父親のリョウは90才近くなりますが、今でも「現役ドライバー」です。そして毎朝車を運転して掛かりつけのリハビリクリニックへ行くのを日課としています。リョウが高齢で車を運転する理由は、不便な所に住んでいるからです。家の周りは畑ばっかりで店もなく、バスもありません。つまり車は必需品というわけです。

 しかし昨今ニュースで高齢者の自動車事故が報じられています。「そう言えばリョウも90才。運転は危険だよな」と考えるようになりました。それとなく母親のヨネに話すと「実は周囲の人から運転を止めるように言われているのよ」との事でした。「やっぱり…」と思いながら、「それなら車を廃車にしてしまおうよ」と提案すると、ヨネは大賛成。私がリョウに話す事になりました。ところが…。

 リョウは思いの他、車を手放す事に抵抗するのです。私は「危険だから、もう手放そうよ」と話すのですが、リョウは「大丈夫。大丈夫」と言い張ります。それでも「周囲の人も皆、運転は危ないから…」と説明しても、「大丈夫、大丈夫」と言う事を聞きません。私も遂に堪忍袋の緒が切れて、「そんなに自分勝手な事ばかり言うなよ!あんたが事故を起こしたら皆が迷惑するんだぞ。とにかくキーは預かっておくから…」と怒鳴ってしまいました。ところが私がトイレに入った隙に、リョウは何と車のキーを隠してしまったのです…!

 あとからヨネに聞くと「あれはオレの車だ。所有権(どこでそんな言葉を覚えたんだ…)はオレにある。廃車にするんならオレがやる」と言ったそうです。結局、リョウは2日後に車を中古車屋にあげてしまいました。売ったのではなく無償で「あげた」のです。

それにしても普段はヨボヨボ歩くくせに、何かあると忍者みたいに速いんですね。


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