2018年05月08日
5月12日(土)、新宿FACEで「ZST.60」が行われる。
まあ、前々回の通信でも触れた、竿本“キャット”樹生選手と加マーク納選手の、フライ級タイトルマッチが注目されるところではあるが、やはり「ZFC通信」としては、帰ってきた、いや、帰ってきてしまった破壊神、ミスター“ローリングサンダー”島村裕選手の復帰戦に注目したいところ。というか、注目しておかないと、仮に次にきやつと会うようなことがあった場合、何されるか分かんないから、注目せざるをえないという切実なサムシングをコチラも背負っているという事を、読者の皆様方にもご理解いただきたいところ。
さて、いつの間にやらZSTでは、すっかり手から元気玉っぽいモノを出すキャラになってしまったユタカ・シマムラである。
島村選手は、昨年9月に行われた「ZST.57」で、私個人の「早く海の向こうに行ってくれ、ユタカ!」という願いも空しく、ZSTのリングに戻ってきてしまった。現在では王者となっている関鉄矢選手を相手に戦い、文字情報とかで見る限りでは、「人でなしジャーマン」とかの、いつも通りの“人体を効果的に破壊する技術”を繰り出していた(今回のインタビューでも、そこの映像が使われている)ようであったが、なぜか最終的には敗北。
「GAORA通信」を見逃してしまったので、試合の映像が見れていない。今でも、何をどうして負けたのか、私にとっては大いなる謎の一つとなっている。ちなみに、勝利した関選手本人にも話を聞けたのだが、「いや、なんで勝てたんですかね」との事で、全く手掛かりを得られなかった。ポリンキーの三角形の秘密と同様、然るべき機関による今世紀中の解明が待たれるところだ。
というわけで、ユタカ・シマムラ復帰のお時間となってしまった。またこの世界に、過去形で語らねばならぬ被害者が量産されてしまうというのか。行政は、何をしているのだ!
動画:“破壊神”ユタカ・シマムラ氏のインタビュー。
動画を見る時間が無いと仰る方のために、要点となるセリフを抜き出し、個人的な訳を付け加えておくので、参考にしていただきたい。
「(関選手に敗れて)また目指す目標が明確になったな、ていうのがあるんですけど、まあ、結構ヘコみましたね」
やはり、あの敗戦で破壊神といえども凹みはしたようだ。しかし破壊神は戻ってきた。ならば次に戦う時は、関選手の身体を物理的に凹ませてしまう時なのか。
「あまり気負いすぎず、ZSTで新しく生まれ変わるみたいなイメージでやろうかなって思っています」
島村選手がリボーンするのは、まあいいとして、対戦相手の皆様は、本当に“輪廻転生”的な意味で“生まれ変わる”事になるかもしれないので、そこだけは、本当にそこだけは注意していただきたい。
「ZSTを体現する“フィニッシャー”になりたいです」
島村選手は、もともと“ZSTの秘密兵器”としてデビューした選手。やはり、常に一本・KO決着を目指すZSTスタイルの体現を目指すのは当然のところ。しかし、対戦相手の人生もフィニッシュする恐れがあるので、そこの体現だけは御容赦いただきたいところだ。
「(新技も飛び出す可能性が?という質問に)飛び出すかは分からないですね。え?ってなる技はあるんですけど、“空回りしない”、“油断しない”、このテーマをまず考えます」
おそらくライダーを木偶(デク)とした人体実験の結果、新たなる非人道的な技が幾つかストックされているようだ。新技が飛び出すのは構わないが、対戦相手の魂が飛び出す事がないようにだけは、お願いしたい。
画像:これはホンマ肉食獣の笑い方ですわ、と思わせる、ユタカ・シマムラ氏のスマイル。
まあ、やはりインタビューでも何回か関選手の名前が出てきてしまったが、やはり破壊神が目指す先は、フェザー級の王座である。そして関選手も、今、王者として急速にレベルアップしている感があるので、二度目の対戦は面白くなりそうだ。ここに橘川選手とかが絡んでくれれば、更に面白くなるだろう。
そんな島村選手の今回の対戦相手は小川将貴選手。新潟の選手で、前回は「SWAT!」ながらも、本戦経験のある川村謙選手に勝利している。もともとは修斗系列の大会で活躍していた選手であるようだが、ZST本戦は今回が初となる。
はたして此度の破壊神の復帰戦は、どうなってしまうのか。テーマは、“ノー・空回り ノー・油断”だ!
「ZST.60」
第8試合 ZSTルール フェザー級 5分2ラウンド
島村裕(総合格闘技宇留野道場)vs 小川将貴(ピロクテテス新潟)
さて、ZST本戦もアレだが、今回「ZFC通信」としては、その前に行われる「SWAT!165」の方が注目度が高くなってしまう。
まずは第4試合で、“愛戦士・ニノミー”こと二之宮徳昭選手が、GT(グラップリング)ルールの試合に登場する。
画像:今日も今日とて、世界の中心で愛を叫ぶニノミー。
対戦相手は、グラップリングの強豪、村田卓実選手。あの、ニノミーの“永遠のライバル(仮)”であるライダーをも弄んだ(判定が無かったので時間切れドロー。ライダーが毎度、ラウンド終了間際に見せ場を作ったので、あんまりそういう印象は無いが、実際はフルボッコにされた)ほどの実力者である。ハッキリ言っても言わなくても強敵だ。
まあ、そんな事はニノミー自身が一番よく分かっているだろう。なにせ村田選手とは、2016年の「第6回オープントーナメントグラップリング選手権」で、直接戦った事がある。この時は、村田選手が勝利して優勝したが、ニノミーもまた村田選手を相手に“え?マジで!?”という場面をメイクしている。あの対戦の時は、村田選手的にニノミーは全くのノーマークだったやもしれぬが、さすがに今回は、最初から兜の緒を硬く結んで試合に臨んでくるであろう。
画像:あの村田選手を相手に、バックチョークを狙う二之宮選手。
しかし、ニノミーとて、あの時の“愛戦士”のままというわけではない。昨年、突如として結婚。そして現在では、既に孫までいるというグランドファザーの地位に就いている。まるで20年ほど時間をスッとばされたかのような、「な…何を書いているのかわからねーと思うが、俺も何を書いたのかわからなかった…」的な、ドラスティックにも程がある私生活での変化を経験した男。つまり、今の二之宮選手は、“愛戦士”を超えた“愛戦士”。愛で空が落ちてくるほどの“超・愛戦士”なのである…かもしれない。
まさに、愛こそはすべて!
いつも叫んでる気もせんでもないが、世界の中心で愛を叫ぶ時は来た!
「SWAT!165」
第4試合 GTルール フェザー級 7分1ラウンド
二之宮徳昭(X-ONE GYM 湘南)vs 村田卓実(今成柔術)
そしてもう一人、注目の選手がいる。北の国から来た男、山本空良選手(パワーオブドリーム札幌)。
山本空良選手は、あのUWFで活躍した山本喧一選手の実子である。そして、この山本喧一選手は、「OFC」の“偉大なる指導者”太田裕之選手の師匠にあたる人。そういう縁もあったのか、空良(“そら”と読むそうです)選手も、何度か「OFC」に来た事がある。
画像:「OFC」を訪れた空良選手(中央)。右が山本喧一選手。あとはいつも通りの面々。
グラップリングが好きという事と、太田選手がよく出場している(ここ重要)という事で、「ZST」に出場したいと思ったという空良選手。既に本拠地である北海道のイベントでは王者になっているようだ。
そして、昨年末に行われた「RIZIN FF アマチュアMMA 2017」でも、フェザー級トーナメントを制覇している。何より、これでまだ2000年生まれの17歳だというのだから驚きである。今後、この脅威の“超・20世紀少年”が、今のところ嵐の予感しかないZSTフェザー級最前線の地に立つ日も、そう遠くない未来に訪れるのだろうか。
「SWAT!165」
第7試合 ZSTルール フェザー級 5分2ラウンド
山本空良 (パワーオブドリーム札幌)vs 須貝秋彦(ピロクテテス新潟)
「我々は日本格闘技界の底辺を自負しておりますが、底辺が広がらなければ、頂点も高くなりません!底辺のあがきを刮目して観てください!」
ピラミッドも、聖帝十字陵も、下の礎なくして、その頂点もまた無し。
敢えて自らを底辺と表現するのは、我々「OFC」の首領、“偉大なる指導者”太田裕之選手である。
正に戦いのプロレタリアート、“プロレタリアン”たらんとする覚悟。世界の底辺から“I”を叫ぶ者達。
だがしかし、プロレス界においても、皆が皆、ストロングスタイルで試合をすればいいというワケでもない。地方に興行に行ったとしよう。そこで初めてプロレスを目にする人もいるかもしれない。その人達全てにストロングスタイルは届くのか。そこで問われるのが幅の広さだ。プロレスの深さだ。
かつての「全日本プロレス」では、「悪役商会vsファミリー軍団」のタッグマッチという、定番の試合があった。モットーである「明るく楽しく激しいプロレス」の、“明るく楽しい”という言葉の大部分を支えていた試合だ。“笑い”というのは、老若男女問わず世界共通の言語と言っていい。どんなサーカスにも道化師という存在は必要だ。そして明るく楽しい部分があるからこそ、“激しい”部分が、より一層際立つのである。
“プロレタリアン”もまた、そういう人々だ。彼等が、第1試合とか、第2試合とか、第3試合とかで戦うからこそ、メインイベントというものが成立し、観客は、それを特別なものとして受け入れられるのだ…よし。なんかこんな感じで、それっぽい事を、それっぽく書いておけば大丈夫だろう。
さて、そんな“プロレタリアン”な、我々「OFC」であるが、今回はチームを組んでGTルールでの勝ち抜き戦を行うという、最近見たような気もしないでもないが、斬新かつ、革命的な試合形式に挑む。
挑むのは、この方々。
「OFC」の“偉大なる指導者”にして、「第6回オープントーナメントグラップリング選手権大会」ライト級優勝者・太田裕之選手。
画像:「OFC」の“偉大なる指導者”太田裕之選手(Z戦士:ピッコロ大魔王枠)。
その太田選手と、かつて刃を交えた、ZSTレジェンド選手の一人。GAORA放送ではコーナーを持っていた事もある、“デンセツの男(電気設備的な意味で)” 佐東伸哉選手。
画像:佐東伸哉選手。
あの菊野克紀選手や、デスマッチファイターの竹田誠志選手と「SWAT!」で戦ったこともあるベテラン中のベテラン。小島一朗選手。
画像:小島一朗選手。
この3選手が、チーム「OFC」として、このZST初の試みとなる試合形式に挑む。まあ、昔にも4vs4とかサバイバルタッグとか、ワリと無茶な形式のタッグマッチは行われていたが、純然たるGTルールの“勝ち抜き戦”形式は、今回が初めてである。たぶん。
そして対戦相手は、「悪役商会」に対する「ファミリー軍団」のような、もはや「OFC」とは永遠の宿敵関係にある、“綱島界の重鎮”篠宮敏久選手と、平山学選手、高城光弘選手が、「勝村軍(仮)」としてチームを結成。「OFC」の前に立ちはだかる。
画像:全ての道は綱島に通ず。“プロフェッショナル・グラップリング”篠宮敏久選手。
「SWAT!165」
第5試合 GT 3×3ルール 225kg以下契約 1セット7分
篠宮敏久 & 平山学 & 高城光弘(勝村軍(仮))
vs
太田裕之 & 佐東伸哉 & 小島一朗(OFC)
「SWAT!」の方は、プロフェッショナルな“プロレタリアン”の方々が支えるので、本戦の竿本選手とかは、安心して存分にタイトルを狙っていただきたい。
※画像はイメージです。
が、しかし、たとえ底辺にあろうとも、直接戦うことはなかろうとも、試合内容という土俵では勝負ができる。本戦が、ZSTイズムを忘れた不甲斐ない内容になろうものならば、いつだってプロの“プロレタリアン”な方達は、革命という刀を抜き放ち、来年辺りには新元号に変わる世の中に対し、「昭和」という反旗を掲げて見せるであろう。
“ミスターGT”と呼ばれた太田選手と、“プロフェッショナル・グラップリング”とまで呼ばれた篠宮選手。“ミスター”と“プロフェッショナル”、二つのチームがぶつかる時、二つの巨星がぶつかる時、君はスーパーノヴァと、刻の涙を見る。ひょっとしたら三連続ドローという、ダークマター的なモノを見てしまうかもしれないが、それもそれで貴重なものが見れたと思おうではないか。そして次回大会以降、GT 3×3ルールが、ひっそりとフェードアウトしていたら、それはそれで色々と察して欲しい。いずれにせよ、全ては、この初回にかかっているのだ。
「ZST.60」、「SWAT!165」、色々な形での決戦の刻、迫る!
選手たちよ、戦いという名のアートを描け!!