2017年04月14日

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私のいる九州の片田舎では、つい先日、ようやく桜の満開日が訪れたとニュースで報じられていた。関東では、それよりも早く満開日を迎えていたようである。各地で咲き誇る桜が、人々の目を楽しませる季節が来た。

その真っ只中の16日。

横浜アリーナで、「RIZIN 2017 in YOKOHAMA -SAKURA-」は行われる。

多くの事が始まる春。多くの事が動き出す春。

「RIZIN」の、2017年最初の大会。

PRIDEに出場していた選手。UFCで活躍した選手。キック界で名を馳せた選手。錚々たる名前が並ぶ中に、その名前はある。

第三代ZSTフライ級王者・伊藤盛一郎の名前が。



伊藤選手の参戦が正式に発表されたのは、3月14日。大会までギリギリ一ヶ月ぐらいのタイミングであった。

「最終的には、横浜アリーナで試合したいんで」

坂巻選手との統一戦に臨む「ZST.50」のインタビューで、伊藤選手はそう語っていた。これは、インタビューの中で“今後の目標”を尋ねられての答えである。もっともっと上に行きたい。自分が有名になればZSTも盛り上がる。今、ZSTは新宿FACEとディファ有明でやっているが、いずれは後楽園ホールや代々木第二体育館の様な、もっと大きい会場でやれたらいい。そういう事を伊藤選手は語った。そして、最後に出てきたのが、伊藤選手の地元でもある神奈川県の「横浜アリーナ」だったのである。

ここの地に伊藤選手が辿り着くまでには、色々とあった。

八田亮選手に勝利しベルトを巻いた。矢島雄一郎選手と激闘を繰り広げた。坂巻魁斗選手との対戦を前にケガをして、無念の涙を呑んだ。復帰後の統一戦で勝利し、「RIZIN」出場という夢を口にした。内藤頌貴選手との死闘に勝利し、出場を決定的なものとしたが、またもやケガにより、夢はその手をすり抜けていった。

そうやって辿り着いた場所。それが「RIZIN」の舞台なのである。勿論、これがゴールではない。今、ようやく夢のスタートラインに立ったのである。

そして、伊藤選手が立つライン。その隣のコースに立つ男。

その名は才賀紀左衛門。

「K-1甲子園」で活躍し、その後に総合格闘技に挑戦。総合デビュー戦となったパンクラスの舞台で、あのライダーに勝利した選手である。

「RIZIN」での戦績は1勝2敗。そこまで大騒ぎするほどの戦績ではない。

だが、個人的には、やはりこの才賀選手は怖い。

まずは、その打撃だ。やはり「K-1MAX」にも出場していたその打撃スキルは、「RIZIN」に出場しているフライ級の選手の中では屈指であろう。そして当たり前だが、試合はスタンドの状態で始まる。仮に伊藤選手がグラウンドで戦いたくても、一度は必ず才賀選手の制空圏を潜らなくてはならない。その時の才賀選手の打撃が怖い。

その膂力も怖い。例えばライダーと私は同体格なのであるが、その単純な腕力には絶望的な差がある。私の様な一般人からすれば、それはまさしく“改造人間”の領域だ。そのライダーが、漬け切れなかったのが才賀選手なのだ。おそらくパワーもかなりある。伊藤選手がグラウンドに持ち込んだところで、それだけで勝利確定とはいくまい。

そして、その心が怖い。山本アーセン戦では、試合中に肩を脱臼しながらも、最後まで戦い続けた。それも、単に逃げて生き延びたわけではない。判定1-2のギリギリのところまで食い下がったのだ。

「現段階で総合格闘技での自分の実力があまりわかってないので、チャンピオンとやらせてもらえればわかりやすい。元谷(友貴)くんや和田(竜光)くん、他にも日本に強い団体のチャンピオンはいっぱいいるので、そういう選手たちと試合をしたいなと思っています」

とは、2月の記者会見で才賀選手が語った言葉である。

上記した様に、才賀選手の「RIZIN」での戦績は、それほど特筆すべきものではない。それで「王者クラスとやらせろ」と言えば、当然ファンからも選手からも反発は出る。昨年末の大会で、ビッグインパクトを残しながらも、謙虚な受け答えに終始した那須川天心選手とは対照的である。

これは、単純に才賀選手が楽観主義な人物であるという可能性も十分あるが、個人的には、全部分かった上で言ってるんじゃないかという気がしている。

才賀選手を「RIZIN」で有名にしたのは、一部には、その妻の「あびる優」夫人の存在も大きい。才賀選手の試合中に大声で叫ぶその姿は、多くのファンからは好意的には見られていないはずである。だが、放送をする側としては、その名前と行動は美味しい。それがある故、才賀選手の試合は放映される。

たぶん、人前で何かをやる事を生業としている人達にとって恐ろしいのは、“好き”でも“嫌い”でもなく“無関心”である事ではないかと思う。“嫌い”でもいいのだ。水戸黄門に出てくる登場人物が、全員善人だったら話が始まらない。悪役、ヒール、嫌われる者がいる方が、たいてい物語は面白くなるものなのだ。

たぶん才賀選手は、自分の“ヒール”としての需要を知っている。“ヒール”だからこそ需要がある。需要があるからこそ発言権がある。ならば、その発言権がある内に王者クラスとの対戦を組んでもらい、そこでアップセットを起こすことによって、選手としての実績を積み上げようとしている様にも見えるのだ。

今回、才賀選手の要望どおり、ZST王者である伊藤選手との対戦は組まれた。世間的には大して知られていないZSTであるが、才賀選手には関係ないだろう。必要なのは、“王者を倒した”という部分だけなのである。だからこそ、たぶん才賀選手は死に物狂いで勝ちに来るんじゃないだろうか。「RIZIN」レベルの舞台で、死に物狂いで勝ちに来ない選手というのもいないとは思うが、とにかく相当な覚悟と決意で向かってくると思う。脱臼しても戦い続ける気持ちの強い選手が、相当の覚悟を持ってリングに上がる。その心が私は怖い。

だが、「RIZIN」という舞台に、“この選手なら安牌”と思えるような選手など、そもそも出場できないであろう(女子の部は試行錯誤している感はあるが)。伊藤選手が立つのは、そういう舞台なのだ。

「ZSTを代表してきているので、自分が勝ってZSTをもっと有名にしたいですね」

とは、伊藤選手が「RIZIN」のインタビューで語った言葉。

そう。伊藤選手にも、王者としての誇り。ZSTという看板を背負っている強さがある。それは決して才賀選手の持つ強さに引けを取るものではないだろう。



「ちょっと自分、夢があるんですけど。もっと上の舞台で戦ってみたくて…みんな見てみたくないですか?もっと自分がでかい舞台で戦うところ」

一年前、口にした夢の舞台。第三代フライ級王者・伊藤盛一郎という選手は、その舞台でどんな戦いを見せるのか。そして、ZSTフライ級王座の歴史の中、その新しいページに、どのような歴史を刻むのか。

全ては16日。「RIZIN」のリングの中に、その答えはある。

今、咲き誇る桜の花も、それは自然に咲くものではない。桜という生命体が、自らの力で咲き開かせているものだ。

花は、自分の力で咲かせるものである。

2017年、春。

桜よ、咲け。

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「RIZIN 2017 in YOKOHAMA -SAKURA-」

第1試合 スペシャルワンマッチ
RIZIN MMAルール(58.0kg契約)
才賀紀左衛門 VS. 伊藤盛一郎





zst_fczst_fc at 00:46│コメント(0)トラックバック(0)試合 │

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