封入体筋炎患者闘病記

 封入体筋炎患者のヒロです。病歴は2019年で満11年、12年目に入りました。在宅勤務の仕事とリハビリの日々を送り、細やかながらも家族3人で暮らしています。ブログ記事は闘病記と広島地元ネタ、社会保障などの時事ネタ中心です。希少疾患の封入体筋炎の周知が目的です。関心があれば、ツイッターなどでご紹介していただければ幸いです。疾患関係で直コメントが苦手の方は、ツイッターのダイレクトメールを利用してください。封入体筋炎の闘病史は各進行段階の症状や生活障害、必要な社会保障制度等をまとめています。良ければ参考にしてください。最新の封入体筋炎の状況は『近況について色々と』、取り組んでいるリハビリについては『2019年春~夏 筋疾患(封入体筋炎)リハビリ』にて素人の体感目線で書いています。モバイル版で読みにくい場合は、PC版に転換してからお読みください。

Category:広島の都市問題 > 道州制

シリーズ記事 広島の都市問題 道州制について

考察その9】
州制よりも県と市町村の中間組織が組織が必要なのでは? その3
連携中枢都市圏構想について


画像1 14年度よりスタートした総務省肝煎りの連携中枢都市圏構想、11モデル都市圏に選定された広島広域都市圏。『200万人広島都市圏構想』として連携市町と各種の取り組みを展開している(画像 広島市HPより)


画像2 広島広域都市圏を形成する11市、13町の概略(画像 広島市HPより)

 前回記事でフランスの『大都市共同体』『都市圏共同体』と類似する制度はないと書いたが、似て非なるものであればある。それは総務省の『連携中枢都市圏構想』(総務省HP)である。日本の道州制導入議論が国主導の権限と財源を然程移譲しない形で進み、地方が猛反発して事実上とん挫したことは既に触れた。現行都道府県制度の元、地方分権と広域連携を進める方が現実的との流れから誕生したのがこの構想だ。取りあえずざっくりと説明する。

1 連携中枢都市圏結成の大まかな流れ

① 連携中枢都市の要件
 政令指定都市 人口20万人以上の中核都市 昼夜間人口比率が概ね100以上 3大都市圏以外に所在すること


② 連携中枢都市宣言  連携中枢都市宣言書~(広島市HP)
 地方圏において相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市が、近隣の市町村との連携に基づいて、圏域全体の将来像を描き、圏域全体の経済をけん引し圏域の住民全体の暮らしを支えるという役割を担う意思を有すること等を記載した書面(『連携中枢都市宣言書』)を作成し、公表する

➂ 連携中枢都市圏形成に係る連携協約締結 
 ~広島市と廿日市市との連携中枢都市圏形成に係る連携協約書~(広島市HP)
 宣言した単一中枢都市と、その近隣の単一自治体が、圏域全体の方向性、連携分野、
 役割
担に関する事項等について、それぞれの議会の議決に基づき締結・変更され
 る
連携
制度は、地方自治法の改正により創設された地方自治体は新たな
 広域連携の取組を
推進るため、他の地方公共団体と連携して事務処理の基本的な
 方針・役割分担を定める
連携協を締結できる

連携中枢都市圏ビジョン ~広島広域都市圏発展ビジョン~(広島市HP)
 宣言をしたの単一の中枢都市と、その近隣の単一の自治体が協議の結果、策定され
 るもの。この時の協議の場を連携中枢都市圏ビジョン懇談会という。『ビジョン』
 を策定すると連携中枢都市圏を形成することができる。連携中枢都市圏の名称・将
 来像・具体的取組・期間・成果指標などが定められている。

⑤実施連携中枢都市圏数
 宣言連携中枢都市-32市(連携中枢都市宣言を行った市の数) 
 連携中枢都市圏-28圏域(連携中枢都市圏ビジョンを策定した圏域の数)
 圏域を構成する自治体数-253自治体(連携中枢都市圏に取組む自治体数)

⑥その他
 ~連携中枢都市圏構想の推進に向けた関係各省による支援策~(総務省HP)


画像3 広島広域都市圏連携協約締結式での各自治体首長の集合写真(画像 広島市HPより)
 
 取り組み自体は決して悪くないと思う。1から10まで地域の中心都市がしゃしゃり出て何もかも自分一人でやる必要など全くない。都市圏域の自治体で得意とするところがあれば、協定を締結したその分野に関してはお任せすれば、その分のコストも削減出来るし無駄が省ける。個々の役割分担は絶対に必要だ。ブログ主が察するに、この制度のモデルは恐らくフランスの
『大都市共同体』『都市圏共同体』やドイツの『市町村連合』だろう。十分テイストは感じるし、一定の効果はあると思われる。思われるが、この制度はフランスとドイツのそれとは似て非なる制度だ。どこを指してそういうのか?それは関係省庁の支援策(上記リンク参照)は、手厚い各交付金があるが肝心の財源の移譲が皆無だ。そう容易く渡すはずもないが、フランスでは固有財源-単一職業税、3税付加税と事業収入があるのとは対照的だ。これまでこのような取り組みが皆無だったことを思えば、端緒としては評価できるが、この制度を契機にさらに発展して、指摘した財源や権限の委譲まで進むかと問われると、その可能性はほぼゼロだろう。今後、新たな交付金の創設ぐらいはあるだろうが、本丸部分にまでは切り込めないだろう。連携中枢都市圏はそれ以上でもそれ以下でもなく完結する。昨年末に記事で取り上げた『中枢中核都市構想』も地方分権の意味合いでは、この構想と同列にあり地方分権を木の幹に例えると同様の枝の一つだと考える。日本の道州制論議の1丁目1番地は、東京一極集中の是正と地方分権なので目的さえ達成できれば、手段は基本的には何でも構わない。

【考察その10】
州制よりも県と市町村の中間組織が組織が必要なのでは? その3
『日本版自治体連合』の創設
 

画像4 世界遺産の原爆ドームから平和記念公園を望んだ風景(画像 ひろたびより)

2 『日本版自治体連合』の骨子

 
 結成自治体連合範囲-区域中枢都市の1.5%都市圏を最大範囲とする
 処理事務等-義務的権限(経済、社会、文化分野に関する開発及び整備、 地域整
       備、住宅政策、都市政策、共同サービス(上下水道、 葬儀、消防、
       救助)、環境政策 
 
 財源-税収 国の各交付金 事業収入 
 固有財源-消費税の付加税分(0.5~1.0%)、市・町民税の非課税制度撤廃分
      の一部

 イメージとしては疑似地域及び都市圏政府に近いものを想定する。道州制度のような大風呂敷を広げた大規模なものではないが、県内の各広域都市圏が大小の何通りかのグループ分けがされれば、圏域ごとの活力は現在よりは確実に増すだろう。権限と財源の移譲に過度にアレルギー反応を示す中央省庁もこの程度であれば、時代の流れと割り切れるのではなかろうか?ブログ主が道州制反対の理由として、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震などの自然災害リスク回避のための分権などであれば問題はないが、過度に進めると、日本のスーパーエースである東京圏の活力を奪いかねないことが根底にある。アメリカやドイツのような連邦制を標榜してのそれではない。東京圏がこの改革で埋没すると、それに比例して日本の没落する可能性が高い。それとこれは別儀だろう。欧米の行政制度の模写に反発を覚える方も多いだろうが、制度自体は日本のそれより先を走っており非常に参考になるものが山のようになる。後は形骸化しない範囲でアレンジし直すというか、実情に適ったものに手直しすればいいだろう。首都直下型地震や南海トラフ巨大地震がそう遠くない将来、起きることが確実視されている。国土強靭化による減災の視点も重要だが、一時的に(複数の都市で)バックアップ可能な体制が急務だと考える。広島市目線だと、近代都市としての過去の経緯で都市インフラ整備が、他の地方中枢都市よりも遅れた。取り返そうにも、既に縮小社会(超高齢化+大幅人口減)に片足を突っ込み、財政の硬直化が進む中では限界がある。今更莫大な負担をして都市インフラ整備に邁進する時代でもない。現在あるものを建て替えるときに時代に促した形で複合化するのが主流となる。新規なものは特に必要性がなければ建設しない。近隣自治体に施設があれば、一部委託などして任せるなど特性に応じた分業制にすれば問題はないだろう。事業の選択と集中、取捨選択の加速がより重要になるだろう。この制度だと市域をまたいだ都市問題の解決が容易になる。行政コストの削減につながり、得意とする分野に傾注すれば縮小社会でも都市として持続的な成長が図れるはずだ。


画像5 かっての旧西ドイツの首都ボンの都心部地区の賑わい(画像 歩行者空間による中心市街地の構成より)
 
道州制論議は90年来、時代による濃淡はあれど続けられてきた。都道府県の統廃合という行政効率の改善先行の国の思惑が先行、真の分権に程遠い内容に地方が反発する図式で立ち止まっている。記事を書くに当たり、00年代に交わされた議論などの分権をいくつか確認したが道州制さえ導入すれば、地方分権と東京一極集中の解消が進むかの如く幻想が一部にある。問題は中身である。形態は極論すれば、何でも構わない。所詮は表紙に過ぎないからだ。日本の地方都市は、過度なモーターリゼーションの進行による拡散都市化と郊外大型商業施設などの乱立で都心部地区を中心に活力が失われている。分権化が首都の都市力を落とさない範囲で進むドイツやフランスの地方都市とは、コントラストの様相を呈している。かの国の人口10~50万人以下の日本でいうところの地方中小都市は、移動の自動車分担率は同規模の日本の都市よりも20%以上も低く、公共交通がよく整備され都心部地区の活況ぶりは比較にならない。『都心部地区の活力低下=都市の衰退』に必ずしも直結はしないが、都市の顔である都心部地区の閑散ぶりは都市イメージを著しく損なう。制度の相違があることは十分承知しているが、雲泥の差である。日本においても世界都市東京の競争力を極端に落とさない範囲での、地方分権は不可欠だ。ある程度の、求心力を持たないと縮小社会(超高齢化+大幅人口減)地方都市から若年者が逃げ、東京一極集中が加速する。現在は一定規模の都市内での集約化を政策的に進めようとしているが、国土レベルでの東京圏への集約化が逆らえない潮流になる。それを回避するには、各地域に東京圏への流出をある程度堰き止めるダム的な強い地方都市が必要だ。


終わり

手数ですが、ワンクリックお願いします

難病(特定疾患) - 病気ブログ村  
広島(市)情報ブログランキング参加用リンク一覧
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

シリーズ記事 広島の都市問題 道州制について

【考察その6】
日本型道州制区割り案
1道・6都市州・8広域州 連邦制を前提としない地方分権型


画像1 今や最強の地方都市へと変貌した九州の首都福岡市の天神地区の様子(画像 福岡市提供)

 前回記事では、主にドイツの道州制度を論じてみた。今日の記事では、ブログ主なりの日本で道州制を導入した場合の区割り案をまずは考えたい。これまで日本国内で論議されたありふれたものでは、少し物足りないので、面白半分に別のスパイスを加え違う趣向の料理に仕立て上げたいと思う。


ブログ主が考える日本の道州制度  
①区割り1道・6都市州・10広域州(1道 16州)

 6都市州
          州都        州範囲      人口規模      
 仙台都市州   仙台市     仙台市1.5%都市圏 225.7万人
 首都特別州   東京23区   現在の東京都     1,385.7万人
 名古屋都市州  名古屋市    現在の愛知県     754.3万人  
 大阪都市州   大阪市     現在の大阪府     882.7万人
 広島都市州   広島市     広島市1.5%都市圏 209.7万人
 福岡都市州   福岡市     福岡市1.5%都市圏 553.8万人

 1道及び10広域州
            州都             州範囲 
 北海道        札幌          区割りは現在のまま
 東北州        福島 仙台都市州を除く青森 岩手 秋田 宮城 
                          山形 福島
北関東・信越州     新潟        茨木 栃木 群馬 長野 新潟
 南関東州       横浜        神奈川 埼玉 千葉
 中部州        静岡       静岡 岐阜 三重 富山 石川
 関西州        京都       兵庫 京都 和歌山 滋賀 福井 
 中国州        岡山 広島都市州を除く広島 岡山 山口 島根 鳥取
 四国州        高松       愛媛 香川 徳島 高知
 九州         熊本 福岡都市州を除く福岡 佐賀 長崎 熊本 
                       大分 宮崎 沖縄
② 国政への参画
 政府との各同州知事と連絡協議会、同知事会などを設置して要望などを伝達
➂三権の国との役割分担
 立法権-道州には独自の立法権は持たせない
 司法権-道州には独自の司法権は持たせない
 行政権-国の出先機関と県の権限を全て移譲 道州は、圏域の主要な社会資本形成、
     広域
な環境の保全管理、地域経済政策等に軸足を移す
④市町村と国との関係
 基礎自治体(市町村)は直接国に要望などを伝達せず、道州政府を通じて実現する。
⑤税制
 消費税の2%(約4.4兆円)、揮発油税(ガソリン税)を今後のEV化移行を踏
 まえ、自
動車走行税に衣替え(約2.4兆円)、相続税(約2.3兆円)などの国
 税を道州に移譲
 従来の県民税、事業税、不動産取得税、自動車税の都道府県税は道州に移管。県民
 税は、非課
税制度を撤廃する
 新税として、道州税として道州民の所得に1.5~3.0%課税する
⑤その他
 各州間格差の是正のため『州間調整制度』を導入する。これを現在の地方交付税の
 代替えとし、
国から道州が一括して受け取り、州内の市町村に適切に配分する。地
 方交付税制度は廃止
まずは6都市州だが、ドイツの都市州を模範とした。ドイツのそれは、自治の歴史的経緯に配慮したものだが、ブログ主提案のものは都市州を海外から外需を取り込む戦略的な都市として位置づけその意味で都市州とした。仙台、広島、福岡の3都市州は地域バランスの上での設定だが、各地方で最も都市力があり、意図的に国際都市への脱却を図ることで競争力を現在よりも高め、都市観光やMICEなどに力を発揮させ、圏域を牽引させる都市に成長させる。3大都市圏の都市州は説明の必要はないだろう。ここに札幌と京都が外れる事に違和感を覚えるだろうが、札幌を都市州として独立させると北海道自体が語弊はあるが、もぬけの殻になる。京都については、関西大都市圏では首都圏のそれとは異なり、独立した都市圏を形成しているが、これも独立させると関西州の州都が神戸になりさすがに西に偏り過ぎている。1つのブロックに複数の都市州は必要なしと思い見送った。それ以外の広域州の州都は、独立した都市州の州都に次ぐ都市や立地に配慮して選んだ。この案だと17道州となるが、現在の47都道府県の約1/3程度の規模になる。各行政コストの削減には寄与する筈だ。国と同州の役割分担だが、アメリカやドイツのように州を国の如く、取り扱う連邦制は憲法改正が必要となり、導入性導入の理由が地方分権の確立と、小さな政府実現であることを慮(おもんばか)り、司法権と立法権は従来通り国が受け持つものとした。

 行政権については、広域州では県域をまたがる都市課題の解決を都市圏と経済圏単位で解決が可能となり、二重行政の無駄が省ける。都市インフラ整備も一律に、各自治体に整備するのではなく分担させれば集約化が進む。州単位という大局的な見地からの判断が可能となる。道州の独自財源だが、従来の県税だけでは当然不足するので、現消費税の2%分
(約4.4兆円)相続税(約2.3兆円)。そしてガソリン税を自動車が今後EV車へ移行することを見越し、走行距離に沿って徴収する自動車走行税に衣替えして2.4兆円規模を確保する。この3税を道州の基礎財源に加える。これにプラスして、道州税として道州民の所得に対し一律で低課税させて新たな財源とする。財源移譲の規模は約9.1兆円と17年度実績58.8兆円の15.5%だが、権限の委譲が行政権のみになるので妥当ではなかろうか?現在国から、各自治体に交付される地方交付税は、州間経済格差を調整する州間調整金に改め、国から道州へ一括交付される形にし、道州から各自治体に再交付される。区割りにある州案だと格差が生じるのは目に見えている。この案だと『都道府県の合併+大都市の独立』だけとなり、真の地方分権のはほど遠いとの批判が起きるのは不可避だが、期待が大きい反動を差し引いても実際にはこんなものだろう。自ら考え動く習慣が皆無である日本の自治体に『さあ、時代は変わりました。権限と財源を要求通り差し上げます。ご自由にどうぞ?』と丸投げしても、投げ込まれた自治体は、右往左往して困り果てるに違いない。所詮、指示待ち族なのだから。これはお役所だけではなく日本人特有のメンタルでもある。現在の日本の状況を鑑みると、国が各政策のマニュアルを策定し、大まかな指針を示した上で、地方にも自由裁量の大きな余地を与えるのが現実的だと考える。全て任せると『バカの考え休むに似たり』になる。ただ、ブログ主の感覚だとこの道州制、近々の課題なのかの疑問が払拭出来ないのも事実だ。


画像2 発展著しい名古屋駅前の様子(画像 名古屋市HPより)

考察その7】
州制よりも県と市町村の中間組織が組織が必要なのでは? その1
ランスの都市共同体制度


動画1 今やLRTの聖地と化したフランスの都市-ストラスブール。同時にLRT導入、都心部地区を歩行者中心の都市空間に再配分したコンパクトシティ建設は21世紀の都市計画の潮流となり、国内外から多くの視察団が訪れる(動画 ユーチューブ動画より)


 日本の道州制論議の立脚点は地方分権の推進で、この目的が達せられるのであれば、権限と財源を一手に握っている中央省庁の激しい抵抗が予測される道州制などよりももっと手軽な手段で実現する術はないのかとの考えに至る。日本の都市問題で市域を超えて起きているものが実に多い。ゴミ最終処分場、端的な例が都市交通問題なのだが、都市圏中心都市だけの施策ではどうしても限界がある。そこでそのような問題を解決する手段として、フランスの制度を紹介する。フランスの行政区域は13の州(レジオン)、101の県(デパルトマン)、日本の11倍の36,569の基礎自治体(市町村 コミューン)の3層構造となっている。国人口約6,718万人で日本の半分強なので、統廃合したほうが行政コストが安価となるのでは?と思うが、前回記事で述べたように、フランスでは安易な合併は法律で禁止され、住民もアイデンティティ喪失になるとして絶対に賛成しない。自尊独立の精神は結構な話だが、問題も内包している。それは、基礎自治体(市町村 コミューン)の約6割は500人未満、9割は2,000人未満で行財政基盤がぜい弱なことだ。そうした問題を解決するために半世紀以上も前から、基礎自治体同士の協力体制が導入されている。平たく言えば、州都、県と基礎自治体との中間的な広域行政組織がそれになる。その概要を下記にまとめる。

基礎自治体(
市町村 コミューン)間の広域行政組織の概要
①コミューン事務組合 16,133組合
 処理事務等-下水道、上水道、地域開発、ごみの収集・処理など
 財源-構成団体からの負担金 事業収入 固有財源-なし

②コミューン共同体(農村・準都市地域を対象) 2,393共同体
 処理事務等-義務的権限(地域整備、経済開発) 選択的権限(環境保護・開発、住
       宅・生活環境政策、道路建 設・維持管理、文化・スポーツ・教育施設
       の建設・維持管理)
 財源-税収 国の交付金 事業収入 固有財源-単一職業税 3税付加税
       
➂都市圏共同体(CA)(都市地域を対象) 171共同体
 処理事務等-義務的権限(経済開発、地域整備、住宅政策、都市政策) 選択的権限
      (道路、
水道、上水道、環境政策、文化及びス ポーツ施設)
 財源-税収 国の交付金 事業収入 固有財源-単一職業税 3税付加税

④大都市共同体(CU)(大都市地域を対象) 16共同体
 処理事務等-義務的権限(経済、社会、文化分野に関する開発及び整備、 地域整
       備、住宅政
策、都市政策、共同サービス(上下水道、 葬儀、消防、
       救助)、環境政策 
 財源-税収 国の交付金 事業収入 固有財源-単一職業税 3税付加税

 ブログ主がよく都市交通系記事などで、引き合いに出すのは➂と④の事だ。大体④を指すのだが、大都市共同体(CU)の要件は、概ね都市圏人口50万人程度が結成目安とされる。フランスに限らず、欧州の大都市の定義は人口10万人以上とされ、日本の政令指定都市昇格要件の70~80万人とは大きく異なる。処理事務内容を見ると、都市行政の多岐に渡ることが分かる。組織運営財源として、単一職業税と3税付加税がある。付加税とは、国税として課税されている税に上増し課税をしてその分を取り分とすることだ。他にも国からの交付税もある。都市共同体全体のマスタープランの策定作業も行い、都市圏の自治体が別々の方向を向き、バラバラに都市インフラ投資していたのでは無駄も多いし、一体的な力は生み出せない。この広域行政機関の中で、各自治体の利害調整なども図られる。


動画2 85年フランス国内新型トラム(LRT)復活第1号都市して開業したナント。ナントは周辺自治体とナント・メトロポール都市共同体-人口55.4万人 24自治体 00年結成-を結成している

考察その8】
州制よりも県と市町村の中間組織が組織が必要なのでは? その2
日本の政令指定都市制度


画像3 地方自治法第12章『大都市等に関する特例 (指定都市の権能)』第252条の19

 日本には同様の制度が実はない。かなり無理に重ね合わすと、政令指定都市が僅かに被るかも知れない。広域行政組織の意味合いでは全く別の制度だが、政令指定都市の人口要件を満たすため、周辺市町と広域合併を果たし、旧市域の2倍以上の面積になる例もざらだ。衛星都市でも人口密度が高い首都圏や関西圏の都市は別として、地方都市だと、21世紀の政令指定都市の静岡市や浜松市、岡山市や新潟市などが政令指定20市の面積上位TOP10内に入っている。都市圏の自治体を市域に取り込むことで、(旧市域より)広範囲な都市インフラ投資が可能となり疑似広域行政が一部実現するとも言える。下記画像3は政令指定都市の拡大する権限の一覧だが、教育、扶助関連(市の社会保障)に関するものが多いが、都市開発だと都市計画、土地区画整理、都市景観に関連するものがあるのが特徴だ。県の財源なども一部が移譲され市財政規模が飛躍的に大きくなる。昭和の政令指定都市が市債残高が多いのはこのためだ。日本の政令指定都市のメリットは権限拡大に伴い財政規模が大きくなり、容易に大型事業が自治体の意思で可能になることや周辺自治体との広域合併で都市圏一体的な都市インフラ投資が出来ることになどが挙げられる。ある時期までは、民需を誘導して都市成長の礎を築けたことに尽きる。高度・安定成長期においては、この選択は間違っていなかった。


画像4 拡大画像 政令指定都市、中核市、特例市の制度比較(画像 総務省HPより)

 デメリットとしては、義務的経費である扶助費の高騰や、教職員の人件費、(広域合併で)管理する市域の行政コストの拡大、今後その膨大な都市インフラの更新が待ったなしになることだ。政令指定都市昇格の果実を先に食べてしまい、今後そのツケと言うか決して安くない対価を支払う羽目となる。広島市の広域合併の歴史は、71年の旧安佐郡沼田町と安佐町(共に現安佐南区)から始まり、05年湯来町合併まで14町、1村と広範囲なものだった。80年に念願の政令指定都市に昇格した。合併以前の市域面積は、118.2㌔平方㍍だったものが、最終的には905.4㌔平方㍍と7.66倍まで拡大した。70年までの市域面積が極端に狭かったこともあるが、当時のネーミングセンスになぞると『大広島構想』とも言うべきものだが、札幌に次ぐ市域面積(当時)-現在は政令指定20市の中では第4位の規模にまで拡大した。その癖、可住面積比率は約31%と人が住めない山間部が約7割もある。福岡市の67%、北九州市の60%、岡山市55%に比べ極端に低くなっている。可住面積が少ないことは、都市開発用地の少なさに繋がり高次都市機能の市域外流出を誘引、河川や山間部が多く都市インフラのコストの高水準、平野部の希少性から都市レベル以上の地価なども併せて誘引する。広島市の都市インフラ整備の遅れの理由の一つになっている。ただ、少ない開発用地が幸いしてこれが天然の要害となり、拡散都市化(都市のスプロール化)の一定の歯止めにもなっている。次回は、道州制の問題点とそれに代わるものの提案をしたいと思う。

その4へ続く

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

シリーズ記事 広島の都市問題 道州制について 

【考察その3】
諸外国の道州制の実例 
ドイツの州制度その1


画像1 ドイツの都市州の1つ『自由ハンザ都市ブレーメン』の州都ブレーメンの美しい街並み(画像 ブレーメン公式HPより)

 ドイツ連邦共和国は、16 の州 (ランド) から構成される連邦国家であり、各州は、単に法人格を持つ地方公共団体ではなく、それぞれが主権を持ち、独自の州憲法、州議会、州政府および州裁判所を有する国家 (シュタート)である。州こそがドイツ地方行政の要である。今日のランドは、ヴァイマル共和国時代から第二次世界大戦終結前(1920~45年)の間、Bundesstaat(連邦) と呼ばれていたためか正式名称とは別に Bundesland (連邦州)と呼ばれることもある。ドイツは州(Land)に分かれているが、元来、旧領邦がそれぞれ独立した存在であった(日本の藩よりも独立性が強い)。国の連合体がドイツ国家とな った。第2次大戦後の東西ドイツ分離から統合した時には、西ドイツが東ドイツを吸収する こととした。このことは、戦後、西ドイツで起草されたドイツ連邦共和国基本法は東西ドイ ツ統合後も継続しており、これが、ドイツ基本法となっていることからも言える州(ランド)と連邦(ブント)のそれぞれの役割分担は以下の通りとなる。
 

1 連邦と州の枠組み
 主権を連邦と州とで分け合って持っている。州(ラント)があって、連邦(ブント)
 がある。 国家が二つあるとも言える。地方自治体は、州の下部機構となる。従っ
 て、連邦政府と地方自治体とは関係ないこととなる。地方の市町村から見ると、連
 邦(ブント)は超国家的存在となる
。 国家が二つあるとも言える。連邦政府は各国
 の代表が集まったものではなく、固有の組織である。連邦政府が力を持っているこ
 との背景には、東西冷戦で国家が一つにまとまっていることが必要であったことも
 ある。
州は都市州も含め16州ある。都市州の設置理由は、首都であることとハン
 
同盟以来の自治の歴史の産物の側面がある ~立地図

 
広域13州
  バーデン=ヴュルテンベルク州(州都シュトゥットガルト) バイエルン自由州
 (州都
ミュンヘン) ブランデンブルク州(州都ポツダム) ヘッセン州(州都
  ィースバーデン)
メクレンブルク=フォアポンメルン州(州都シュヴェリーン)
  ニーダーザクセン州(州都ハノーバー) 
ノルトライン=ヴェストファーレン州
 (州都デュッセルドルフ) ラインラント=プファルツ州(州都マインツ) ザー
  ルラント州(州都ザールブリュッケン) 
 ザクセン自由州(州都ドレスデン) 
   ザクセン=アンハルト州(州都マクデブルク) 
シュレースヴィヒ=ホルシュタ
  イン州(州都キール) 
テューリンゲン自由州(州都エアフルト)
  
  都市3州 
  ベルリン(州都ベルリン)自由ハンザ都市ブレーメン(州都ブレーメン) 自由
  ハンザ都市ハンブルグ(州都ハンブルグ)

 郡(313)は、州の下の県に似た存在で、農村地帯に多い。郡格市(116)は比
 較的大きい市で市と県を併せ持ったような存在。市町村は極めて小さいものが基本で
 あり、郡は市町村の連合体。本当に権限があるのは、市町村。郡は、『州の公共的な
 役割』と『市町村の連合体の役割』の2つの性格を持つ
大きい市で市と県を併せ持っ
 たような存在。市町村は極めて小さいものが基本であり、郡
は市町村の連合体。本当
 に権限があるのは、市町村。郡は、『州の公共的な役割』と『市
町村の連合体の役割
 』の2つの性格を持つ。
この他に、フランスの県(デパルトマン)に似た行政管区と
 いう組織もある。これは、フランスの占領された地域に見られる

画像2 ドイツ連邦共和国の地方行政ピラミッド(画像 ウィキペディアより)


画像3 連邦、州、郡などの相関図(画像 ウィキペディアより) 

2 連邦議会
  連邦議会と連邦参議院の二院制となっている。この他に大統領を選ぶための組織
  である連邦集会がある。同集会には連邦議会議員全員と同数の州議会議員が集ま
  る。・連邦参議院(議員数 69 人)は、チェック機能が中心となる。連邦参議
  院は余計なことに 口出しをしない(プロイセンからの流れ)。連邦参議院に持
  ち込まれる案件について、修正意見を述べる権限はなく、否決か可決かを述べ
  るしか権限がない。連邦参議院の同意が必要なことは40%くらい。その他は
  連邦参議院の同意を得る必要はない。連邦参議院議員は、州政府のメンバーで
  構成されている
3 立法権
  原則として、法律は州で制定するが、ドイツ基本法で列挙されている事項につ
  いては、連邦政府が決めることができる。実質上立法権は連邦政府の方が州等
  に比べて強い。ドイツの立法権は連邦政府が多く持つが、実行権は州が持ち、
  州が主体的に行う、すなわち、立法権限と執行権限とが異なることが特徴であ
  る。連邦政府が立法した法律についても、具体的な執行方法について、州毎に
  政令が定められる。 ・州法は、憲法に当たる基本、及び連邦法と矛盾すること
  は禁じられている。立法権には、連邦政府が排他的に行う『専属的立法権』、
  連邦政府と州等の地方組織との並立的立法権が認められる『競合的立法権』。
  及び財政に係る諸原則等を定める『原則的立法権』がある。専属的立法権は、
  外交、防衛、航空交通等、連邦政府が排他的に立法権限を有するもので、連邦
  政府しか決めることができない事項が含まれる


【考察その4】
諸外国の道州制の実例 
ドイツの州制度その2


画像4 
自然と伝統の保存、経済開発がバランスよく取れているドレスデンの様子。そこには無粋な高架鉄道・道路や無駄に高いビルなどは存在しない(画像 DVB公式HPより)


4 行政権
  連邦は、外交、国防、国民保護、貨幣、経済的統一性に関する事項等に関する行政
  権を有する。 ・州の行政権は、『連邦政府委任行政事務』『州固有行政業務(連
  邦法の施行)』『州固有行政 事務(州法の執行等)』がある。委任業務は連邦政
  府に監督権がある。但し、連邦政府は指 示を出すことはできない。もし、州が違
  反した場合は連邦参議院の同意を得て矯正すること ができる。・連邦政府と州と
  の共同事務は地域経済構造改善等が含まれる。この共同事務は、連邦政府 と州と
  の折半共同業務となる

  -地方自治体
  ①郡(313)
   郡が行う事務は市町村ではできないもの、郡がやったほうが効率的だと思われる
   ことして、地方の固有行政については、連邦政府の監督権はない。 州がどうし
   ても連邦政府の指示に従わない場合には、連邦参議院に対して、連邦政府が異議
   申し立てを行う
  ②市町村(12,227)
   市町村は基礎自治体。最下位という意味ではなく、正に基礎であるという意味。
   事務としては、スポーツ振興、ごみ処理、電気ガス水道等の『自治事務』、社会
   扶助、住宅手当、消防等の州からの指示による『義務的事務』。及び、戸籍、旅
   券等の委任事務から成る。 市町村の首長と議会の選出方法と関係は、多様であ
   る。市長と議会が別々の選挙で選ばれ るが、市長が議長になる場合は議長兼任
   市長の下での議会・市長二元性となる。また、議長、 市町並立の下での議会・
   市長二元性もある。更には、議会の議長を公選する『不真正参事会制』、市長
   制のところもある。 ・郡議員、市議会議員兼務も可能。州議員は、国の議員と
   同じであり、それなりの報酬を受ける。市町村議会議員の報酬は極めて小さい
  ➂広域行政
   この他に、市町村小連合、広域連合、目的組合がある。広域連合は郡よりも大
   
いレベル で連合を組むもの。目的組合は日本でいう一部事務組合である

-財政
   州間格差が出てきたので州間調整制度を導入した。州間競争は基本的には州がベ
   ースとして行う。旧東ドイツ諸州に対する特別需要連邦補充交付金19年の交付
   をもって廃止される。旧東ドイツはまだ遅れており、その対応をどうするかは懸
   案である。共同税の配分は憲法で決まっている。決まっていないものは、州と連
   邦政府とで話し合う。連邦~州~市町村間の配分が決まっている。 連邦、州

   憲
法で決まっている。州と市町村間の配分は州法で決める。配分は連邦参議院が
   否した場合は、連邦議会に戻す。 郡と市町村は課税権はなく、市町村は営業
   税
を持つ。財政調達制度がある

  -国土整備
   連邦政府は大まかなガイドラインと法律のみを策定し、広域州は空間計画法に基
   づく州の空間計画、都市州は空間計画+Fプラン(土地利用計画)。市町村はF
   プラン+Bプラン(地区詳細計画)の策定と役割分担がなされている。国全体の
   社会資本整備に関して、主要インフラは連邦レベルで連邦交通路計画が策定さ
   れるが、これは空間計画とも調整される


【考察その5】
ドイツの道州制が日本のモデルとなる理由
酷似している歴史的背景


動画1 ベルリン旅行ガイド | エクスペディア(ユーチューブ動画より)

 日本の道州制論議でドイツの制度がよく引き合いに出される理由に、歴史的な共通性が挙げられる。ドイツは元来、領邦国家の力が強く、領邦国家の連合体てドイツという国家が成立していた。そのために力が分散して、イギリスやフランスよりも統一国家成立が遅れた。1871年、その領邦国家の一つ、プロイセン主導の元最初の統一国家『ドイツ帝国』が誕生した。68年に日本の明治維新を成し遂げ、ほぼ同時期に近代国家として歩み始めた。日本の過去の歴史を振り返ると、古代においては大きな集落が分散して独自の文化を創っていた。奈良~平安時代には、古代律令制度の元、中央集権国家が成立したが現在の画一的なものではないことが、容易に想像できる。鎌倉~室町~戦国~江戸時代では、中央政権(幕府)の将軍と執権を中心とした専制君主制の統治のイメージが強いが、実態は将軍(君主)の実質的な統治権は自らの直接支配地(天領、御料
所)に限られていた。守護・地頭、大名などの分国では、一定の法的な拘束こそされど今でいうところの軍事、警察権、裁判権、租税(年貢)徴収権、その他行政権などは一切関知しないのが基本だった。この点は、濃淡の差はあれど共通している。武士の時代は封建制だった。最も安定した政権だった江戸時代では、全国250藩の大小の君主が存在し、分国内で幕府の意向に沿う形ではあるが、独自の法を以て統治し貨幣すらも藩札なども発行して分国経営に当たっていた。各分国内で多様性に富んだものだった。明治以降の中央集権化の教育で、『国とは日本全体を差す』という単一イメージが強制的に醸成され、現在に至っている。しかし歴史を振り返ると、地域ごとの独自文化を育み、多様性社会であった時代のほうが圧倒的に長い。その歴史を鑑み、多様性を尊重する道州制導入を素地が十分にある。そしてドイツの制度参考の理由は、先に述べた似た歴史的な経緯と国民性などが挙げられる。

上のMarienplatz、写真:muenchen.de
画像5 
ミュンヘンのノイハウザー通りの沿線上にある最大の広場-マリエン広場と新市庁舎の様子

 ブログ主が若かりし日の頃、当時所属していた某金融機関の海外出張でドイツのフランクフルトに赴く機会があった。回数を重ねるごとにドイツ人スタッフと懇意となり、人となりが分かってきた
日本人とドイツ人、人種の違いはあれど共通点が多いとよく言われる。同時に相違点も多くあった。その中の一つに国よりも地域への帰属意識が強いことがあった。日本でも、住む地域への帰属意識は決して弱くはないが、日本人であることを言外に否定して『私は日本人ではなく、広島人だ』と心底から言う人は殆どいない。ドイツ第3の都市ミュンヘン出身者がいたのだが、彼らは自らをドイツ人とは呼ばず『バイエルン人』と呼ぶ。彼らが指す国とは、現在の州でありその上に君臨するドイツという国家は超然としたものでしかなく、意識としては薄い。もう少し説明すると、ミュンヘンは統一国家になる以前はバイエルン公国・選帝候領・王国時代(中世~1918年)の首都であり、敵国だった旧プロイセン王国の首都のベルリンに対しては未だに複雑な意識を持っている。旧神聖ローマ帝国を構成していたドイツの35の領邦と4の帝国自由都市との連合体が現在のドイツ連邦を構成しているが、統一国家誕生時の地域のアイデンティティをそののまま、数代重ねた今日でも持ち合わせている。ドイツだけではないが、欧州の自治体が日本のように行政効率のみで安易で合併しないのは、アイデンティティという心の拠りどころを失うからだ。日本のように安易で合併して、旧地名を着古した衣服の如く捨てたりはしない。都市をまたいだ広域的な問題-例えば、都市交通問題-などへは、権限と財源を持たせた広域都市圏政府的な組織をつくり、対処する。フランスの都市共同体やドイツの市町村連合がこれになる。日本の都市だと政令指定都市や中核都市昇格要件を満たすために周辺自治体と広域合併をして、旧市域の2倍近い市域面積になるのが常だが、ドイツの場合は先に説明したアイデンティティの喪失と同時に、戦争に負け降伏したかのような屈服感を持つので絶対にしない。


画像6 ブレーメンの04年に登録された世界遺産のマルクト広場の市庁舎とローラント像(画像 ブレーメン公式HPより)

 その一例として、都市州の一つ『
自由ハンザ都市ブレーメン(州都ブレーメン)』を見てみる。州人口はドイツ16州最下位の約66万人。鳥取県とさほど変わらない。この州は人口は最小レベルだが一人当たりのGDPはハンブルグ州に次いで高い。 ~ドイツ各州の1人当りのGDP一覧~ たたこのブレーメンは大変な財政難なのである。69年の『大財政改革』により、営業税(事業税のこと)、法人税、売上税の3税が、他の州や連邦政府に流れるようになり、大打撃を受けた。州間財政調整交付金の拠出州から、69年以降は最貧困州に転落した。80年代には、基幹産業である造船・鉄鋼業の不振による税収減に陥った。基幹産業の不振はブレーメンだけではなく他都市も同様だが、他都市がメッセ(国際見本市)都市として再生を図ったのに対し、時の市政長期政権を担った社民党は公営住宅建設等の内向きな公共投資を行い、民間の分譲住宅建設を政策的に抑制した。結果、中産階級層が市外に流出。逆に周辺市町村より、貧困階級の人間が流入。市民税の税収減を誘引した。ブレーメン規模の都市で、地下式鉄・軌道公共交通-フル規格地下鉄・地下式LRT-がないのはこのためだ。90年代連邦政府を提訴する事態にまで陥った。日本では地方自治体が国を相手取って、提訴することなど殆どないが、州の独自性を示す一例とも言える。04年のブレーメンの借金残高は、1兆3,512億円で55.7万人の規模の割には膨大な額である。財政収支不足比率は04年時点で、30.9%にまでになっている。参考にまでにいうと財政状況が良くないと言われる広島市(人口約120万人)が約1兆1,200億円なので、これを上回っている。広島市の場合、一般会計の市債残高でその他諸々のものも含めると正味、いくらになるのかは定かではないが。

 となると、財政基盤が危うい状態での州制度維持は困難で州の合併問題が浮上するのは、当然の流れとなる。04年の数値を持ち出したが、2度の財政健全化計画が終わってのこの数値で自己努力の範疇ではないのは明白だ。合併構想とは2パターンあり、1つ目は
ニーダーザクセン州(州都ハノーバー)との合併、2つ目はハンブルク、ブレ ーメン、ニーダーザクセン、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン及びメクレンブルク=フォアポンメルンの各州との広域合併案が浮上した。この現実案に対し、当時のブレーメンのシェルフ市長の反論は痛快そのものだった。以下がその反論だ。


ブレーメン シェルフ市長の反論

『ヨーロッパを見わたせば、分かるではないか。誰も、ルクセンブルグやモナコを消滅させようと言わない。誰も、財政力が地理的大きさと比例するなどという考えにはならない。誰も、ラトビア、リトアニア及びエストニアに対して統一ヨーロッパの中での現 在の自由を捨てて合併しろなどと要求しない。ノスタルジアでもなければ、特別な地方的愛国心でもない。ブレーメンが州を消滅させて独立を失うことはなんらの解決策 にはならないのである。歴史的に成長してきた、そして、憲法で守られている州を、税収について当面適用されているにすぎない財政調整の配分係数にあわせることはナンセンスだ。話は 、逆だ。税収の配分係数を改革し、憲法により保障された都市州を含むすべての州がその任務を全うし、その市民に同等の行政サービス、チャンス、そして未来への展望を与え得るようにすべきなのである』

 要は、州民1人当りのGDPが2位のブレーメン州が現在の財政難に陥っているのは、我々の責任ではなく、連邦政府の税制の問題が最大の要因でそのことで州を消滅させるのは話の筋がおかしい、と主張している。市長の先走った発言でもなく当地の世論の大半以上を代弁しており支持されている。同時にドイツのアイデンティティがこの発言に凝縮されている。ドイツの道州制度はこうした土壌の元に成立しているのだ。

その3へ続く

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

カテゴリー記事 広島の都市問題 郊外・その他

【考察序章】

考察の前に抑えておきたいポイント


画像1 中国地方の中心都市-広島の原爆ドームと平和記念公園の様子。中国州の州都候補でもある(画像 広島市HPより)

 実は記事文頭から大変恐縮だが、現時点では道州制論議はされていない。
自民党道州制推進本部は18年10月を以て廃止され、現安倍政権もそれほど熱心ではない。道州制論議の端緒は、明治期だがその時代の社会情勢により濃淡の差はあれど、90年以上議論され続けてきた古くて新しい問題だ。戦前の時代は別として、統制経済を目的とした戦前の議論以外で、国政レベルで本格議論され始めたのは21世紀になってからだ。近々の議論は以下の通り。

道州制の主な答申と提言(時系列順)

06年2月 第28次地方制度調査会『道州制のあり方に関する答申』(総務省HP)
08年3月 道州制ビジョン懇談会『道州制ビジョン懇談会中間報告』(内閣府HP)
   7月 自民党道州制推進本部『道州制に関する第3次中間報告』(自民党HP)
12年7月 道州制推進知事・指定都市市長連合
      地域主権型道州制の基本的な制度設計と実現に向けた工程(本文)
   9月 自民党道州制推進本部『道州制基本法案(骨子案)』(自民党HP)
   13年4月 全国知事会 道州制の基本法案について

 12年12月の自民党政権復帰後、安倍政権になってから議論は立ち止まりほとんど進んでいない。進まない背景として、平成の大合併の如く市町村の安易な合併のように都道府県の合併感覚で中央主導で議論が進み、州などの区分け先行で議論の大元でである権限と当然付随する財源などの移譲の議論が置き去りになったこと。その流れの中で、地方が猛反発したこと、将来の国民生活を大きく左右する問題で国家百年の体計ありながら、国民の関心が恐ろしく低かったことなどが理由としてあった。ここで確認しておくが、州制度がある連邦制を採用しているアメリカやドイツとは似て非なる制度である。連邦制の場合は、州(地方)が行政権だけでなく、法律をつくる立法権や、法律に基づいて裁く司法権を、州(地方)と中央政府(国)が分割して有することが、憲法で明記されている。日本がこの制度に改編する場合、憲法改正が伴う。道州制には明確な定義はなく、一般的に国が持つ権限や財源を可能な限り道州(地方)に移譲することで、地方分権という目標を達成するための手段であり、全国を道や州という、広域的な自治体に再編する制度になる。道州制の議論の本質は、区割りや州都をどこに置くのかなどは二の次として、国、道・州、市町村の3者の役割分担、国が持つ権限と財源の移譲がどうなるのか?これが第一義となる。内容はともかくとして、21世紀に入り国政レベルで議論が始まった背景には、平成の大合併で自治体規模が大きくなり政令市指定都市などの要件が緩和され増えたりするなど、都道府県の存在が次第に希薄になりつつあることもあった。ただ、『拙速な議論で事を進めるよりは地に足をつけた地方分権改革、広域連携を深めるなどのほうが現実的だ』が現在の潮流だ。


画像2(左) 拡大図 答申にあった区割り3案
画像3(右) 拡大図 道州制のイメージ図(画像 宮城県HPより)

【考察その1】
道州制のメリットとデメリット
実はブログ主は道州制は反対


画像4 拡大図 日本と東京都、及び東京23区の60年までの人口推移(画像 東京都HPより)

 こんな記事を書いておきながらブログ主は基本的には道州制は反対だ。理由は日本全体目線とブログ主が住む広島市目線の2つからだ。画像4は日本、そして東京都、東京23区などの60年までの人口推移の予想だ。東京都は25年の1,398万人、同23区内は30年の979万人をピークに人口減局面に入る。17年の東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の転入超過数(人口の社会増)は11.9万人である。この流入超過水準を以てしても、人口の自然減をそれを上回り全体で減少するのである。何が言いたいのかというと、微々たるものなので大勢には影響はないだろうが、人口減は単純な意味合いで地域の衰退をもたらす。道州制、他の施策もそうだが国策で意図的に東京の活力を削ぐのはどうかと思うのだ。東京は、これからも日本を背負う絶対エースとして、他の世界都市との厳しい競争を闘い外需を取り込み海外の富を誘引して、納税という形でその役割を果たすべきだ。その上がりを以て、家族(他の地方都市)を養ってもらいたいと思うだ。この表現に反発を覚える方も多いと思うが、事実は事実だ。これを道州制にすると、東京が稼いだ富の果実は国には今ほど入らなくなり地方がその恩恵に浴することが減った上、道州制により東京自体の活力も削がれる。広島市目線だと、仮に区分けにあるような『中国州』もしくは『中・四国州』の州都に広島市がなったと仮定する。生産性の高い地域-この場合の生産性とは、税収の稼ぎ頭で労働者人口が多くコスト(社会保障費など)が然程かからないことを意味する-は広島経済圏と岡山・倉敷を中心の東瀬戸経済圏だけとなる。稼ぎ頭が納めた税のみで、足手まといになりそうな生産性の低い過疎地域の面倒を見る羽目となる。現行制度のほうが広島市的には、旨味がある。唯一の利点は州都の誇りだけだ。実益が少ない誇りなど何の意味もない。広島市云々ではなく道州制の一般的なメリットとデメリットをまとめてみる。

道州制のメリット

 ①国から各道州へ様々な権限、的確な財源等を移管すれば、地域活性化、地方経済
  再生、現行よ
適切な競争原理による日本全体の経済の興隆の実現
 ②東京一極集中の抑制、過密化の抑制、過疎化の抑制、また二重行政の解消や国や県
  の出先機関
廃止・縮小が可能
 ③地方と中央の公務員の大幅な削減、地方議員の削減など、行政のスリム化
 ④自然災害、戦争、テロなどで首都機能が停止した場合、道州が首都のバックアップ
  となれば、リスクマネジメントが可能
 ⑤広範囲な交通網の整備が、大局的な見地での実施できる。このため無駄な都市イン
  フラ整備な
がなされなくなる
 都府県単位より大きな資本の選択と集中が可能。地域の実情に応じた政策・事業が
  実行可能
 ⑦自然環境や治山治水に関する事業は、県よりも広い広域自治体を設置した方が処理
  しやすくなる

道州制のデメリット

 ①国債の発行に代わって地方債を発行するため、信用力の低下に拍車がかかる
 ②都府県の廃止(合併)によって州を設置すると、州都とその周辺の声ばかりが重視
  され、合併
で行政権を失った地域の声が軽視される。州内一極集中が進む
 ➂財政の弱い自治体同士が合併しても、財政が強くなるわけではなく、強いところは
  もっと強く
なり、弱いところはさらに弱くなるという道・州間の格差拡大
 ④連邦制のアメリカ合衆国やドイツ連邦共和国と日本の『国民千人当たりの公務員数
  』を比較す
ると日本が最も少なく、道州制によって我が国の公務員が削減されると
  は限らない
 ⑤巨大地震など日本全体で対応しなければならないような大規模災害への対応能力の
  低下

【考察その2】
道州制論議の歴史 その1

道州制は議論の濃淡関係なく、90年間議論され続けてきた。民間レベル(経済団体などの提言など)や地方自治体の要望中心の色合いが濃く、国政レベルで真剣に検討されたのは2度だけだ。その歴史を簡単にまとめてみる。


【戦前の議論】1886~1945年

 1927年 台湾総督府樺太庁朝鮮総督府南洋庁と順に設置されたことで、府
       県の狭小さ
が経済統制の障害と考えられ、内地を統轄する内務省下に、
       郡制廃止とともに複数
の府県を包括する広域行政体の設置が議論され、
       全国を6州に分けて、官選の長を
置く(州庁設置案』を内閣に提案し
       た。しかし、『州庁設置案』は、行政制度審議
会で取り扱われたが成
       案とならず、審議会は277月の田中義一内閣の総辞職と
ともに廃
       止された

    田中義一内閣の行政制度審議会提案の6州案
    仙台州青森 岩手 宮城 福島 秋田 山形
    東京州茨城 栃木 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川 山梨 長野 新潟
    名古屋州静岡 愛知 岐阜 三重 富山 石川 福井
    大阪州滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 徳島 香川 高知 
    広島州鳥取 島根 岡山 広島 山口 愛媛
    福岡州福岡 佐賀 長崎 大分 宮崎 熊本 鹿児島 沖縄
    東京州茨城 栃木 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川 山梨 長野 新潟
    名古屋州静岡 愛知 岐阜 三重 富山 石川 福井
    大阪州滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 徳島 香川 高知 
    広島州鳥取 島根 岡山 広島 山口 愛媛
    福岡州福岡 佐賀 長崎 大分 宮崎 熊本 鹿児島 沖縄
  
   36年 廣田内閣で、東北6県の知事から『(国と県の)中間機関設置の要望
       書』が潮内務大臣へ提出された。約10年にわたるこの間の地方長官
      (都道府県知事)による中間行政機関検討案は、政界や内務省と折り合
       えず、地方県行政とその影響下にある周辺地域の衰退をどうするか
       政の分存対立や行政事務の錯綜を招きかねないとも評さ


   
38年 第1次近衛内閣時代に政界に影響を強めた国策研究会が、『道庁及び
       州庁設置案』に関して次なる論評を主に示している。
    1 大蔵、商工、鉄道、逓信、農林を地方官庁に併合することに困難があり
      、行政権限の移譲が望めない
    2 経済圏により区別すべしと云うが、京浜・阪神などの大都市を含む地域
      その他の地域について、経済差異をどう均衡させるのか
 
    3 これを公共団体とした場合に、これまで地方繁栄の基礎をなしてきた府

      行政とその影響下にある周辺地域の衰退をどうするか
行政の分存対立や行
      政事務の錯綜を招きかねないとも評さ


 
【戦後の議論】45~2018年

   48年 太平洋戦争後の占領下で行政改革が進められ、46年に行政運営と行政
       機関の根本的改革を目的として行政調査部が内閣に設置された。地方行
       政機関の規模等を含めた調査が行政調査部で行われ、48年に3案の行
       政組織が提案。しかしこの案は日の目を見なかった

    ①道制案-都道府県を廃止して、日本の地方行政機関として『道』を設置する
    ②州制案-都道府県を廃止して、日本の地方行政機関として『州』を設置する
    ➂地方行政庁案-都道府県を存続させ、広域行政機関として『地方行政庁』を
     設置

   57年 第4次地方制度調査会の答申において、『地方制』の構想が示される。
       内容は、市町村を基礎的自治体とし、現行都道府県を廃止して、国と市
       町村の間に 全国を 7ないし 9 ブロックに区分した「地方」という中
       間団体をおき、『地方』には公選制 の議会と『地方』の議会の同意を
       得て内閣総理大臣が任命する『地方長』を置くというものだった

   65年 第10次地方制度調査会の答申にて都道府県合併特例法案を提案
      
89~93年
 第2次行革審で、『国と地方の関係に関する答申』がまとめられ、
       定の
人口規模以上の市へ都道府県の事務権限を委譲する地域中核市制
       度
あるいは、都道府県連合(道州制の検討)や市町村連合の制度が
       提案された
 
   
06年 第28次地方制度調査会は、『道州制のあり方に関する答申』を行い、
       都道府県の廃止と新設となる道州による道州制導入を打ち出した。道州
       には9・11・13道州の3例である。特に北海道 04年に道州制を
       先行実施する提言をし、それに特区制度をもって政府は応え、道州制特
       区推進法
を公布
   08年 自民党の道州制推進本部(本部長:谷垣禎一)、道州制区割り案を提示
  
これより以降は、【考察前章】を参考の事 

その2へ続く


お手数です
が、ワンクリックお願いします


難病(特定疾患) - 病気ブログ村 
広島(市)情報ブログランキング参加用リンク一覧
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote

↑このページのトップヘ