April 06, 2007

6-3 Punishment

 
「せやからね、云うたったんですわ。『ワレ舐めとったら承知せえへんどコルァッ、こんな青臭い鶏肉喰えるわけ無いやろがいッ』云うてね。思いっきり怒鳴ったったんですわ。そらぁ店員、もうめっさビビッとりましたで。ひゃひゃ。

 僕、マジンシア出身ですやん。向こうでは、その、バジルっちゅうんですか、香草焼きみたいなもん、そんなんね、喰うたことあらしまへん。絶対、調味料間違ごうたか、腐っとるか、何かそんなんやと思いましたんや。
 だってね、焼き鳥云うたらフツーに、塩焼きが出てくる思いますやん。僕、こっちではそんな香草焼きみたようなもんが普通やいうん、全ッ然知りまへんでしたさかいに。

 まぁ僕も上京したてで、そん時まだちょっと若かったさかいね、店員の胸倉ひっ掴んで『ワレェこんなド臭いもん、喰えるんやったら喰うてみいッ』云うてね。
 そしたら店員、ションベン漏らしながらハイ、云うて、かぶりつきよったんですわ。僕、ビックリしてしもうて。わはは、わははははははは。
 まぁ酒代払わんと出てきたりましたけどね、そん時は。腹立ったんで。


 おい姐ちゃん、酒や。酒が無いで。
 まあまあ、お侍さんも一杯。ええ。
 あーこれは。えらいすんまへん。頂きます。はい。はい。

 あー。しかしまぁ、さっきの話に戻りますけど、実際しんどいもんでっせ。動物園の職員なんちゅうんは。
 ホンマね、僕も最初はブリテインで、文官やってましたんや。お掘の中で。
 はぁー、それが何の因果やらこんな閑職に回されて、たまりまへんで実際。
 田舎帰ったろか思いますで。
 相手が畜生ですやろ。何云うたかて。
 もうそら、臭いしね。汚いしね。頭悪いしね。
 ブチ殺したろか思いまっせ。毎日。
 せやから多少のええ思いさせてもらわんと、やってられへん。ホンマに。
 ええ。そうです。今僕が呑んでる酒、餌代ですねん。
 内緒でっせ。内緒でっせ。ひゃひゃひゃ。
 かましまへんねや、あいつらどうせ畜生ですさかいに、腹が減ったら己のババでも喰らいよるんですわ。いやこれホンマでっせ、あいつらね、己のババ喰らいよるんです。腹が減ったら。
 まあ、餌のリサイクルちゅうやつですわ。ひゃひゃひゃひゃひゃ。

 え、はい。
 あ、ホンマでっか。アイツ知ってはりますのんか。
 何、ちょっと知ってはるだけ。そうでっか。ええ。
 親しぃは無いんでっか。あぁ、親しぃは無い。あぁ、全然。そうですか。
 引越しましたやろ、最近。ええ、引越しましたんやアイツ。
 ユーの実家帰る云うとったかな。
 仕事やめて。ええ、もう動物園では働きよりません。
 アイツねえ、こんなん云うたら何ですけど、陰気な、カタブツのね、パッとせん奴でしたわ。
 僕、ああいうタイプ嫌いですねん。マジメ腐って。
 ちょっと上の覚えがええから云うて、調子に乗り腐ってから。
 同期のクセに、僕のことね、アゴで使いよりましたんや。
 ホンマせいせいしたわ。おらんようなって。

 あっ、おおきに。はい。頂きます。
 ……あーぅ。


 ……お侍さん、アイツの嫁、見た事ありまっか。
 こんなん云うたら何ですけどね、正直アイツには、勿体無い嫁でしたんや。
 別嬪のね。乳のでかい。まあ男好きするタイプでしたわ。
 せやからかなぁ、浮気をね。
 しとりましたんや、嫁が。
 何や、サーペンツホールドに住んどる男だったみたいですわ。
 それが、旦那にバレてね。

 ……まあ、バラしたん、僕なんですけどね。
 わはははははははははは。
 面白いですやろ。わはははははははははははは。

 ちゃいまんねん。ちゃいまんねん。
 あのね、僕ね、ホンマにアイツ嫌いでしたんや。
 せやからね、腹いせに、アイツの嫁はんヤッてもたろう思てね、わはははは。
 アイツの嫁はん、何や手荷物持って出かけよるから後つけたったんですわ。
 丁度うまい具合にフェルッカ行きよるから、丁度ええわ思て。
 わはははははははははは。
 内緒でっせこんなん。首が飛びますさかい。わははははははは。


 あーおもろ。
 え、ああ、ハイ。
 ええそら、ヤリましたで。

 サーペンツホールドの、茂みん中でヤッたりました。
 どうせ男と浮気してきた帰りやさかい、丁度良かったんちゃいますか。
 最初僕の顔見て、旦那には黙っといて下さい云うからね、黙っといたるさかいに一発させ云うたら、ね、血相変えよって逃げ出そうとしよったんですわ。
 『待たんかいコルァ』云うて、2・3発しばいたって。
 ええ乳しとりましたわ。
 思いッきりヤッったった。
 まぁ、仕舞いではひぃひぃ云うとりましたしね。
 わははははははははは。

 売女でっせあんなん。
 ちょっと別嬪や思うたら、調子に乗り腐って。
 なんぼ取り繕うたって、浮気するような女、突っ込まれて当然ですわ。
 そうでっしゃろ。ちゃいまっか。
 僕ね、云うたったんですわ。『これから毎週、さしてもらうさかい』て。
 当然サーペンツホールド行く前でっせ、今度は。
 他の男のでぬるぬるしとったら、ちょっと気色悪いですやん。
 いや、気色悪かったんです、突っ込んだ時。
 せやから『次からはワシが先や、ええな』云うてね。
 わははははははははははははは。

 あーおもろ。
 アホやでホンマ。
 そんでまあ、次の週にね、さしてもらお思て家に行ったら、中におるのに出てきよらんからねあのアマ、腹立って旦那に浮気の事バラしたったんです。
 そんで離婚ですわ。
 ははは。






 えっ。
 首吊り。
 誰が。

 えっ。
 あの女がでっか。
 はは、そらまた、ははは。

 えっ。洗いざらい喋って首括ったんでっか。
 ホンマでっかそれ。
 菓子を焼いて。
 手紙を置いて。
 森ん中で首括ったんでっか。
 ……何や、ほなアイツ、離婚したんやのうて、えっ。
 ほなアイツ、ワシが嫁はんヤッたん知ってて、えっ。


 ちょ、お侍さん。
 何だんねん、急に立ち上がって。
 お、お侍さん、だいたい何でそんなこと知ってはりますねん。
 うわ。
 な、何やその棒、気色の悪い。
 うわッ、な、何や、こ、この浪人モンが。
 何やねん。何やねん。オウ。
 何やねんコラ。コルァ。

 な、何や。
 うわッ。




 ちょちょちょっと待っとくんなはれ。
 何やこれ。どないなってんねん。 
 ちょ。

 な、何云うてはりますの。
 う、唄てはりますのんか。
 何唄てはりますのや、気色の悪い。
 やめとくんなはれ。
 や、や、や、やめとくんなはれ 」





zudah at 06:56│ 06 Deadman's prayers