しつこいようですが、また書きます。

格闘技で強くなった人や格闘技を教える人は「昔は悪かった」タイプの人が多いと思います。
悪くなかったとしても「格闘技に救われた」タイプや「格闘技がなかったら俺なんて…」タイプ。
そういう人って往々にして同じような境遇の人を見つけると格闘技を勧めたがりますよね。

あれ、良くないと思います。

格闘技でアナタが成功したのは、アナタが努力できたからだし、才能も人よりあったし、周りにも恵まれていたからです。
そしてよく考えてみると、そこまでの地位に行くまでに、何人も何人も蹴落としてきたことでしょう。

だから、昔の自分に似た境遇の人を見つけたからって、自分が嬉しくなってその人に格闘技やらせたとしても、その人に才能があるかも続くかもわからないし、蹴落とされる側になる確率の方が高いわけなんですよ。
アナタは蹴落とされたあとの責任まで持てないのだから、よその誰かを昔の自分に重ねてその人に格闘技を勧めるのはよしたほうがいいと僕は思うんですよね。

つまりね、ここで一番タチが悪いのが「昔は悪かった」タイプ。
自分は不良だったけど格闘技で更生できた、だからお前も今は不良だけど頑張れば俺みたいになれるんだ!っつって自分を押し付けちゃう人、いますよね。
でもそうやって不良に中途半端に格闘技教えといて、その不良が格闘技からもドロップアウトしたら、とんでもないことになりますよね。想像つくでしょ。
ただでさら言うことを聞かない不良に、人を倒す力を与えといて、また世に放すわけですからね。
だからね、自分が格闘技で更生できたからって無責任に他の人にも格闘技でどうにかしようとしない方がいいと僕は思うんですよね。


同じようにね、子どもにも格闘技は教えない方がいいと思ってます。
子どもはね、失敗する生き物です。失敗を繰り返して大きくなっていくんです。
これは10年以上教育の現場に立っていて感じたことです。
ある程度の失敗はいいと思うんです。
でもね、誰かに怪我をさせたり後遺症が残るようなことをさせたらいけないんです。
いけないというか取り返しのつかないことになる場合もあります。
(そこまでなることは稀だと思いますが。)

だから僕は子どもに打撃や関節技を教えません。

もしも、自分の教えた技をその子が小学校の喧嘩で使ったら、、、興味本位で別の友達にかけたら、、、最悪の場合どうなるか想像つきますよね。

道場に通ってる子だったらまだマシですよ。まだ指導できます。相手へ謝りにも行けます。

でも、道場を辞めたあとだったら?

自分の技を教えた子がずっと道場にいるかはわかりませんよね。
辞めたあと、どこで何するかわかりませんよね。
辞めたらもう道場生じゃないから関係ない、外で何をやっても自分の耳には入ってこないから関係ない、そんな理屈は通じないと思うんです。

子どもは失敗するものだし、辞めたあとに何をするかわからないし、責任は取れない。

だから、僕は責任が取れないから子どもに格闘技を教えないんです。

きちんと理由があって教えていないんです。
(ちょっとブレたとこもあるけど。笑)


ただ、うちのジムでは子どもにレスリングを教えてます。
これは悩むところではあります。
なしと言えばなしだとは思います。
それでも自分の中では打撃もないし関節技もないのでと理由づけをして教えています。
打撃や関節技がなくて、タックル1つでこんなにつらいんだ、抑え込み1つでこんなに苦しいんだ、そこから想像できる子になってほしいと思っています。

それでも過去に何度か自分の道場の教え子が学校でトラブルを起こしたことがあります。
「レスリングなんかやってるから」
そう言われもしました。
そんなとき僕は相手方の親御さんに謝罪をし、道場まで来てもらい練習風景を見てもらいました。自分の指導方針を見てもらい、子どもたちの練習態度を見てもらう。それでもレスリングを教えていることに納得できないならそのとき考えよう。そこまでの覚悟を持ってやっていました。

ましてや僕なんていまだに人間ができてるとは到底思えません。
そんな自分なので、礼節を子どもに説けるわけもなく、一緒に悩み勉強している身です。
自分の責任の取れる範囲のことだけをしっかりやっていけたらと思っています。

なので、これが僕が子どもに格闘技を教えない理由です。

何度も話していることなのでこの方針を理解した上でお付き合いいただければと思っています。

5月からは戸塚のジムでもキッズレスリング教室を始めますが、このような考えなので広く募集はしません。仲間の子どもやカマホキッズや理解ある方のみでやっていけたらと思っています。