民間定義も含めると数多くあるが、このブログ記事では、総務省の15%都市圏を基本に話を進める。

  この規模の都市圏だと、最低でも一般道の環状道路が複数必要だ。都市の立地条件が異なるので単純比較が難しいが他都市の例を見てみる。

政令指定都市・中核都市の環状道路計画
・仙台市 人口108.2万人、都市圏人口216.9万人、ー3環状12放射線
・横浜市 人口372.4万人、都市圏人口ー万人ー3環状10放射線
・金沢市 
人口46.5万人、都市圏人口105万人ー3環状12放射線(下記画像2参照)  
金沢外環状道路~(ウキペディア)

・宇都宮市 人口51.9万人、都市圏人口108.7万人ー3環状12放射線(下記画像3参照)
宇都宮環状道路
(ウキペディア)
人口は中核都市・政令指定都市ランキングより(2015年10月数値)、都市圏人口は~都市圏(総務省)~(ウキペディア)から抜粋。横浜市は、流入人口よりも流出人口が多いので都市圏扱いにしない。

画像2 金沢市の3環状道路の建設状況 拡大図 (金沢市HPより) 

像3 宇都宮市の3環状12放射線道路計画図(宇都宮市HPより)

 国内都市第2位の人口を誇る横浜市は無論のこと、都市規模が似通っている仙台市には3本の一般道の環状道路計画がある。ここで注目したいのは、金沢市と宇都宮市だ。都市・都市圏規模は約2倍差だが、広島市との共通点がある。それは都心部を縦横に走る都市高速鉄道網(地下鉄等)がなく、バスなどの路面公共交通機関中心である事だ。横浜、仙台の2市は2本の地下鉄が走っているので参考にならない。金沢市は、古くから新交通システム(当時はAGT)導入構想があったが、実現しなかった。現在は、減り続けるバスの活性化・再編、交通結節点改善に鋭意
取り組んでいる。そして、自動車の都心部への流入抑制ー歩行者・自転車通行空間確保にも取り組んでいる。長期的には、新交通システム(BRTorLRT)導入も視野に入れており、その環境整備が目的でもある。 ~第2次金沢交通戦略~(金沢市HP) 宇都宮市は都心部活性化に悩む中核都市のトップランナーだ。90年代より新交通システム(LRT)導入を前向きに検討してきた。時には政争の具となったが、同時期に検討していた他都市が、長期課題に後退してバスの活性化でお茶を濁す中、2016年度着工、19年12月の開業まで漕ぎつけた。 ~宇都宮LRT建設発進 2019年度開業目指す~ 仮に大成功を収めれば、検討、構想中の都市が一気に導入に傾き、既存の路面電車を有する都市もそのLRT化加速する可能性がある。

 この2市、取り組みに開きがあるが共通点も多い。それは、複数の環状道路整備で都心部の流入自動車量を減らし、公共交通の走行環境を改善させる。そして、歩きやすい都心部に再生させ、かっての賑わいを取り戻す、日本型集約都市構造への転換を目論んでいる事だ。複数(3本)用意することで、市域内及び都市圏内の自動車交通に支障が出ないように配慮もされている。広島市が、戦略性に欠けるのはこの点だ。自動車専用道路(広島高速2号
)と一般道路を組み合わせた環状道路計画らしきものはあるが、自動車専用道路ー業務車両、一般道路ーその他車両、と区分けするのが常である。それを混在した計画を立てる。 因みに地方地方中枢都市クラス以上では、これらの一般道の環状道路を包み混む形で、複数の高速道路の組み合わせで環状高速道路を形成している(仙台、福岡、3大都市圏など)。地方都市の福岡、仙台で、高速道路の環状線がどれだけ需要があるのか多少疑問は感じるが、計画立案の手順は正しい。一般道の環状道で捌き切れなくなり、物流機能などの機能を担う業務車両を有料制の自動車専用道路(高速道路)に移すのが常識的な判断だからだ。

 内環状道路に話を戻す。外環状道路では、デルタ外から他方のデルタ外に移動するー通過交通をデルタ内・都心部に入る前に迂回させてその交通量を減らすのが目的と書いた。1本ではその負荷が大きく、外環状道路が渋滞する可能性がある。よって、その内側にもう1本設定して負荷を軽減。そして、移動選択肢を増やす。内環状道路の場合は、都心部に流入する自動車(通過交通)を防ぐ最後の砦的な役割である。

Ⅱ 内環状線のルート

画像4 広島内環状道路の骨格をなす、国・県・市道一覧

(国道)広島南道路一般道(宇品海岸通りー観音新町)-(県道)南観音観音線(観音新町ー南観音)ー(市道)駅前観音線(南観音ー広島駅前交差点)-(市道)中広宇品線(駅前大橋ー宇品海岸通り)

この路線、ほぼ出来上がっている。外環状道路と異なり、地域高規格道路にして整備を加速させなくても現状の国・県・市道の組み合わせのまま、一部未拡幅区間の拡幅工事を行えば問題はない。その未拡幅区間だが、西側に少し残っているが、駅前観音線の南観音地区の歩道、広電本線軌道施設区間(西郵便局付近)ぐらいである。南観音観音線の広島南道路以南が2車線区間だが、ここでは無関係なので割愛する。道路の正式名称で見ると一瞬「?」と思うが、空港・中広・城北通り、駅前大橋と中広宇品線の事である。歩道額福はおいおいとやれば良いし、軌道施設区間の拡幅は、広電線の軌道移設後、その跡地を利用して拡幅すれば良いだろう。

 下記画像4は、現在の街路整備事業中の各路線一覧だ。特に感想はないのだが、私の個人意見としては、土砂災害復興関連の街路整備(長束八木線)、路面公共交通の走行環境改善の道路整備、各種再開発・跡地利用などの大型事業関連の道路整備(安佐市民病院アクセス道等)を最優先した方が良い。広島高速道路は空港アクセス道となる5号線整備は緊急性が高いが、他は整備しても費用対効果が限定される。一般道が終日混在して麻痺に近い首都圏と比べ、地方都市はそこまで深刻な状況でもない。そして広島市を取り巻く社会情勢(人口減、財政)を鑑みると、あれもこれも出来る時代ではない。市税納税者、子を持つ親として、事業の選択と集中を今以上に加速するべきだ。


画像4 現在街路事業として整備中の路線一覧(広島市HPより) 拡大図



続く。


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シリーズ記事 都市交通を考える 改良提言編鉄軌道編 
関連記事 都市交通を考える 海外都市事例


 以前、熱心に投稿していた都市交通系記事だが約7か月ぶりとなる。途中まで書き、放置していたシリーズを再開させたい。広島の都市交通を考える 改良提言編鉄軌道編である。読むと、現在の計画の論評で終わり提言までしていない。再開に当たり、提言を現状の市のプランの大枠の中でしたいと思う。

5 広島市都市交通改良提言 序章

 個別の説明の前に、以下の道路と新設路線を提案したい。サブタイトル6以降で個別に導入目的等を詳しく説明する。都心部、デルタ内エリア中心でデルタ外については別の機会としたい。  


a 広島外環状道路(仮称)、b 広島内環状道路(仮称)、c 広電平和大通り・駅前大橋線、d 広電宇品線延伸、e その他広電市内軌道線、バスの改良など

6 広島市都市交通改良提言 その1
環状道整備で都心部、デルタ内の通過交通を減らす

a 広島外環状道路(仮称)

Ⅰ-提案理由とその背景
 広島市の面積は、90.653(単位 km2)で20政令市中4位の広さだ。 ~政令指定都市人口・面積・密度ランキング~ 1970年代より政令指定都市を目指し、旧安佐、安芸、佐伯郡各町と広域合併をした結果こうなった。その結果、市域の約83%は丘陵・山岳地帯となり、道路・鉄道網はその合間を縫う形で施設されている。郊外部に当たる東西南北デルタ外エリアから、デルタ内・都心部を目指し、朝の通勤時間帯一斉に大移動が起こり、交通渋滞を引き起こしている。幹線道(国道2・54・31号線)を迂回するコースの選択肢は少なく、仮にあっても幅員が狭い旧道が多く、また集中もするのであまり機能していない。

 もう1つの問題は、通過交通ー市域内移動のデルタ外⇔デルタ外、他市間移動もデルタ内を経由するコース選択を強いられるので、慢性的な渋滞の要因になっている。広島都市圏は東西方向の広島湾岸平野部に、人口、産業の集積が図られ、高次都市機能もそこに集中している。これらを結ぶ国道2・31号線のBP(西広島BP、広島呉道路)は中途半端で、お世辞にも立派とは言い難い。平野部が少ない地形が災いして、迂回コースはないに等しい。言っても詮無きことだが、インフラ整備コスト高も含め地形に泣かされいる。


画像2 広島の都市交通行政遅れの象徴ー西広島BP高架区間(アンドビルド広島より)

 この問題の手っ取り早い解決策は、幹線道である国道2号BP、西広島BP高架延伸、東広島・安芸BPの整備促進である。しかし、行政の財政難と沿線住民の反対などで遅々として進まないのが現状だ。「手っ取り早い解決策」と多少軽侮した表現にした理由は、現在の都心部・デルタ内の交通量をどう捌き渋滞緩和させるのか?この旧態然とした交通行政思想から脱していない。意地の悪い見方をすれば、沿線BP整備では、潜在的な需要喚起となり新道沿線に集客施設が立地して、イタチごっことなる可能性もある。都心部、デルタ内に流入する通過交通を如何に減らすのか?に思考をチェンジするべきだ。現在の広島市人口は119.4万人(2016年10月)、2030年は109.3万人、2060年には93.3万人が予測最低値として見込まれている。 「世界に誇れる『まち』広島」人口ビジョン~(広島市HP)~ 人口自然増のカギとなる合計特殊出生率が近年、微増傾向なのでこの数字にはならないが、2060年の100万人割れは確実だろう。人口2割減になっても、単純に交通量2割減になるとは限らない。女性高齢ドライバーが今よりも増え、10%以下の減少にとどまると予測する。ただ、生産者(15~64歳)人口減により、通勤時間帯の交通量は確実に減るだろう。

 外環状道路整備により、都心部・デルタ内から通過交通を締め出して、激減させるのだ。自動車利用需要調整を図る※注1 
交通需要マネジメント(TDM)も有効な手段だが、※注2 都市交通整備の原資が限られ、その主たる特定財源がない日本ではソフト施策が中心となり効果が疑問だ。現在の需要はある程度止む無しと割り切り、それ前提でどう通過交通を削減させるか?こちらを主眼とした方が現実的だ。なぜ都市交通、しかも鉄軌道整備の記事でこれを問題視するのか、深い訳がある。広島市の場合、今もそうだが今後も都心部及び、デルタ内エリアに高架、地下の定時性の高い鉄軌道整備される可能性は皆無に等しい。既存の広電市内軌道線、バスと言ったデルタ以内準基幹公共交通がその中心となる。路面公共交通であるがために、道路の混雑状況がダイレクトに影響する。交通量が少ない宇品地区のみなと公園付近や本線のクランク区間の土橋ー観音町はよく進み、交通量が多い紙屋町交差点に近づくと電車は動かなくなる。交通量の多さだけが理由ではないが、いくつかある大きな理由の1つになっている。

 広電市内軌道線の表定速度を見ると納得する(下記画像3参照)。1993年混雑時11.0km/h強、日中12.0km/h強が2010年には混雑時9.0km/h未満、日中9.5km/h弱まで落ちている。この間利用者は微増微減を繰り返し、大幅に増えてはいない。下記画像4の運行時間の内訳を見ると年度はずれているが、信号待ち時間の増加が目立つ。信号サイクルの改変(歩行者優先)もあるが、走行環境の悪化と言える。走行環境の改善なくして、路面電車とバスの速度向上はあり得ない。その走行環境改善のための外環状道路導入なのだ。


画像3 広電市内軌道線表定速度の推移(公共交通の体系づくりの基本計画より)


画像4 路面電車の運行時間の内訳(公共交通の体系づくりの基本計画より)
 
※注1 交通需要マネジメント(TDM)
 交通需要マネジメント(TDM)とは、自動車効率的な運用や公共交通利用を促し、交通需要の調整を行う事。手法としては公共交通網整備、バス・パークアンドライド、自転車利用などの交通手段変更。時差出勤,フレックスタイム制の導入で混雑時間の標準化、自動車相乗りの推奨(輸送単位見直し)、ロードプライシング、ナンバー規制などがある。

※注2 都市交通整備の原資
 公共交通先進国のドイツとフランスには鉄軌道系交通網の専用財源が存在する。ドイツは鉱油税で日本のガソリン税の相当するものだ。厳密には専用ではないが導入間もない1960年代ですら、利用用途は公共交通整備60%、道路整備40%だった。現在は70%を超えている。関連施設整備にも使え、パークアンドライド専用駐車場が、地下鉄・LRT駅周辺に数千~数万台規模で広がる。フランスは都市交通税なるものがある。1974年に公共交通整備促進を目的に導入された。人口1万人以上の自治体で、従業員9人以上雇用している企業、個人に課税される。課税対象は、その企業の給与総額に対してである。2010年の導入都市数は226だ。インフラ建設の資金になっているが、開通後の維持運営費用にも使われている。
 
Ⅱー導入ルートと整備手法


画像5 広島外環状道路(仮称)イメージ図 下手くそなお絵かきだ(笑)

 毎度言っているが、全区間新設するのではない。既存、計画中の道路、そして一部の新設道路で構成される。現時点でも4割程度(暫定開通区間含む)開通している(上記画像5参照)。長文だと指が疲れるのでまとめてみた。
  
広島外環状道路ルート
広島南道路一般道(商工センター仁保)ー草津沼田道路(商工センターー大塚)-高陽沼田線(大塚ー中筋)-中筋温品線(中筋ー温品)ー温品仁保線(新設 温品ー仁保新町)ー広島南道路一般道

・市道としてではなく、地域高規格道路(広島県HP)に格上げして国が建設費の2/3、残りの1/3を広島市と広島県が等分に負担する。
・第1期計画区間(10年程度)ー広島南道路一般道(商工センター仁保新町間)4車線化・延伸、草津沼田道路の行者山トンネル(旧有料道部分)の4車線化、中筋温品線第1・6工区整備、2~5工区用地買収、新設道路温品仁保線の用地買収
・第2期計画区間(10~15年) 中筋温品線第2~5工区整備、新設道路温品仁保線整備、国道54号(祇園新道)の交差部立体化

 まあこんな感じだ。新設の温品仁保線は現在の広島高速2号線高架下を一般道化。全て市道整備方式だと50年経っても開通しない。国の直轄事業にすると整備速度が加速する。現在の広島県の地域高規格道路計画(下記画像6左参照では、広島高速道路を取り込んだ形で環状道路らしきものが形成されている。有料道整備による渋滞解消効果がないことは、広島高速3号線、広島呉道路(クレアライン)開通で証明済みだ。時間が多少かかっても、一般道整備方式の方が費用対効果が上がる。コンパクトシティ建設の中の包括メニューで、交通需要マネジメント(TDM)導入と共に都心部を迂回する道路ー環状道路整備がどの都市でも謳われ、実際に整備されている。日本の都市では本格導入されていないトランジットモールも、迂回する環状道路を複数用意することで、市域全体の道路交通に大きな支障が出ないように配慮されている。単純な善悪論(車ー悪、、公共交通ー善)ではない。移動手段の選択肢の問題だからだ。

 今後もバス・路面電車と言ったデルタ内準基幹公共交通を柱と考える場合、都心部・デルタ内の自動車交通削減なくして語れないと言うのが私の持論だ。

広島県地域高規格道路網図
画像6 広島県の地域高規格道路整備計画図(広島県HPより)



続く。


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前回記事 広島の都市交通を考える 改良提言編鉄軌道編 4
関連記事 広島の都市交通を考える 海外都市事例


 かなり間が開いたが、続きを書きたい。前回記事時で、構想止まり、棚上げ路線といてアストラムライン都心線(旧東西・南北線)を取り上げた。きょうはもう1つ、諸般の事情で棚上げされた
広電短絡線(西観音町交差ー江波線小網町)についてだ。先に概要を説明してその後、論評したい。

4 構想止まり、棚上げされた路線 その2



画像1 広電市内軌道線短絡検討ルートと結節点改善(広島市HP)

広電江波短絡線(西観音町交差ー江波線小網町)


この路線は元々、戦後の復興計画の中で、駅前大橋線、吉島線新設、江波線延伸と共に計画されていた。戦前まで西広島ー土橋間は新設軌道(専用軌道)であった。戦後の復興計画で新設軌道区間を平和大通りに移設することがが予定されていた。戦争中に工事がストップした太田川放水路の工事再開、それに伴う旧福島川(現在の中広・空港通り付近)の埋め立て、平和大通り建設の進捗に伴い順次移設、全て完成したのちに完全に移設するはずだった。西広島駅ー西観音町交差点間は移設されたが、残りの区間は旧線接続となった。観音町ー土橋間の狭隘道路区間は、専用軌道時代の名残である。駅前通りが移設前提で幅広の中央分離帯があるのに対して、小網町ー西観音町交差点は移設前提を彷彿させる痕跡がない。平和大通り完成は1965年だが、工事が佳境に入った時点でモータリゼーションの波が押し寄せ計画が中止されたと推測する。

 そしてこの路線が再び脚光を浴び始めるのは1990年代後半からだ。この時期の都市交通論議の際に、駅前大橋戦同様に
広島電鉄が世界的なLRT建設ブームの波に乗り、「路面電車の活性化とバスとの結節改善計画概要書」で提案した。この提案の主旨は、西広島駅・広島駅からの速達性向上で短絡線建設により迂回ルートの解消。ひいては速達性の向上といった実現性が高い案として提案された。当初提案ルートは西広島駅ー小網町(江波線)ー白神社(宇品線)で、2号線(宮島口ー紙屋町ー広島駅)の速達性向上と3号線(西広島駅ー紙屋町ー広島港)を白神社経由とすることで、広島港の最短ルート化と本線の負荷回避の狙いもあった。平和公園前を通過するルートとでもあり市民団体からは、寄贈された樹木移転理由からの反対、当時の商工会議所会頭からは「平和の聖地に相応しくない」と批判された。何れも政治的に発言力のある団体、人物の反対・批判だったので提案の修正を余儀なくされた。

 結局、1999年11月策定(上図参照)の「新たな公共交通体系づくり基本計画」では、西観音町交差点-小網町交差点間0.9km、駅前大橋線(0.7km)がアストラムライン新設・延伸計画と共に示された。その3年後の2002年には、
西観音町交差点-小網町交差点間0.9km、駅前大橋線(0.7km)とアストラムライン西風新都線(6.2km)が、中国地方交通審議会広島県地域交通計画に組み込まれた。これは、建設時に国の補助制度活用のお墨付きを貰ったのと同義であった。概算の整備費用は、アストラムライン西風新都線が700~800億円、駅前大橋線(南口広場整備も含む)135億円、江波短絡線70億円であった。小網町(江波線)ー白神社(宇品線)間はトラムライン東西・南北線同様に、この計画に盛り込まれず、構想扱いとなった。同年、広島市は「平和大通りリニューアル事業」基本方針(広島市HP)を発表した。この中で平和大橋/西平和大橋と緑大橋の建て替えも盛り込み、平和大通りリニューアル事業の一環として整備する予定だった。江波短絡線建設の場合緑大橋、構想どまりの白神社までの建設だと平和大橋/西平和大橋が加わり3橋の建て替えが必須となる。1橋あたりの建て替え費用は約50億円。この費用負担が問題視された。2003年広島市は財政非常事態(広島市HP)を宣言。2004年度より第2次財政健全化計画期間(~07年)に入った。

 第2次財政健全化計画完了後も、新白島駅、駅前大橋線、西風新都線が具体化していく中、江波短絡線は議論すらされず放置された。
平和大橋/西平和大橋の建て替えが、歩道設置に方針転換したことからも市の財政負担が大きい完全な建て替えは、可能性として低い。コスト面でセンターリザベーション方式が予定されている。サイドリザベーション方式だと緑地帯の嵩上げ費用と地下都市インフラ移設費用がかかるからだ。西広島駅の結節ターミナルとしての地位低下などもあり、その優先順位は低い。仮に建設が検討される場合、アストラムライン都心線(西広島駅ー白神社)建設議論とセットで行われるものと思われる。時期的には2030年代前半と推測する。
 

201307hiroden-3.jpg
画像2 鯉党のひろしま街づくり日記より 緑大橋の建て替え費用(50億円)が捻出出来ず完全に棚上げ状態となった。
…………………………………………………………………………………………………………………… 
広電短絡線(西観音町交差ー江波線小網町)

 この路線について論じたい。私はかねてよりこの江波短絡線を含めた平和大通り・駅前通り(画像4参照)へのフル規格LRT導入を提案してきた。西広島駅と都心部(紙屋町・八丁堀)の速達性向上効果よりも、軌道容量の限界を超えている本線(広島駅ー十日市
)のBP、救済路線となりうるからだ。広島市は現在の新たな公共交通体系づくり基本計画の中で、都心部及びデルタ内の移動手段として広電市内軌道線とバスを準基幹公共交通として重要視している。バスよりも輸送密度が高い広電市内軌道線の高度、LRT化はアストラムラインの都心部路線建設が諸般の事情から絶望的であることを思うと現実策だと思う。この路線が実現すると、3号線は白神社経由となり、2号線も走行環境の良い新路線に便数の大半をシフト、利用者も分散されて好循環をもたらすはずだ。本線の抜本的改良(電停統廃合、線増)は沿線からの反対が起きて難しいと考える。これについては、提案記事の中で詳しく書きたいと思う。

画像3 ユーチューブより  パリLRT T3線センターリザベーション区間の様子。センターリザベーション・軌道全体の嵩上げ、芝生軌道の三拍子が揃う路面専用区間である。広幅員の平和大通りであれば可み能である。

 棚上げされている理由として緑大橋の建て替え費用の問題がある。この平和大通りの正式名称は「市道比治山庚午線」である。国の定める規定だと市町村道の改築になる。こうした地方道整備の大半は、国の実質補助なしの単独事業となる。現在の制度だと地方道でも空港や港湾施設のアクセス道など戦略性に富んだものや社会資本整備でパッケージ整備が必要なものについては補助・交付金対象となる。緑大橋、
平和大橋/西平和大橋の建て替えが、その何れにも属さないために市の単独事業となってしまう。これが大ネックとなっている。江波短絡線実現は、市の単独事業から社会資本整備総合交付金対象にでもしない限りは難しい。その対象になるためには遅々として進んでいない「平和大通りりリニュアール事業」を見直して、広島市の成長戦略の基幹事業として練り直す必要がある。社会資本整備総合交付金対象となるには、個々の計画だけでは無理だ。広島を代表するシンボリック街路として全体整備計画を策定して、その中に先の3橋の建て替え、それに伴う軌道線施設のための空間確保なども盛り込むのだ。LRT整備補助(建設費の1/2 ~将来まちを支えるLRT~(P5参照 とセットで活用すれば、江波短絡線の建設費70億円のうち35億円は、補助が見込める。
images (1)
画像4 2005年中国運輸局より提案されたデルタ内の各路線
 

1401218
画像5 2号線(赤色)宮島口-紙屋町ー広島駅、3号線(青色)西広島駅ー紙屋町ー広島駅 
広島電鉄パンフレットより 

 構想どまりの江波線小網町ー宇品線白神社延伸の場合でも建設費が約170億円、国の85億円の補助となり広島市負担は85億円となる。現在の3号線が紙屋町経由から白神社経由となるだけでも、本線の軌道容量不足解消の一助にはなる。更に言えば、3号線の一部電車を宮島線内に乗り入れれば2号線の紙屋町経由便が減
便可能となり多少の軌道内の余裕ができる。アストラムライン西風新都線の総事業費が676億円(インフレ外設備更新費含む)、広島市負担額は355億円である。沿線人口も少なく、緊急性も高くない。費用対効果も現時点では限定的だと思う。広島市に355億円もの負担可能な前提で話すと、1/4以下の85億円負担でデルタ内準基幹公共交通の広電本線の課題が半分くらいは解決が可能となる。投資先は都心部及びその外延部、一方は市の広域拠点の1つとは言え郊外部、財政の制限がある中、優先順位をつけると前者であろう。西風新都線を完全否定しているわけではない。優先順位を間違えていると指摘しているだけだ。

 西広島と都心部結節としての意味合いでは、この路線の価値はそこまでは高くはない。視点を変えて上記画像4の平和大通り西.東線、駅前大橋線と見た場合広電市内軌道線の課題をほぼ解決可能である。その最初の取っ掛かりとして江波接続線を見れば、その整備価値が高まる。こうのような視点でこの問題を捉えるべきである。

201307hiroden-1.jpg
画像6 鯉党のひろしま街づくり日記より 導入予定沿線の様


続く。


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シリーズ記事 広島の都市交通を考える 改良提言編鉄軌道編 
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今日は、計画・構想されながら諸般の事情で棚上げ、ほぼ凍結されているものを取り上げる。アストラムライン都心線(旧東西・南北線)と広電短絡線(西観音町交差ー江波線小網町)だ。構想・計画された当時の状況などの説明を先に行い、その後いつものように論評したい。

4 構想止まり、棚上げされた路線 その1

① アストラムライン都心(旧東西・南北線)線
・旧東西線
 広島市の都心発展軸(広島駅ー八丁堀ー紙屋町)は相生通り中心の東西方向で形成されてきた。デルタ内準基幹公共交通である広電市内軌道線やバスもこのゴールデンラインが今なお、ドル箱路線となっている。本来であれば都市高速鉄道(地下鉄・モノレール・AGT)導入に際して、東西方向の路線が最優先されるべきところだった。当時の市北西部の深刻な交通渋滞がそれを許さず、後回しにされた。東西方向の路線を導入する場合、広電市内軌道線への影響は避けれず既得権益侵害にもなり、避けてきた。1977年の新交通システム(現行アストラムライン)導入決定後も「何れは導入されるであろう~」という曖昧な位置づけだった。1985年新交通システム計画で都心部起点が紙屋町から本通へと変更された。この意味は実は大きかった。紙屋町駅の設置は見送られ、紙屋町交差点での東西方向の路線との結節が消滅、その先の平和大通りの白神社交差点での結節の可能性が高くなったからだ。相生通りへの導入が事実上なくなった。

 新交通システム整備後の次期建設路線の議論が1991年から始まる。
「公共交通施設長期計画策定委員会」(八十島委員会)を立ち上げ、1992年に2本の新交通システム(南北線延伸、西風新都線新設)と共に東西方向のフル規格地下鉄が計画された。計画では西広島駅ー白神社ー三川町ー田中町ー稲荷町ー広島駅ー旧貨物ヤード跡地(平和大通り、駅前通りルート)、JR山陽本線と広電宮島線相互乗り入れ、1日20万人以上の利用とされた。その後、バブル経済が崩壊、需要の見直しが求められ、1996年に当時の平岡市長は、市議会内に「都市交通問題調査特別委員会」設置。都市高速道路と鉄軌道系交通の調査を始めた。1日20万人利用とされた予測を10~12万人に下方修正、導入選定機種も中量輸送機関に変更された。この議論で南北線、西風新都線同様の新交通システム方式となった。ルートも平和大通り・駅前通り経由から平和大通りから三川町で左折中央・白島通りに入り、上幟町で右折城南通りに入り、更に駅前大橋で左折して広島駅に至るコースに変更。



左画像 東西方向の路線がかっての計画のフル規格地下鉄導入ルート。右画像 1999年策定の新たな公共交通の体系づくりで構想された東西線ルート。議論の過程でルート変更となった。

 議論が佳境を迎えた時期に東西線(西広島駅ー広島駅5.4km)と南北線(本通ー広大跡地1.4km)に中国運輸局より懸念表明された。その内容は、1 都心部への速達性効果が低く、費用対効果に問題あり(約2,300億円)、2 甘い需要見通し、3 他の交通機関との連携不足(民業圧迫)、4 広島市の財政状況 などだった。1999年策定の「新たな公共交通の体系づくり」(広島市HP)では、国の理解を得られないまま見切り発車となった。この計画では、広電の短絡線建設は短・中期的に整備、アストラムラインは中・長期的に整備する内容であった。
2002年にアストラムライン西風新都線(6.2km)、広島電鉄西観音町交差点ー江波線小網町(0.9km)、駅前大橋線(0.6km)の3線が、中国地方交通審議会広島県地域交通計画に組み込まれた。問題の2線は、特に触れられなかった。2003年の広島市の財政非常事態宣言、2004年からの第2次財政健全化計画(2004~07年)で、見直し対象となる。2007年に代替え交通機関整備(急行バス等)に切り替えられ、ほぼ廃案扱いとなる。

 2011年松井市長就任後、西風新都線については積極的な動きを見せたが、この2線についての言及は特になかった。2013年5月から始まる次期「新たな公共交通の体系づくり」基本計画策定の中で、その取扱いが議論された。2015年春のアストラムラインとJR山陽本線との新白島結節が誕生して、広電駅前大橋線が具体化、東西線の意義が薄れていた。建設費約1,700億円(99年試算)でモノレール整備補助制度(国庫補助率55%)活用しても、765億円の自己資金調達が必要。それに対して得られる効果は決して高くない(現行より5分短縮のみ)。年々高齢化が進み、人口減時代の本格到来が予測され義務的経費の増大、投資的経費(公共事業)の選択肢が狭まる中、東西線の完全廃案も予測された。結果的には、路線の西広島駅ー白神社2.7km、南北線本通-白神社間0.5km を残して、計3.2kmを「都心線」として統合した。西風新都線が開通する2030年以降に、事業化の判断をするとしている。

・南北線延伸

 東西線と重複する部分は割愛して説明する。
「公共交通施設長期計画策定委員会」(八十島委員会)が1992年に宇品延伸2ルート(広電宇品線ルート、吉島経由宇品・出島方面ルート)を提案したのがスタートである。その後、1996年に設置された「都市交通問題調査特別委員会」で宇品方面延伸は。費用対効果が低いと判断され、1999年策定の「新たな公共交通の体系づくり」(広島市HP)では広大跡地までの1.4kmに短縮された。それ以降の動きは東西線と全く同じである。
…………………………………………………………………………………………………………………… 
① アストラムライン都心(旧東西・南北線)線について
  
 形としては今後(2030年度~)事業化を検討するべき路線として残った。 ~新たな公共交通の体系づくり基本計画~(P29参照 広島市HP) 建設費900億円と
も言われる都心線だが、この試算は1999年度時点での話。その時ですら事業化前提の試算ではない。この金額で収まる訳がない。デルタを甘く見てはいけない。実際の建設費を考えてみる。モデルケースとしては、広電駅前大橋線の地下案をあてはめる。比較的実態に近い数字が出るはずだ。
 
アストラムライン都心線の建設費は?


・地下・高架線のコスト計算
広電駅前大橋線地下案 697m 地下区間約600m 
建設費250~300億円(2013年ニュース報道より)
300億円だと地下区間の100メートル当たりの建設費50億円と仮定 
高架区間は一般的には1km当たり100億円と
言われているので、100メートル当たり10億円と仮定
※注1 100メートル当たりの建設費 地下区間 50億円、高架区間 10億円とする

・アストラムライン都心線

地下区間 
本通ー白神社0.5km、白神社ー西観音町交差点1.8km 計2.3km
高架区間 西広島駅ー
西観音町交差点 0.9km
※地下・高架区間の線引きは、新たな公共交通の体系づくりを引用

※注1 100メートル当たりの建設費をkm換算して
1km当たりの建設費 地下区間 500億円、高架区間 100億円
2.3×500+0.9×100=1,240億円となる。
モノレール整備補助制度活用(国55%補助)の場合、市負担額は、558億円

建設費 1,240億円(市負担558億
円)となる。はっきりと言うが必要性をまるで感じない。正しく無駄な公共事業であり、この金額を投資するのであれば、広島南道路の一般道、東広島・安芸・西条BPの完全4車線化整備に投資した方が経済波及効果が高い。

アストラム計画図
画像 緑点線がアストラムライン都心線(3.2km)、赤点線が西風新都線である(広島市HPより)

都心線が要らない理由


a 他都市フル規格地下鉄以上のハイコスト

地下鉄建設のデルタ地質の壁は想像以上に高い。他都市例で一目瞭然だ。

東京メトロ副都心線 1km当たり建設費 約210億円(2008年開業)
JR仙石線地下化 
1km当たり建設費 約168億円(2000年開業) 
アストラムライン都心線 
1km当たり建設費 387億円(1.8~2.4倍)

これはフル規格地下鉄サイズ同士の比較ではない。アストラムラインは、AGTシステムでモノレール同様の中量輸送機関である。フル規格地下鉄を採用するほどの需要がないので、この中量輸送規格を採用している。需要もなく、コストは他都市では例を見ないほど高い。採算の議論の余地すらない。

b ハイコストを賄えない需要。所詮は、西風新都線の都心部区間(おまけ
でしかない

 1999年策定の新たな公交通の体系づくりでは、旧東西線の1日平均の利用者を10~12万人としていた。それから5年後の中国運輸局主導で行った路面電車のLRT化を中心とした 公共交通体系の再構築の検討調査では、ほぼ同ルート(上記左画像)の平和大通り西・東線、駅前大橋線の3線で1日平均利用者は約2.6万人であった。この4倍近い需要予測の差は、選定機種の問題ではなく、過大見積もりと現状に沿った見積もりの差でしかない。旧東西線が仮に建設されていても、1日平均4万人程度だっただろう。この路線は広島駅ー都心部間が最大の利用者が見込める区間だ。都心線では、広島駅結節が削除されている。都心線の利用者は、2万人程度と予測する。

 旧東西線と西風新都線の関係は、旧東西線が主で西風新都線が従(おまけ)であった。都心線の場合は、西風新都線が主で都心線が従
(おまけ)で、主と従が入れ替わった形となる。西風新都線利用向上にはつながるが、元々はそう多くの需要がある訳ではない。西広島駅からJR線の乗り換え需要に期待したいところだが、西広島駅の1日の利用客数は、9,205人(2013年)なので無理がある。南北線との環状化による効果も期待される。しかし、都心線建設により本通り止まりの路線が白神社や平和大通り西方面に延伸されても、沿線人口の爆発的な増加でもない限り、微増程度に留まると思う。ハイコストを賄う需要などありやしない。

C 低い費用対効果

費用対効果は都心部への速達性向上が、その目安となる。以下の通りだ。

◎新白島駅結節 JR新白島駅⇔本通駅 約4分(10分短縮) 約65億円(ウキペディア

〇広電駅前大橋線 JR広島駅⇔紙屋町東 約10分(4分短縮) 約155億円

✕アストラムライン JR広島駅⇔本通駅 約9分(5分短縮) 約1,062億円

※アストラムラインは、広島駅ー白神社、本通ー白神社間を旧東西・南北線建設費より算出

となる。アストラムラインの場合は、乗り継ぎが発生するのでこのような数字となる。それを差し引いてもやはり低過ぎると言わざる負えない。広島駅を結節しないと都心線の意義が殆どない。結節したらしたで、低過ぎる費用対効果となる。「そんなもん、要らん」に行き着く。旧東西線のルート選定が酷過ぎる。平和大通り・駅前通りを経て広島駅に達するコースが最良だ。無理に八丁堀を経由させる意味も不明だ。三川町、上幟町、駅前大橋南詰の3か所で直角カーブとなり速達性低下、走行距離増加を招いている。まとめるとこうなる。

設置駅削減(コスト削減・速達性向上効果
)→利用者を拾いきれない
八丁堀経由コースに(利用者増を図る)→走行距離増加(建設コスト増大、速達性低下

互いに反比例することを絶妙な形で実現している(笑)。あれもこれも中途半端に追いかけると、こうなるのだろう。まあ、「シンプルイズベスト」だと思う。中国運輸局が懸念するのもよく分かる。

d 広島市はこれから人口減少局面に入る
 
 仮に広島市の人口が2040年に140万人、2060年には160万人に増加、市債残高が現在の半分以下。更には高齢化率が下がり10%台前半だったとする。こうした状況下であれば、アストラムライン整備促進に大賛成する。AGTシステムは、LRT等の通常車輪鉄軌道システムに比べ欠点が多いが、一度導入したシステムだ。ある程度のネットワークにしないと意味がない。しかし、文頭の前提には200%ならない。

広島市の人口予測
2015年 118.8万人(高齢化率24.7%)、2040年 109.3万人(高齢化率34.8%)
2060年 93.3万人(高齢化率37.8%) 
「世界に誇れるまち『広島』人口ビジョン」(P8参照)~
 
高齢化進行に伴う義務的経費の伸び 広島市報号外題5号「財政事情」より
1990年 一般会計予算4,377億円、義務的経費1,540億円(35.2%)
2000年 一般会計予算5,625億円、義務的経費2,206億円(39.2%)
2016年 一般会計予算5,989億円、義務的経費3,042億円(50.8%)

 市税収入が減り、扶助費(福祉予算)の高騰で義務的経費の伸びが止まらない。投資的経費(公共事業)の選択肢がほぼなくなる、と言った状況になる。財政規律を乱しまくり、無理して建設しても維持出来ない事が容易に予測出来る。200%の確率で維持管理が出来ないもの、しかも費用対効果が低い。こんなものを造る意味がないと言いたいだけである。構想としても残すのも意味がないと思う。アストラムライン整備は西風新都線整備で完全に終了。広電市内軌道線の真のLRT化やバスの走行条件改善(専用レーン・
PTPS設置増加)に傾注すべきだ。デルタ内は広電市内軌道線とバスの2本立てをより明確化する意味で、都心線は構想路線としても削除すべきだろう。そろそろアスラムライン都心部路線整備の呪縛から解放される時だ。広島ほど地下開発に不向きな都市はない。




続く。




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