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今日の話題 5月25日中国新聞8面より引用
広島西飛行場跡 産業団地造成に着手 
大和ハウス9.8㌶ 先端企業誘致


【記事概要】
 大和ハウス工業(大阪市)は24日、広島県営広島西飛行場跡地(広島市西区)で産業団地の造成を始めた。約9.8㌶で工場や研究所、物流施設を誘致する。人工知能(AI)やロボットの活用を進出先に提案して導入してもらい、先進的な産業拠点にしたい考え。2022年春の完成を目指す。


画像1 5月25日中国新聞29面より

【記事詳細】
 名称は『広島イノベーション・テクノ・ポート』。跡地中央部の『新たな産業(雇用)ゾーン』(17・4㌶)の事業として昨年4月、県と市に選ばれた。着工したのは北側エリアで、0・3〜1・6㌶の9区画を設ける。20年3月に造成を終え、進出先に合わせて建物を整備する。事業費は約200億円。同社グループにはAIやロボット、IoT(モノのインターネット)などのノウハウがある。団地の造成や販売だけでなく、倉庫内の自動搬送ロボットなど効率化につながるサービスを提供したい考えだ。

 団地は山陽自動車道五日市、廿日市両インターチェンジから約10㌔で立地の良さもPRする。岡田恵吾常務執行役員広島支社長は『広島市中心部からも近く、働き手も集めやすい。最低でも900人の雇用を生み出せる』と話した。残りの南側は、販売状況を見ながら造成の日程を詰める。

【考察その1】
『広島イノベーション・テクノ・ポート』の概要



画像2 広島西飛行場跡地の立地図(画像 広島県HPより)


画像3 『広島イノベーション・テクノ・ポート』の完成イメージ図(画像 広島県HPより)

 まずは、
『広島イノベーション・テクノ・ポート』の概要について下記にまとめてみる。『広島西飛行場跡地活用に係る事業予定者募集』で提案されたものだが、その後若干の微修正があったようだが、大枠では変化がないのでそのまま引用する。

広島イノベーション・テクノ・ポートの概要
⓵事業コンセプト
 広島の産業活性化とイノベーションを促進する、新たな活力創出型複合産業拠点の創出
②導入機能
 研究所、事務所、工場、物流施設などの産業機能を導入し、産業開発を行うことで、広
 島の産業基盤を強化する拠点の形成を目指す。また産業機能を導入することで、多様な
 人材の雇用の場を創出する
『新たな産業(雇用)ゾーン』(17・4㌶)の施設概要
                           施  設  規  模
  ゾーン     建物・用途       敷地面積      区画数  延床面積 
  
今回事業化                             約1,500
  北側     研究所・事務所など  約1万5千平方㍍     1  ~1万平方㍍
         
工場・事務所など   約5千~約2万平方㍍   3  約1万平方㍍
  9.5㌶   物流施設など     約2万5千平方㍍     1  約4万平方㍍
‥‥‥‥‥
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  南側 7.8㌶ 未着手

④施設等のテナント計画
 ●イノベーション型産業施設
  県、市のイノベーション施策に沿った研究所や産業拠点の誘致を目指す。新産業の創出など、
  広島に社会的、経済的インパクトと成果を与える拠点形成を支援する
 ●重工混在地からの移転してくる産業施設
  広島市内外の住工混在地にある工場などの移転受け皿として整備。広島デルタ市街地エリア
  における、集約都市構造の実現に寄与するものとする
 ●生活基盤となる物流施設
  広島市域・周辺地域のデリバリー拠点として、県内外の企業の物流施設を誘致する。流通加
  工機能も含め、企業の生産・物流基盤を強化する
⑤地域への貢献
 雇用創出-約1,800人(南北エリア完成時) 財政への貢献-年約1.5億円
(南北エリア
 完成時) 地域との共生 災害時の対応等 
⑥事業工程表
 2018年12月 広島県と広島市との基本協定書締結
 19年03月 土地売買契約締結
 19年05月 土地決済、所有権移転
 19年05月24日 造成工事着工、販売開始
 20年03月 造成工事完了(予定)
 20年04月 建物着工開始(予定)
 22年春 分譲完了(予定)

 産業団地『広島イノベーション・テクノ・ポート』を開発します(大和ハウスグループHP)



画像4 『新たな産業ゾーン(雇用)』(17.4㌶)北・南側施設配置計画図(画像 広島県HPより)

 今回は広島西飛行場跡地を4区分(下記画像5参照)のうち、
『新たな産業ゾーン(雇用)』(17.4㌶)の北側エリアの話だ。広島県と市が広島商工会議所の昨年12月の提言の大規模MICE施設検討地としているのは、最南端の『新たな産業(にぎわい)ゾーン』(3.6㌶)と『スポーツ・レクレーションゾーン』(7.0㌶) の計10.6㌶である。『新たな産業(にぎわい)ゾーン』(3.6㌶)は、幸か不幸かよく分からないが、昨年審査の結果『該当者なし』となり宙に浮いた状態になっていた。土地所有者は県と市であるために、旧貨物ヤード跡地(現マツダスタジアム等)の時のように、土地取得の金利負担などもないことからそう急ぐこともないとの判断で、慌てて再審査するよりもMICE施設の実現の有無の検討を優先させたものと思われる。『スポーツ・レクレーションゾーン』(7.0㌶)は、多目的スポーツ広場(ソフトボールや少年野球が同時に4面利用可能。それらが利用しない場合はサッカー場2面利用可能)や、野球場整備などが整備される予定だった。今回の『新たな産業ゾーン(雇用)』(17.4㌶)の北側エリアの話に戻すが、非常に魅力的とは決して思わないが、市や県の政策に沿った姿勢がにじみ出ており好感を持った。新しい研究所や産業拠点の誘致も指向しているが、既存立地企業の移転受け皿となり尚且つ市の集約都市建設にも寄与する姿勢も悪くないと思った。奇をてらった斬新なものも結構だが、現実問題難しく公益性も鑑みながら事業から収益を生み出すには、夢に乏しいものにならざる負えない。どういった企業がラインラップされるのか?少し楽しみである。次の考察では休止となった『新たな産業(にぎわい)ゾーン』(3.6㌶)と『スポーツ・レクレーションゾーン』(7.0㌶)について考えたい。


画像5 広島西飛行場跡地利用計画の主たる導入機能とゾーニング(画像 広島県HPより)

【考察その2】
『新たな産業(にぎわい)ゾーン』と『スポーツ・レクレーションゾーン』の再検討を急ぐべき


画像6 
広島商工会議所の大規模MICE建設候補地一覧(画像 広島市HPより)

 広島市のまちづくりで全体的に言えるのが『機会損失』の概念が決定的に不足している。本来の意味合いは、金融業界に限れば『マーケット(市場)の変動による儲け損ない』を意味する。具体的には、儲けられる可能性が高い時に取引(売買)を躊躇したり、あるいは塩漬けにしたポジションを損切れずにずっと持ち続けたことにより、新たなポジションを作れずに収益機会を逃したりする場合などが挙げらる。まちづくりで当てはまると、スケジュール通り整備すれば得られたであろう経済波及効果などを取り逃すことを指す。具体的な事例で言うと旧市民球場跡地利用の屋根付きイベント広場整備などが好事例ならぬ、悪事例だ。跡地利用計画の仕切り直しやスタジアム問題が複雑に絡み、意図せぬ延期を迫られた事情を差し引いてものんびり構えるにもほどがある。機を見るのに長けていないというか、他都市よりも劣っているのが残念だ。広島市の中枢性云々の議論で言えば、立地上のハンディが最大の理由と思うがこうした内的な要因も決して小さくないと思ったりする。都市経営の概念の欠如が、広島市の伝統芸になっている感がある。これは広島西飛行場跡地利用にも同様のことが言える。昨年12月、広島商工会議所が展示面積10万平方㍍(10.0㌶)のMICE施設を中心とした提言を行った。広島におけるMICEのあり方提言~(広島市HP) 主な内容はリンクページや下記画像7の通りで、広島の都市問題に少し詳しい人が見れば、100人いて100人、『夢は寝て見るものですよ?』と返したくなる内容だ。日本最大の展示面積である東京ビックサイトが9万5,420平方㍍。96年完成時の建設費は1,985憶円(増設分、土地取得費用含まず)だった。この時点で、提言自体が検討価値がない荒唐無稽案であることは明らかだ。


画像7 
広島商工会議所 グローバルMICE検討特別委員会が昨年12月のMICEに係る提言(画像 広島市HPより)

 現在の広島市内の最大の展示面積の施設は、広島県広島産業会館(広島市南区 展示面積 9か所 5,500平方㍍)である。かって出島地区で予定されたメッセコンベンションシティ構想(イメージ図)の展示施設面積は3.0万平方㍍、着工直前の財政難で中止となった展示施設面積は1.5万平方㍍。サッカー専用スタジアム問題のみなと公園案では複合施設として9,200平方㍍だった。供給超過多の表現すら生温く感じる規模の提言だ。知事、市長の反応はグローバルMICE検討特別委員会の中に県と市の職員も参画していたので、概ね好評だったが、社交辞令の意味を込めたものだと思っていた。特に市長は選挙も控えていたので特にそう思った。ところが市と県は本気だった。県は『MICE施設検討事業(大規模展示場実現可能性検討)に係る業務』の公募型プロポーザルを公告した。~MICE施設検討事業(大規模展示場実現可能性検討)に係る業務委託仕様書 (広島県HP)~ この業務は、展示面積10㌶を超える大規模展示場の実現可能性を判断するもので、適正規模のMICE施設の検討をするものではない。このため、『新たな産業(にぎわい)ゾーン』(3.6㌶)と『スポーツ・レクレーションゾーン』(7.0㌶)は少なくとも20年1月末までは、棚上げされることになる。棚上げ期間は長くはないが、短期で解決し難い政治情勢や景気、時代の転換期などの社会情勢で翻弄されるのは仕方がないとしても、自らこんな検討の価値もないもののために時間を悪戯にロスするのはやはり問題がある。

 誤解されたくないので言っておくが、ブログ主は市主体の展示施設は必要だと考える。規模は1万平方㍍規模。建設地は都心部地区の中央公園広場でスタジアムとの複合施設、もしくは平和記念公園近隣の
広島市文化交流会館・アステールプラザ一帯地区が相応しい。日本が先進国の中でもメッセ小国であることや広島市の現在と将来の需要を鑑みても、この規模が適正でこの規模であれば郊外ではなく、MICE関連施設が立地する都心部地区が相乗効果が見込める。展示施設単体では稼働率の低さが問題視されるだろうから、他の公共施設との複合化でこの問題は十分クリア可能だ。話を戻すが、18年3月に行われた『新たな産業(にぎわい)ゾーン』(3.6㌶)の事業予定者選定で、該当者なしとなったのは理由としてハードルが高かったのではないかと考える。方向性は厳守しながらももう少し、ハードルを下げてさえいれば、応募してきた事業者(1社)も必要とされた点数-120点/200点を-をクリアできたかも知れない。安易な妥協は禁物だが、一定条件下で民間に開発を任せるのだ。歩み寄りは必要だろう。『新たな産業(にぎわい)ゾーン』については、陸揚げスロープを活用した水陸両用飛行機の運航拠点を整備し、広島湾エリアでの遊覧飛行を中心とした観光拠点や水陸両用飛行機の特性を活かしたチ ャーター・定期路線の形成が謡われ、新たな広域回遊性を生み出す可能性があり10万平方㍍規模の展示施設建設よりは、市の現状に促したものだ。『スポーツ・レクレーションゾーン』も民間事業者ではなく行政(広島市)主導の整備になるが、野球場や多目的スポーツ広場の整備で計算できるにぎわい性が創出され、夢と言うか絵空事にしか思えない広島商工会議所のMICE施設提言案よりは、身の丈に合ったものだ。文頭で触れた機会損失の観点だと、広島西飛行場廃港が12年。今年で丸7年が経過した。特に大きな理由もないのに、遊休地として遊ばしておく愚は避けたいところだ。旧市民球場跡地で結果的にやらかした失敗は二度と繰り返してはいけない。そうは言っても提言のMICE施設の検討は走り始めており、今更止められない。検討結果が出た後、速やかに取り掛かってほしいと思う次第だ。

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